部活の後輩と付き合ってみた

きりんのつばさ

コタツの魔力


皆さんおまたせしました。
久しぶりの更新となります!!
今回も甘めとなっております笑






「よいしょ……」
「あれ? センパイ? 何しているんですか?」
「ん? そろそろコタツの時期だからさ
コタツの準備だよ」
僕が1人暮らしする様になってから毎年冬になると
コタツを準備する様にしている。
理由としてはあったかいのと僕個人がコタツという空間が
好きだからだ。
「コタツですか!?コタツってあのコタツですか!?」
コタツという単語を聞いた瞬間、何故か異様に
強い反応を示す我が彼女、七海。
「う、うん。コタツだよ?」
まぁどのコタツか分からないが。
「やった〜〜!! コタツだ〜〜!!」
両手を上げて喜ぶ七海。
「……?」
僕はコタツでどうしてそこまでテンションが上がるのか
分からなかった。
「いや〜コタツ私大好きなんですよね〜」
「まぁ僕も好きだけどね」
「おぉ〜好きな物が一緒……
ーーこれは明日にでも婚姻届出しにいかないと……」
「待って、話が飛びすぎだよ」
「いや〜思い立ったら吉日だって言うじゃないですか〜
ならば婚姻届もそんな感じで」
「……君の場合はいつも吉日な気がするな」
だっていつも七海は思いつきで行動するんだもん。
「まぁそれが私の長所って事で〜!!
さぁさぁ早くコタツを召喚してください!!」
「はいはい、分かりましたよ……」
と僕は押入れの奥底にしまっていたコタツを
引っ張り出してきた。
そのコタツの表面を吹いて埃を払い、布団を設置し
電源を入れた。
「はい、コタツ完成」
「やった〜〜!! 一番のり〜〜!!」
とコタツに入る七海。
果たしてコタツに一番のりとかそういう概念は
あるのだろうか?
「これで暖かくなる……
ーーまだ寒いよ」
「そりゃ、まだ電源入れたばかりなんだから
当たり前でしょ……」
身体をぶるっと寒そうに震わせた七海を見てそう言った。


「あ〜あったまる……コタツ最高〜〜」
「うん……確かにそうだね……」
僕らは2人揃ってコタツでぬくぬくしていた。
「そういえば七海の家ではコタツはないの?」
「ありますよ〜そりゃ、でも……」
「でも?」
「私があまりにもコタツでグダグダしていたら
没収されました……」
七海にそう言われ、その場面がすぐに
想像出来てしまった。
「七海の自業自得じゃないか」
「だ、だってあのコタツの魔力に逆らえるはずが
ないじゃないですか!? あのぬくぬく空間の魔力は!!」
「そんなに力説しなくても……
まぁその気持ちは分からなくもないけど」
あのコタツには行動する力を制限する力が
あるのかもしれない。事実僕もコタツに入ると
出たくない時がたまにある。
「そうですよね!? やっぱり私達って以心伝心……
ーー明日は」
「婚姻届は行かないからな」
七海が次に言いそうな事を先に行っておいた。
「ーー“国木田”の判子を作りにいかないと……」
予想の斜め上だった。
「そっちかい!?」
「だってセンパイの名字のハンコですよ?
いつか……いや、もしかしたらすぐ必要な事があるかも
しれませんからね!!」
「……早すぎるだろ」
「何事にも早すぎるに越したことはないんですよ〜
センパイのお嫁さんになるためには!!
ーーって私のお母さんが言っていました」
「またここで君のお母さんか!?」
「ふふ〜ん、私のセンパイに対する行動は大体が
私のお母さん仕込みですかね〜」
「何教えているのさ自分の娘に……」


としばらくコタツの中に入っていると
「寒い〜!!」
いきなり七海が叫んできた。
「寒い? コタツの電源は入っているはずだけど……」
一度確認してみるがきちんと電源はついていた。
「コタツが寒いんじゃありません」
「じゃあ何が寒いんだ?」
「それはズバリ……
ーー私の心です!!(ドヤッ)」
「……おやすみなさい」
「ちょっとセンパイ〜!? 無視は酷いですよ〜!?」
「……じゃあ何で言ったし」
「そりゃ私は常に思いつきで行動してますからね〜
前に凛子に
“七海って本当に猪突猛進よね”って言われましたし」
「……凛子さん、毎日七海がごめんね」
僕はいつも大学で迷惑をかけられているだろう
凛子さんに謝った。
「なので今私は心が寒いんですよ!!
なのでイチャイチャしたいんですよ〜!!」
「理屈が全く分からない……」
まぁ勢いで常に動いている七海に理屈を求めては
いけないのだろうけど。
「嫌だ〜!! センパイとイチャイチャしたい〜!!」
「はいはい、分かったよ……
ーーじゃあ隣に来る?」
と僕は自分が入っているコタツの布団を少しあげた。
2人が入ったらやや狭いがまぁ丁度良いだろう。
「うん!! 入る入る〜!!」
とこちらに小走りで来る七海。
「えへへ〜お邪魔します〜」
そして僕の隣に入ってきた。
七海が入ってきた事によりやや狭くなったが
彼女の体温をじかに感じる事が出来るようになった。
「ねぇセンパイ」
「ん?」
「腕に抱きついていい?」
「うん、いいよ」
「やった、じゃあ……」
と七海は僕の腕に抱きついてきた。
「えへへ〜やっぱりセンパイの腕は安心するな〜」
「そうかい?」
「うん!! だってセンパイの腕に抱きつけば
センパイを更に近くで感じられるんだもん!!
そりゃ安心しますよ!!」
「そうか……」
七海は満足そうに僕の腕に抱きついていた。
「じゃあ僕はこうしようかな」
というと僕は七海の肩に首を倒した。
「どうしたんですかセンパイ?」
「いや、僕も七海が近くにいて安心するから
ついね、こうすると安心するんだ」
「センパイ……私達気が合いますね」
「そうだね……」
「キス、しませんか」
「奇遇だね、僕も言おうとしていたよ」
「ふふっ、私達って本当に気が合いますね」
「だね……本当……以心伝心だね」

普段ならあまり僕が言わない事もすんなり言えて
しまうのは僕がコタツの魔力に逆らえなかったから
なのかもしれない。







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コメント

  • 雪雨

    心が温まる…これもコタツの魔力なのか!!
    (いいえ、2人の可愛さです)

    1
  • ミラル ムカデ

    七海の発想凄すぎ

    7
  • Flugel

    甘い!甘すぎる!ありがとうございました!

    1
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