朝起きたら女の子になってた。
旅行 part16
りんご狩りを終えて案内所で母さんと姉貴と合流した。それから、近場にあったラーメン屋で昼飯を食べようとしているところだが……
「沙雪は何頼む?」
「俺はホタテラーメン食いたいが、絶対余る」
「お子様セッ「それは、ないな」お子様セットね」
「何でもう一回言うんだよ!」
(ちくしょー、さっきから振り回されてばっかりだ。りんご狩りの時でも、俺をおんぶして採らせたり、片手で採れなかったから両手使ったら笑ってくるし……)
「私は味噌ラーメンだな、母さんは何にする?」
「そうね、海鮮ラーメンにしようかしら」
「紗香はどうするの?」
「私はホタテラーメン大盛りにして沙雪と分けるよ」
「我が妹よ、よく言った!」
「あ、やっぱ「いやー、ありがとうございます」お子様「2度目も言わせん!」はいはい」
(よし、やり返したぞ)
そんな事もあり店員に注文して待つ事3分ほど。
「お待たせしました〜こちら味噌ラーメンと海鮮ラーメン、ホタテラーメン大盛りと餃子で〜す。ごゆっくり〜」
女店員がゆったりとした口調でラーメンを置いていき、次の客のところにいった。
「では、いただきまうす」
「待って、沙雪」
「何?」
「取り皿いらないの?」
「子供じゃないからいらんわ。ラーメンというのは豪快に食べる物だ」
「そうなんだ。後は……ホタテは見たところ9個あるね」
俺も見たところホタテの大きい貝柱が9個入っている。ということは……
「「じゃんけん(半分個)」」
俺がじゃんけんと言って紗香は半分個と言った。
「ここはじゃんけんだろ」
「負けた人はかわいそう」
「それは仕方ない、負けたのが悪いんだ」
「じゃあ、例え話するよ。おっほん、ある2人がいました。その人達の食料は1人分しかありませんでした。どうしますか?」
「コンビニで買ってこい」
「お金がありませんでした」
「出世払いで」
「無人島でした」
「島にあるもん食ってろ」
「島には食べ物がありませんでした」
「素潜りして魚食ってろ」
「魚は全ていなくなっていた」
「無人島から脱出しろ」
「無人島の他に島はありませんでした」
「絶体絶命じゃねぇか!」
「そう、絶体絶命な状況で食べ物はそれしかなかった……だから半分個にするしかないの……」
「何で、実体験したみたいに言ってんだよ!」
「それで半分個する気になった?」
「分かったよ。半分個で良い……」
(くそ強えな。それに無人島には食べ物なくてその無人島以外に島はないってやべえ状況だな)
そんな事もあり紗香は、ラーメンの中から一個のホタテを箸で取り半分ほど食べる。そのホタテと紗香の瑞々しくて綺麗なピンク色の唇の間には、銀色の糸が繋がれていたが、離れると同時に切れた。
「はい、半分個」
「あ、あぁ」
無意識で紗香の柔らかそうな唇を見ていた俺に紗香は、先程まで銀色の糸が繋がっていた、ホタテの半分ほどになったのを俺の口に持っていく。
「はい、あ〜ん」
「あ、あ〜ん……もぐもぐ……ごっくん……」
「美味しい?」
「う、うん」
そのホタテの味はラーメンのスープの味以外に、甘い味が入っていた様な気がした。
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