部活の後輩と付き合ってみた

きりんのつばさ

圧が凄い

式が進み、完璧超人の同級生の話や毎年恒例?の新社会人の
乱入がありながらも式は無事に終わった。

「わぁ……やっと終わったよ……」

「ってななみんは言うけど半分以上うとうとしてたよね?」

「気のせいだよ〜あっねぇねぇ一緒に写真撮ろうよ!!」

と私はスマホを取り出した。
流石にこれ以上うとうとしていた話題になると私が少し
凹むからである。
まぁ実際に写真を撮りたいというのもあるけど。

「うん一緒に撮ろっ!!」

と明里ちゃんはこっちに寄ってきたので私はスマホを
自撮りモードにして撮影の準備をした。

「じゃあ行くよ〜」

「うん!!」

そしてシャッターを切った。

「どれどれどうかな〜」

「見せて見せて〜!!」

2人してスマホを覗き込む。
そこには中々良い笑顔の私達が写っていた。
……これは中々の出来だと自分でも思ってしまうぐらい
良い笑顔をしていた。

「ななみん自撮り上手いね〜!!」

「まぁ毎日センパイと一緒に撮っているからね〜」

毎日センパイとは半ば強引に自撮りを一緒にしている。
センパイ自身があまり写真に撮られるのを好まないので
時には甘えて、時には泣いたふりをして撮っている。

(あれ? 私ってひょっとして結構酷い事してる?)

今、私が言った事によって私がしている事を再確認して
ちょっと罪悪感が湧いてきた。
……ほんの少しだけどね。

「そ、そうなのね……あっ、ならさ、ななみんの振袖姿
写真撮ってあげるよ!!」

「本当!? お願いしてもいい!?」

親友からの思いがけない提案に気分が高まってしまう私。
撮った写真をセンパイに送ればあの人は口では文句を
言うと思うけど心ではガッツポーズをするだろう。

(ふっふっふっ……センパイ。待っててくださいね……
この可愛い彼女の可愛い姿を送ってあげますからね〜)





明里ちゃんに写真を撮ってもらった後、私達は一度家に帰り
動きやすい服に着替えてから同窓会の会場に向かった。
……流石に振袖は動きにくくて限界だった。

「みんなと会うのって久しぶりだね〜」

「そうだね。私は都内に行っちゃったからますますみんなと
会わないしね」

「ななみんの場合は彼氏でしょ?」

「へへ〜バレた?」

「……逆に当たって私は呆れているよ。
にしてもクラスメイトのみんな驚くだろうね
ななみんに彼氏が出来たって知ったら」

「そんな事ないでしょ〜
ーーというか私ってそんな人に見えていたの?」

「それはもう、ね。
恋愛に興味がないんじゃないかってみんな思ってたよ」

「センパイに会って初めて“恋”って言うのを分かったもん」

あの人に会うまで私は“恋”とか“人を好きになる”と言うことをどこか“自分とは関係無い”と思っていた。
……だけどセンパイに会って初めてその感情を理解出来た。


ーー好きな人の隣にいたい

ーーその人のことを独占したい

ーー相手からの一言一言で一喜一憂したり

色々な初めての感情を理解出来た。
本当にセンパイには感謝の気持ちしかない。
……生活面の事も含めて。

「おぉ〜ななみんが恋する乙女の顔してる……」

隣で親友が何か言っているけどここは無視しよう。



同窓会の会場に着くと既に懐かしい顔が揃っていた。

「あっ、ななみんに明里ちゃん〜!!」

1人の同級生がこちらに気づき、手を振ってきたので私達は
そこにいる集団に向かった。

「みんな久しぶり〜!!」

「久しぶりっ!!」

「明里ちゃんは最近会ったけどななみんとは本当に
久しぶりだね〜!!」

「確か……私が都内に引っ越す前じゃないかな?」

彼女達は私が都内に引っ越す前に壮行会を開いてくれた。
そしてその会以降会ってないのでほぼ1年ぶりだ。

「ななみん〜大学生活はどう?」

「うん、毎日楽しいよ!!」

……主にセンパイのお陰で。
日々の疲れは毎日センパイに癒されているからね!!

「なると七海ちゃんに彼氏でも出来たのかな〜?」

「いやまさか〜それは無いって〜」

「うん、出来たよ」

「ほら出来たって言っているじゃ
ーーん? ちょっと待って? ななみん今何て言った?」

「彼氏出来たよって言ったよ。それが何か?」

まさか私に彼氏が出来たからってそこまで騒ぐーー


「「えぇぇぇぇぇぇぇーー!!」」

そこにいた全員が大きな声を出して驚いていた。

「あ、あれ……?」

そして気がついたら私は沢山の同級生に囲まれた。
というか女子怖い!!
この沢山集まった時の圧が凄い!!
……あっ、そう言えば私も女子だ。

「い、い、い、い、いつから……?」

「ご、5月ぐらいからかな……」

「告白はどっちから!?」

「私から……」

「お相手は年上? 同い年? 年下?」

「部活のセンパイだよ……?」

「そ、その人の写真ある……?」

「あ、あるよ……」

と私は若干怯えながら自分のスマホに残っているセンパイが
写っている写真を見せた。

「どれどれ……」

「ふむふむ優しそうな人ですな……」

「そして意外とイケメンやん……」

……ちょっと待って、今イケメンって言わなかった?
というか私の彼氏に何言っているの?

「ちなみに七海さんや
ーー料理はどちらが?」

「センパイだよ」

「「うん合格」」

「ちょっと待って!?合格ってなに!?」

「それはななみんの彼氏試験に決まっているじゃん」

「そして彼氏さんは見事に合格しました」

「よぉ〜しみんなに言わなきゃいけないね!!
ーーみんな〜〜!! ななみんに彼氏が出来たよ〜〜!!」

「そこまで大々的に言う事なの!?」

……今回の件で私がどんな存在なのか少し理解出来た。

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