華のJK1なんだが受験に失敗したので高校に行くのが極めて憂鬱である

霧雨 蘭


学校の準備が一切終わっていない。
いや、まだ初日が終わったばかりで教科書は貰っていない。

今日の持ち物は?何か先生から連絡されたか?

あれ、通学定期はどこに置いたっけか。制服のポケットに入れたままか?

てか制服ハンガーにかけとくの忘れてた。どうしようシワついてないかな。

その前に髪の毛整えなきゃじゃない?めっちゃ寝癖立ってる!

あーどうしようどうしよう。

ん、なんか焦げ臭い.....?

「んゔッッt$@$%%@」

「焦げたー!!」

ばあ「なんや騒々しいどないしたん」

霧雨「卵焼きが、」

ばあ「あんたもう5時半だよ、間に合うのかい」

霧雨「ええー!?」

ばあ「これ弁当箱に詰めといてやるからはよ家出れる準備しい!」

霧雨「うわあああ」

じい「なんや賑やかな朝だな」

ばあ「まったくね」

ピロン

霧雨「誰よこんな時に」

『お弁当、裏口のとこに置いといたからね!』

っ!!!

神は此処にいたのか。

取り敢えず今日は特別持ち物はなさそうだ。

もうこの際面倒だし、
「 キャミだけでいいべ.... 」
そのまま肌着を着てワイシャツを羽織る
えぇそうですよ。どうせ私にあんなお洒落な布で覆っておく胸はありゃしやせんよ!

「っだー!ボタン掛け違えた!」

もういい。電車でこっそり直そう。どうせ誰も乗ってやしない。ネクタイも電車でつけよう。

赤いチェック柄のスカートを履いてブレザーを羽織る。

こげ茶の皮スクールバッグにポーチとタオルを突っ込んで、

あとは.....もうこれだけでいいや。

スカートのポケットに定期入れの存在を確認する。

時計を見ると時刻は5時50分。

まだセーフラインだ。

スカートと同じような色のネクタイを腕に引っ掛けてカバンを持つ。

小屋の戸を開けて裏口へ向かう。

「っと、靴下履いてない」

ええい。靴は新品だ。どうせ私の足なんて誰も見ていない。履いちゃえ。

ダッシュで裏口に向かう。

霧雨「いってきます!」

じい「自転車で事故るんじゃねぇぞー」

自転車?
しまった。此処から駅までの道のりを考慮していなかった。

確か最寄りまで、2kmくらいか?

まずい。腕時計を見ると、って腕時計も付けていない。

慌ててカバンからスマホを、っとスマホ机の上!!

もういい。とにかく駅まで全力で漕ぐしかない。

一本電車を逃したらもう遅刻だ。

ええいっ!

自転車に飛び乗って全力で坂を登る。

「はぁ......はぁ......はぁ......」

2、3分漕ぎ続けただろうか。駅の看板が見える。

「おっ。蘭ちゃん!もう電車出ちゃうよ!」

霧雨「桐谷さん......」

駐輪場のおじさんの桐谷さんが声をかけてくれる。

桐谷「そこに自転車乗り捨ててきな!あとはおっちゃんがやっとく!」

霧雨「ありがとうございます!」

スタンドも立てずに自転車を文字通り乗り捨てダッシュで駅に入って改札を抜ける。

電車の発車ベルがホームに鳴り響く。

「頼むから閉まらないで....!!」

「はぁはぁはぁ、んっあっ、ふぅ、ひい」

滑りこみセーフ。

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