部活の後輩と付き合ってみた

きりんのつばさ

この母あってこの娘?

七海のご両親とおせちを食べた後、僕と七海は七海の部屋で
くつろいでいた。
「う〜んやっぱりお母さんの作る料理は美味しいなぁ〜
あっ、でもセンパイの作る料理も美味しいよ?」
「いやいや七海のお母さんの方が手際がいいって。
僕なんてまだまだだよ」
何せ1人でかなりの量のおせちを作るのだから手際や
慣れ、経験があるのだろう。
「まぁ明日からはまたセンパイのお世話になるし〜
よろしくねセンパイ〜」
と甘える様に言ってくる七海。
そう言われると不意に思う事があって……
「……何故あの母からこの娘なのか」
「それ言わないで!? 地味に傷つくから!!
食事中チクチク心に刺さるから!!」
「いやだってなぁ……」
母はあんなに手際良く料理など家事全般をこなすのに
一方の娘は家事はダメダメという
……どうしてこうなった?
「い、いやね? 私もね頑張っているんですよね、はい。
ここからの伸びしろを期待して欲しいね!!」
「はぁ……」
「深い溜息!?」
「いやだってなぁ……」
「さっきと同じセリフですよねそれ!?
良いですよ!! この平塚七海の凄いところを見せて
あげましょう!!」
と自信満々に胸を張る我が彼女。
……果たしてその自信はどこから出てくるのか聞いてみたい。
「尚更心配だ」
「さらに心配された!? いいですか? この七海が本気に
なれば出来ない事は何も無いって事を私がしょうーー」
「ほら七海、お菓子あげるよ」
僕は鞄からお菓子を出すと七海に渡した。
「わ〜いありがとうセンパイ〜!!
ーーじゃなくて!! 人の話を最後まで聞いてよ!!
というか何でセンパイは私が出来ないと思っているんですか?
ちゃんとした根拠があって言っているんでーー」
「七海だから」
「そこから!? というかそれ言えば何でも誤魔化せるって
思っていませんか!?」
「“彼女特権”使う奴が何を言っているんだよ……」
というかあれこそかなりの横暴だと思うけどな。
「ふふん、彼女だから許されるんですよ〜私を誰だと思って
いるんですか? センパイの彼女であrーー」
「よし、試しに1人で1週間自炊してみようか?」
「うわ〜ん!! それはまだ早いって〜〜!!」
泣きつく様に僕に言う七海。
「おいおいさっきまで勢いはどうしたんだよ……」
「だってセンパイの料理食べれないなんて死んじゃうよ!?
センパイは私に死ねと言うんですか? 泣くよ?泣くからね?
大声で泣くからね? いい?」
「前フリが長いって……」
「彼女だから許してちょ!!」
「ーー1ヶ月自炊な」
「センパイの鬼〜〜!!」
前から思っていたんだけど僕の彼女って結構ワガママ?
なんて思いながら元旦の日は過ぎていくのであった。


そして次の日、1月2日
僕らは関東に戻る日になった。
「じゃあ行ってくるね!!」
「お父さんにお母さん、この度は招いてくださり
本当にありがとうございました」
「良いのよ〜私も息子が出来たみたいで嬉しかったわ〜
ーーあっ、でも将来は本当に息子になるのよね?」
「ち、ちょっとそれはまだ早いかなと……」
まぁいつかはそうなるだろうけど。
「えぇ〜私早く“国木田ハンコ”使いたいよ〜」
「ーー七海は帰ったらそれ引き渡しね?」
「断る!!」
「いや断わんなよ!? というかいつそれ作った!?」
「えっ、大分前からあったよ?」
「だって作成依頼出したの私だもの〜
ほら言うじゃない備えあれば憂いなしって?」
まさかの黒幕、彼女の母親。
「備える前提がまず間違っていると思いますが!?」
というか備える物がハンコなのだろうか?
やっぱり色々ズレているって考えるとこの2人は本当に
親子なのだと思ってしまう。
「拓海くん、先輩達によろしく伝えておいてくれ」
「分かりました、父にはそう伝えておきます」
「次七海が帰ってくるのは2ヶ月後か……」
「えっ? パパ、私しばらく帰ってこないよ?」
「なんだと……!!」
「だってテスト終わったら引っ越しあるし〜それが終わったら
先輩との甘くて蕩ける生活が私を待っているから」
「蕩けるって……君は何を言っているんだ。
というかそれを言うとまたああなるじゃんか……」
「七海は俺と拓海くんとどっちがたいせーー」
「圧倒的大差でセンパイでしょ」
「う、嘘だろ……? じゃあ次はいつ会えるんだ……?」
「う〜んと……大分先!!」
「ガーン!!」
七海が満面の笑みでそう答えると
その場で膝をつき落ち込むお父さん。
「じゃあそれまで俺は何を楽しみにして待っていれば
いいんだ……」
「頑張れ〜お父さん〜」
「……七海、容赦ないね」
「肉親ですしね。
じゃあ今度こそ行ってきま〜す!!」
「お邪魔しました」
「行ってらっしゃい〜」
「辛くなったらいつでも帰ってきていいからな〜〜!!」
と僕らは七海の実家を出た。








次回から国木田の両親編に入っていきます

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