部活の後輩と付き合ってみた

きりんのつばさ

今年も

そして大晦日の夜……
七海のお母さんが作った年越し蕎麦を食べて、大晦日恒例の
歌の番組を見た後、新年まであと10分となった。
「えへへ〜センパイあったかいな〜」
と笑顔で僕を見る愛しの彼女。
「そりゃこんなに密着していたらね」
僕は七海を膝の上に置いて抱きしめていた。
現在、僕らは七海の部屋でいた。
僕が床に座っていると七海が急に膝の上に乗ってきて
中々離れないのである。
七海の柔らかい身体は中々あったかいので抱きしめていると
僕も暖かくなる。
「ねぇねぇセンパイって今年一番嬉しかった
出来事って何〜?」
と僕の方を見てそう言ってきた。
「ん? 今年?」
「うん、今年!!」
「今年か……」
と頭の中で一年を振り返る。
……うん、本当に色々とあったよな。
中には辛い事もあったけど楽しい事はそれ以上に
あった気がする。
「じゃあちなみに七海は今年の一番嬉しかったことは?」
「私? う〜んそうだなぁ〜色々あるなぁ〜。
都内のご飯美味しいとかセンパイのご飯美味しとか… …」
「ハハッ、食事ばっかりじゃないか」
まぁそれも七海らしいけど。
「まぁ私は食べるのが好きですからね〜
でも一番は……」
「一番は……?」
「やっぱり彼氏、センパイと付き合えた事かな!!」
と僕が好きな満面の笑みで言われた。
そしてその笑顔を見れただけで体温が2、3度上がった
様な気がする。
僕は改めて彼女の事が好きなんだと自覚した。
「あら」
「だって毎日起きてから寝るまでセンパイの事を考えるだけで
幸せになるんだもん!!」
「そうなのね」
「だって朝起きたらセンパイのご飯、お昼はセンパイのお弁当
晩御飯もセンパイ手作りのご飯。そしてたまにデザートが」
「おいおい、結局ご飯ばかりじゃないか」
「私は悪くない。センパイのご飯が美味しいのが悪い。
うん、見てよこの完璧な理論」
「どこが完璧なのか教えて欲しいかな……」
「そんなの簡単ですよ〜
ーー私がセンパイの可愛い彼女だからですよっ!!
この言葉で私のセンパイは何でも言う事を……」
「ーー降りろ」
と僕は足を動かし、乗っかっていた七海を倒した。
「むぎゃ!!」
そして倒れた勢いのまま床に顔をぶつけた。
「酷いじゃないですか!? 可愛い彼女になんてことを!!」
起き上がると同時に文句を言ってくる七海。
「すまん、ついむしゃくしゃしてやった。後悔していない」
「なんかよく聞く容疑者の言い訳だ!?
センパイにこんな可愛い彼女を痛い目に合わして良心は
痛まないんですか!?」
「何言っているの? 君にかける良心はないよ?」
あったとしてもほんの一握りだろう。
「答えが予想以上に酷いよ!?
センパイのイジワル……」
「嘘だよ、ごめんって」
「じゃあセンパイの今年で一番嬉しかった事を言ってくれたら
機嫌直してあげるよ。仕方なくだよ? センパイがどうしても
っていうから仕方なくなんだけど〜」
「おやすみ」
僕は布団に入った。
「ごめんって〜!! 冗談だって冗談!!
センパイにも言って欲しかっただけだって〜!!
そんな彼女に微妙な乙女心なんですって〜!!」
と僕を布団の上から揺する七海。
「乙女とやらがどこにいるのか教えて欲しい」
「ここにいるじゃないですか〜こんな可愛いおと」
「ーー七海、寝る時電気消しておいて。
僕は先に寝るから」
さっきよりも布団を深くかぶった。
こういう場合は寝るに限る。
「ごめんなさいーー!! お願いだから教えてよ〜〜!!
じゃないと気になって寝れなくてセンパイに毎日夜這い
しちゃうよ〜〜!!」
「いやすんなよ……」
というかここ七海の実家なんだからそういう発言は控えて
欲しいと思う僕である。
「教えないと毎日夜這いするからね!!本当だよ!!
毎日センパイの布団に入り込んで胸押し付けるからね!!」
「君に羞恥心は無いのかな!?」
「ふふん、センパイを手に入れるため容赦はしないのだよ。
さぁ早く教えたまえ〜〜」
「君と同じだよ」
「えっ」
「だから君と同じで、僕にとっての一番は七海と付き合えた
事に決まっているでしょ」
「そうなの?」
「朝は君の元気な声を聞いてやる気を出して
夜寝るときは君の甘えた声を聞いて寝る。
それ以上に幸せな事があるかな普通」
声以外にも七海の笑顔や匂い、性格など好きな箇所は
沢山あるが恥ずかしくて言いたくない。
だがそんな気持ちを七海は分かっているのかニヤニヤすると
「えへへ〜やっぱりセンパイってツンデレですね〜
本当は私が大好きなくせに〜」
「ーーさて寝よう」
「じゃあ私もセンパイの布団に夜這いを……あっ」
「どうしたの?」
「もう年越してました」
七海にそう言われて時計を見ると時計の針は2本共
一番上を指していた。
「まさかいつも通りの会話をしていたら年越しって……」
「まぁまぁそれも私達らしいじゃないですか〜」
「そうなのかな……あっそう言えば七海」
「なんですか〜?」
「今年もよろしくね」
「……はいっ!! 私こそ今年もよろしくねっ!!」

さて、今年はどんな一年になるのだろうか?
喧嘩や小さないざこざが起きるのかもしれない。
でも1つだけ言える事がある。
それは……

今年はとても楽しい一年になるだろうという事だ。

何故なら隣に可愛い彼女がいるのだから。

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