部活の後輩と付き合ってみた

きりんのつばさ

眼鏡

「……で、おうちデートって何するんだ?」
「あっ、言われて見れば……」
隣でちょこっと座っている凛子がそう言った。
……なお彼女はまだ怪獣の着ぐるみを着ている。
「なぁ凛子」
「はい、なんですか」
「家族の前でもその服か?」
「はい、それが?」
「……いや、凛子らしくていいと思う」
凛子の家族は娘や姉がこんな服を着ていても
何も不思議に思わないのだろうか?
「そ、そうだ!! 凛子の卒アルみたい!!」
「えっ!? わ、私の卒アルですか!?」
「そう凛子の!! やっぱ他の人の卒アル見るのって
テンション上がらないか?」
そして大好きな彼女のJKの頃が見れるのだから
なおさらテンションが上がる。
「……私のでよければいいですよ。
ちょっと待っててくださいね」
と彼女は自分の部屋に取りに行き、数分後……
「よ、よいしょ……」
両手で重たそうにアルバムを持ってきた。
「おぉ〜わざわざありがとうな!!
にしても結構重たいな……」
そのアルバムを預かって試しに持ってみると
男子の俺ですら結構な重さを感じる。
「まぁ……私の学校はこういうのに
お金を掛けますからね。表紙も無駄に高級感あります」
「無駄にって言ってやんなよ……」
改めて見てみると全体的に重厚感がある作りになっており
表紙とか触ってみると高級な感じがした。
……俺の学校のと天と地の差があるぞ、これ。
「見ていいか?」
「え、えぇ……どうぞ……」
と言われ、アルバムを開いた。
「おぉ……校舎広っ!? てか設備新しい!?」
1ページ目に入ってきたのは凛子が通っていた学校の
敷地内の写真であった。
そこにはかなり広めの敷地に新しい校舎や
最新の設備が写っていた。
「私の学校は私立でしたから校舎とかにはお金
かけていましたね……」
「やべぇ……1ページ目から圧倒されていた……
で、凛子のクラスのページはどこ?」
「い、いきなりですね……確か私のクラスは……
あっ、ここですね」
と凛子は自分のクラスのページを開いてくれた。
「どれどれ凛子は……あっ、いた!!
あれ、この頃は眼鏡だったのか?」
そこに写っていた凛子は眼鏡をかけていた。
なお今は眼鏡をつけていない。
「はい、この頃は眼鏡をつけていました。
大学に入ってからはコンタクトに変えましけど……
ちなみに先輩は眼鏡とコンタクトどちらが好きですか?」
「へっ? いきなりどうした?」
「べ、別に先輩の好みを聞いて今から変えようと
なんて思ってませんからね!!」
と言いながら手元に眼鏡を用意してある凛子。
一体、いつの間にとかいうツッコミは留めておき
試しに俺の意見を言ってみる事にした。
「俺か……俺は眼鏡の方がいい……」
「ーーどうですか先輩!!」
隣を見ると眼鏡をつけた凛子がいた。
……手元にはさっきまでつけていたコンタクトがあった。
「早っ!?  俺まだ言い終わってなかったよな!?」
というかコンタクトってそんなに早く取れるもんか?
「愛があれば大体の事は何とかなるんです!!
……って七海が言っていました」
「それは参考にしちゃダメなやつだろ!?
というか何故それを真似してしまうんだ……」
「……言っておいてなんですが確かに七海の発言は
間に受けちゃいけないですよね」
「……ちょっと気がつくの遅いな。
ま、まぁ俺は眼鏡であろうともコンタクトであっても
どっちでも可愛いからいいけど」
コンタクトをつけている凛子はいつも見慣れているから
安心感があるが、今初めてみた眼鏡姿の凛子も新鮮で
これも良かった。
(というか眼鏡をつけているとよくゲームで見る
ドジっ子を連想するんだよな……)
凛子の場合はしょっちゅう暴走するから尚更感じる。
……あと胸が大きのも眼鏡ドジっ子の要素を強くする。
「せ、先輩の変態!!」
「いやいや待ていーー!? 今の発言にどこか変態的な
要素あったか!?」
……まぁ心の中では思っていたが。
「眼鏡の私もコンタクトの私も可愛くて
どっちも怪獣凛子を倒して食べちゃいたいなんて
先輩は何を言っているんですか!?」
「言ってねぇ!? というか発想がぶっ飛び過ぎだ!?」
「せ、先輩は何を言っているんですか!!
こ、こんな昼間から私を食べたいなんて……!!」
「うん、一度落ち着こうか。うん、そうだ」
「ちなみに隠し味は何がいいですか!?」
「何の!?」
「ち、ちなみに私の隠し味は
ーーって先輩は私に何を言わせるんですか!!」
「言わせてねぇーー!!」
「先輩の事ですから私にあんな事やこんな事させて
美味しく食べちゃうんですよね!!そうですよね!? 
“凛子を美味しくいただくよ”って」
「誰だそのキザな奴!?」
なお俺はキザな奴が嫌いだ。
「……えっ? 食べないんですか……?
そうですよね……私みたいな陰キャラなんて
襲いたくないですよね……脂肪がただ付いている
だけの陰キャラなんて……」
凛子は与謝野や平塚に比べてむっちりしているが
決して太っている訳では無く、あの2人が細いというのも
相まってそう見えるだけである。
……個人的にはむっちりしている方が好きなんだが。
なんて今、この状況で言ったらますます悪化するので
言わないでおく。
とりあえず俺がやらなければいけないことは……
「はぁ……もう少し痩せようかな……こんな陰キャラ
なんかと普通は付き合いたくないだろうしなぁ……
はぁ……でも……ケーキ食べたい……」
こんな風に落ち込んでいる彼女をどうやったら
元気に出来るのかだった。

コメント

コメントを書く

「恋愛」の人気作品

書籍化作品