朝起きたら女の子になってた。
旅行 part17
ラーメン屋で天国でもあり、ある意味地獄な時間が終わって店から出た。
「美味しかったわね」
「美味かったが、もうちょっとインパクトが欲しかった」
母さんと姉貴が感想を言っているが、俺はそんな状況ではなかった。
「食い過ぎて気持ち悪い……」
これは全部紗香のせいに違いない。
だって、俺がラーメンを啜っている時に、紗香が逆側からラーメンを啜って食べてきたんだ。ポッキーゲームじゃないんだよ。その他にも、紗香が半分食ったホタテを俺の方に置いてきて「食べて?」って言ってくるし、逆に俺が半分食べたホタテを横取りしてきたりと……ホタテは半分個って聞いてたけど、まさか全部のホタテを半分個にするとは思わなかった。
そんな事もあり、対抗する様に食べてた。それで案の定、食い過ぎで気持ち悪くなった。
「沙雪、美味しかった」
「あ、あぁ」
俺は紗香の「美味しかった」という言葉はラーメンが美味しいと考えていたが、紗香はその意味で言ってはいなかった…。
*****
ラーメン屋の次に向かったところは、近場にあった大きなお土産屋さん。
「『パティシエのりんごスティック』買わないと」
そう言って紗香は1人で行ってしまった。
「じゃあ、俺は試食でも回るかな」
(え?お腹一杯じゃないのかって?甘いものは別腹って言うでしょ?それに女の体になってからは、甘い物が好きになって、食べると幸せになれる。男の時は、あまり好まなかったけどね)
という事で、俺は試食ツアーをするのである。
近くにあったショーケースに美味しそうなのが入った物を発見。
(ではまずは、『ラブリーパイ』ってりんごのパイから)
もぐもぐ。
うん、美味しい。甘さが控えめだけど良いね。
「美味しいわ」
「りんごがいっぱい入ってるな」
「母さんと姉貴も試食するのか?」
「「無料なら貰わないとな(ね)」」
「そうでしたか……」
(ホテルの食べ放題の時も妥協してなかったからな……この試食も全種類食べるんだろうね)
じゃあ、次。
(『気になるりんご』という丸々りんごが入ってるパイ)
もぐもぐ。もぐもぐ。もぐもぐ。
「ふぇぇぇ〜〜〜」
(あ、変な声出ちまった。美味しかったから思わず3切れも食べちまった)
これは買おう。1つ税込700円だったので4人分買って2800円。ちょっと、高いけどそれだけの価値はある。
そして最後は飲み物の『シャイニー アップルジュース』
ごっくん。
濃いいい!味が濃すぎます、またそれが良いけどね。
さてと、試食も終わったことだし、ぶらぶらして他のお土産も買いますかね。
*****
《紗香視点》
お土産を求めに3人と分かれて1人で向かった……のは建前で今夜にあるイベントの作戦を考えていた。
それは、沙雪と一緒に寝るというイベント。
(ラーメンを食ってる時だって、私の事を見ていた。なら、もうひと押しすれば何かが起こるはず!お姉ちゃんみたいに大胆な行動は出来ないけど……)
ホタテを半分個にして食べるのだって他の人からすれば、随分と大胆な行動な気がするが、沙耶という強敵を前にしたら、それは霞んでしまう。
(どうすれば沙雪は、私を……)
もぐもぐ。
考え事をしながら、近場にあった試食を食べた。
(甘くて美味しい……)
そこで、何かが閃いた。
(甘い……そうか、それなら私にも! よし、私は大人な行動をするのではなく、子供の様に行動をしよう)
その内容を私は頭の中でシミュレーションをして、試食をしたお土産をお礼代わりに購入するのであった。
*****
お土産屋さんでお土産を買ったら、入り口付近で合流して店を出た。
「母さんと姉貴は何も買ってないんだな」
「お土産は買ってくれるだろうと思って、試食だけしていたわ」
「流石にお腹一杯だ。晩飯は控えめで良いだろう」
「そうね、バイキングはしないで高いのでも食べに行きましょうか」
「良いね〜、私は焼肉だな」
「それで2人は大丈夫?」
「運動すれば大丈夫」
「俺もそれで良い」
「なら、ここから歩いてホテルまで帰りながら焼肉屋でも探しましょうか。幸い、時間も3時過ぎだから、丁度良い時間になると思うわ」
という事で、俺たちは食後の運動をしながらホテル付近まで歩いて行くのだった。
(あれ?誰かの存在を忘れている様な……うん、きっと気のせいだ)
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