部活の後輩と付き合ってみた

きりんのつばさ

ずっと隣で・・・

今回で京都旅行編はおしまいです。






「さて、吉晴。そろそろ本堂行こう〜!!」
「分かった。行くか」 
「それじゃあ行くよ〜!!」 
と俺の手を引き、走り出す桜。
「ちょ!? 早っ!?」
俺は桜の元気さに驚きながらも、走り出すのであった。
そして俺達は拝観料を払い、本堂に入った。
「おぉ〜〜!! 景色とっても綺麗〜!!」
「あぁ、そうだな」
俺も中学以来の清水の舞台からの眺めに感動していた。
そこから京都市内が一望できた。
この景色を見て、改めて今日来て良かったと思った。 
「どう? 元気出てきた?」
「まぁ……ボチボチかな」
「最初から上手くは難しいんだからさ
ゆっくり吉晴のペースで行こうよ。それに私や森も
ついていくから大丈夫」
「……なんか悪いな」
「いいっていいって〜吉晴は私が今日払った金額を
トイチで返してくれればいいって」
「ってやっぱりか!?」
「当たり前でしょ? だって私なんだからね!!」
「まぁ……しょうがないか」
何せ今日は桜に悪い事させたし、何よりも胸のモヤモヤが
取れた気がした。
「いやいや冗談を真に受けないでって
とりあえず吉晴が元気になったからいいかな」
「なぁ桜」
「なんだい吉晴クン? この桜大先輩に何か
悩みの相談かね? 追加はファミレスい」
「俺の隣でずっと俺を見ててもらえるか?」
「えっ……?」
「これから俺がどんな風に運営していくか分からないが
俺の隣で笑って励まして欲しい」
「……」
「もし桜が嫌なら構わない……」
「私で良ければ隣にいるよ。まぁ吉晴の隣には私以外
いさせるつもり無いけどね」
と優しく微笑みながら言ってきた。
(俺はこの笑顔があれば、頑張っていける。
この笑顔の為ならいくらでも努力する)
「そして、なんだけど吉晴クン?」
「あぁ、なんだ?」
「それってプロポーズ?」
桜は少し恥ずかしそうに上目遣いで聞いてきた。
「あぁ……あぁ!? いやいや待って待って
どうしてそうなった!?」
「だって普通さ彼氏に
"俺の隣でずっと俺を見ててもらえるか"
って言われたら思いますよ?」
「い、いやあれはだな……俺が主将として
変な事をしないかを見張って欲しいという意味……」
「部活の間だけでいいの?」
桜にそう言われ俺は頭の中で少し考えた。
そして……
「……悪りぃ、訂正してもいいか?」
「えっ、吉晴……?」
桜が少し悲しそうな顔をした。
「部活の間だけじゃなくてこれからずっと俺の隣で
俺を見てて欲しい」
「……うん、私でよければ隣で見ます。
はい、見ます」
「……」
「……」
そして少し間があき……
「「恥ッ!?」」
俺達は互いに恥ずかしくなった。
「俺は何を言っているんだ……!!」
「あぁ〜私も何言っているのかな〜!?」
俺達は2人とも頭を抱えていた。
桜の表情は見えないが、俺と同じぐらい真っ赤に
なっているに違いない。
(俺としたことが……まさか勢いあまって
プロポーズまがいの言葉を言うとは!!
失策!! 完全なる失策!!)
と2人とも恥ずかしさで悶絶しているところに……



「あれ織田じゃん」
「あっ、与謝野先輩〜!!」
「国木田先輩!? なんでここに!?」
向こう側から国木田先輩達が来た。
そして
「お〜い織田、与謝野〜」
「も、も、森に凛子さん!?」
今度は反対側から森と凛子さんの2人がきた。
「な、なんで先輩達がこちらに?」
「僕ら? 僕らは七海にせがまれて、かな」
「だって京都来て清水寺行かないなんて考えられ
無いじゃないですか!!」
と国木田先輩と平塚。
「俺もどう意見〜!! せっかくの京都だせ?
清水寺行かないとな!!」
「わ、私は結城先輩の行く場所ならどこにでも……」
と森と凛子さんというそれぞれのカップルらしい
返答が返ってきた。
「へ、へぇ〜そうなんですか……」
「あれ? 与謝野先輩、顔が赤いですよ?
まさか織田先輩といかがわしい事を……」
平塚はニヤニヤしながら尋ねてくる。
まぁ桜なら上手く返答できると思っていたのだが……
「……」
何故か黙る桜。
「ち、ちょっ桜さん!?」
「あ、あれ? 与謝野先輩?」
「……してないよ、はい。してません」
(間が不自然すぎるぞーー!?)
「まさかお二人とも大人の階段を登って……
ーーあっ、もう登り切りましたね」
1人で納得した平塚だった。
「ち、ちょっと七海!? 流石にそれはマズイって……」
凛子さんが平塚を止めに入る。
「さ、さて!! ここに全員揃ったし写真撮らない?」
国木田先輩がその様に言ってきた。
「そうですね!! 皆さん揃いましたし
京都旅行の記念として」
「おっ、いいっすね!! 凛子撮ろうぜ」
「わ、分かりました!! 与謝野先輩も
いかがですか?」
「う、うん。撮ろうかな……ほら吉晴も」
「お、おう……」
(国木田先輩ナイスフォロー!!
流石大先輩、彼女の扱い方慣れてる!!)
「で、どんな感じに撮る?」
「「そりゃ大先輩中心で」」
「はぁ!? なんで僕が中心なんだよ!!」
「大先輩ですし」
「森に同じく」
「吉晴に同じく」
「私の彼氏ですし」
「……すいません、多数決には勝てません」
「いいよ、凛子さん。1人でも味方がいてくれたらいい。
はいはい分かりましたよ。ほら、七海隣来て」
「どうせ来るなと言われても行きますよ〜とりゃ〜!!」
「誰も抱きつけとは言ってないよ!?」
と国木田先輩と平塚。
「俺達はどうする?」
「普通にピースでもしましょうか……?」
「そうだな」
森と凛子さん。
「よ〜し私も平塚を見習って……」
「桜、やめてね?」
「私まだ何もしてないよ!?」
「いや、絶対抱きつくだろ?」
「嫌だな〜抱きつかないよ〜
ーー首筋にキスマークつけるだけだって」
「問題大アリだ!!」
俺と桜。
それぞれのカップルらしい会話を繰り広げて
俺達は写真を撮り終えた。


「お〜私可愛く写ってる〜!!
流石センパイの彼女だよね!!」
「いやいや理由分からないからね七海……」
「ちょっと森〜表情硬いって〜隣に彼女いるんだから
笑っていこうよ〜」
「逆に彼女がいて緊張するわ!!」
「えっ……私がいると先輩が笑えない……?」
「いやいや凛子、毎度の事だけど落ち着」
「……結城先輩版魔女裁判始まります」
「あっ、それもう響きだけで俺が有罪になるのは
確実に分かる〜」
「……ところで後輩の皆さん」
と国木田先輩が改まった様に話しかけてきた。
「なんっすか国木田先輩?」
「どうしましたか?」
「森と織田は覚えてて欲しかったんだけど
ーー新幹線の時間忘れてない?」
「「あっ……」」
俺達は固まった。
「忘れてた……」
「初日に6人分予約していたんだーー!!」
桜達が一緒に来ると分かった初日の夜に新たに
新幹線の席を取り直していた。
「あ、あれセンパイ達? ひょっとして時間
ヤバイ感じですか……?」
「うん、ちょっと……いや結構マズイ」
「「……」」
「走りましょうよ!?」
平塚に言われて走り出す俺ら。
「何しているんですかセンパイ達は!!」
「いや〜つい旅行が楽しくて、ね?
忘れてました……」
「まぁ私だから許しますけど!!
私だから!!」
「……それでいいのか?」
そして俺達が坂を下っている最中
「吉晴……疲れた」
「桜? 大丈夫?」
「吉晴がお姫様だっこしてくれたら元気出そう……
あぁ〜誰かしてくれないかな〜?」
と俺をチラチラ見ながら言う桜。
声のトーン的にふざけているのは分かるから
普通に無視すればまた走り出すだろうが
何故か無性に桜にイタズラをしたくなった。
「分かった、桜」
「ふぇ? 」
俺は桜に近づき、しゃがむと桜の足に手をまわして
もう片方の手を桜の背中にまわすと
「よいしょっと!!」
桜を持ち上げた。
「ち、ちょっと吉晴!? な、な、何しているの!?」
「何って見て分からないか? 桜がされたがっていた
お姫様だっこだが?」
「いやいやそんな表情を変えずに言わないでよ!?
私が言いたいのは何でここでするの!?」
「だって桜が言ったじゃないか
"お姫様だっこしてくれたら元気出そう"って
ほら、しっかり捕まってくれよ」
と言い終わらない内に俺は走り出した。
「よ、よ、吉晴〜!! これは恥ずかしいって〜!?
そして意外と速いーー!!」
「オラオラ行くぜーー!!」
「吉晴が性格変わっているよーー!!
もぅーーどうしちゃったのさーー!!」
俺個人何でこんなにハイテンションなのか分からないが
ただ無性にこんな馬鹿な事をしたくなっただけだ。
(でも桜とはずっとこんな風にいきたい……
ずっとこの子の隣で……)
「なあ桜」
「何よ!? わ、わ、ちょっと」
「好きだ」
「……ッ!? そ、そ、そにゃ言葉で
誤魔化せるなんて思わないでね!?」
と言いながらさっきよりも顔が明らかに赤くなって
いた桜であった。








次回から年末にかけての話に入っていきます

コメント

  • Flugel

    あ^〜部活で疲れきった心身が浄化されていくんじゃあ^〜

    2
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