華のJK1なんだが受験に失敗したので高校に行くのが極めて憂鬱である

霧雨 蘭

止まらない息切れで肩を揺らしながらドア横の角席に腰を下ろす。

周りを見渡す。が、まぁ人は居ない。隣の両にちらほら学生が見える程度である。

連休や休日にはかなりの人が乗るが平日の朝は学生が数人。というのがお決まりである。

熱海、特に扶郎館の周りは観光業で成り立っているので電車を使って外へ働きに出る者など殆どいない。

貸し切り一両の車内でシャツのボタンを掛け直す。
ネクタイは結び目を解いていなかったので締めるだけだ。

「 あっつい 」
気付くと体中から汗が吹き出ている。体が止まった瞬間に出てくるんだよな。汗。

ネクタイは後でいいか
なんてったって2時間のちょっとした長旅だ。電車に乗ってしまえばこちらのもの。後は余裕がある。

しかし館から駅までの時間を考慮していなかったのはうっかりしていた。

「 もっと早く家を出ないと行けないってことだよね 」

つまり同時に起床時間が早くなる。
こうなると増々学校など行きたくもない。

ぼーっと車窓から外の景色を眺めていると目の前からこつ然と景色が無くなる。

トンネルか。

外からの明かりが閉ざされ車内の光を反射し始めた窓に私の醜態が映る。

見事な具合に髪の毛がぼさぼさである。

乗り換えの駅でお手洗いにでも入って軽く直さないと流石にまずい状態である。

気分と視線を落とすと革のローファーを纏った素足。
そういえば靴下を履いていないのであった。

周りからは短い靴下を履いているように見えて.....てほしい。そう見えててくれ。頼む。

胸回りが寂しいのは百歩譲っていいとしても、どう考えた所で靴下は履いてくるべきである。

まともな判断力すら皆無だ。
やはり朝は苦手だ。頭に血が一滴も通っていない気がする。

そういえば今日の弁当は生ソーセージに焦げた玉子焼きに昨日の余り物は温める間もなく突っ込んだだけ。

こうなると朝はおろか昼まで嫌いになりかねない。

まだ起きてから一時間ちょっとしか経っていないのにも関わらずどっと疲れが押し寄せる。

まったく先が思いやられる

そんな姉の声がふと頭の中に響く。

「 ほんと。どうなっちゃうのかな。私 」

ちょっとだけ。
少女はそう言って静かな車内で一時の安らぎを得る。

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