部活の後輩と付き合ってみた

きりんのつばさ

そこを心配してない!?









「ちなみに中高は昼休み何してた?」
「本を読んでいました。高校からイヤホンを常備で」
「……すまん、俺も全く同じだ」
「なるとですが……文化祭は?」
「当番やって、休みは屋上で売店の食べ物食べながら
ゲーム機持ち込んで遊んでいた」
「……私の場合、ゲーム機が本になってました。
それ以外全く同じです」
「まさかここまで同じとは……」
「何していたんでしょうか……私達」
「「ハァ……」」
同時に溜息をする俺ら。
自分でも意外だが、ここまで会うとは思ってなかった。
「結城先輩はよく部活に入ろうとしましたね
あ、あの別に馬鹿にしているわけでは……」
「分かってるから大丈夫。俺が部活に入ったきっかけは
新歓で国木田先輩に話しかけられた」
「国木田先輩とはそこからの付き合いですか?」
「そうだな、国木田先輩に話しかけられて
体験入部して、樋口先輩に言いくるめられて
入部届書かされて……今に至る」
最初は断ろうとしたのだが樋口先輩の口の上手さに
言いくるめられてほぼ強制的に書かされた。
「……ご愁傷様です」
「まぁ……俺は今でもまともに話しかけれるの
まだ少ないけど、話せる様になったから助かっている」
「凄いですね……」
「ちなみに凛子は平塚とはどういう経緯を経て
親友になったんだ?」
「私と七海ですか? そうですね……初対面は
ーー七海が隣でガイダンスで寝てました」
「初対面最悪じゃん!?」
というか寝過ぎじゃないか?
「そうですね、私も未だに思います。
その時、ガイダンスの要点をメモに書いて
七海の元に置いといたんですよ
そしたら……」


「ねぇねぇ貴方ってさっき私の隣にいたよね?」
「わ、私? ええ、確かにいたけど……」
「なるとこのメモくれたのって貴方?」
「私よ……? それがどうしたの?」
「ありがとうーー!! 本当に助かったよーー!!
いや〜起きた時は焦ったんだ〜」
「え、え、え?」
「あっ、ごめん私の名前言ってなかったね。
私、平塚七海よろしく〜!! 貴方は?」
「江國……凛子よ」
「よしじゃあ凛子ね!! 私は七海でいいから〜
よろしくね〜!!」


「ってな事がありまして……現在に至ります」
「流石平塚、勢いが凄い」
俺は素直に感心しながらも呆れていた。
多分あいつは人生、勢いだけで生きているのでは?
「でも七海のおかげで大学でのボッチは防げましたし
それに……」
「それに?」
「そのおかげで、ゆ、結城先輩にもあ、会えましたし」
「そ、そうか……」
凛子が照れながら言うもんだから
こっちまで照れてしまう。
「というか俺ら2人ともあのカップルになんやかんやで
義理とか恩とかあるよな……」
俺に至っては部活では国木田先輩、凛子と付き合うでは
平塚という両者に世話になっている。
「そうですね……でも七海には素直に感謝出来ないのは
気のせいですかね……」
「凛子……多分それは気のせいじゃないだろうな
あと与謝野も同じ感じだ」
国木田先輩と織田には普通に感謝出来るのだが
平塚と与謝野には感謝するのを躊躇ってしまう。
……専ら日頃の行動のせいだろう。
「ま、まぁ先輩方には感謝してますし
今度何かあったら私達が助けましょうよ」
「そうだな!! そうするか!!」
多分あの先輩は
"あれ? 僕何か特別な事したかい?"
って言うだろうけど俺らにとっては
かなりの事をしている。
(だから次何かあったら俺が助けますよ)
そう、心の中で決めたのであった。
「まっ、まだ俺なんて国木田先輩の足元にまだまだ
及ばないけどやっていくしかないよなぁ……」
「ん? 何をですか?」
「いや、こっちの話だから気にしないでくれ」
と俺が言うと
「こっちの話……男性の彼女に話せない話……
浮気ですか?」
「いや、待って、話聞いて」
「はっ、そう言えば平塚が
"森先輩って和服着てる人大好きだよ"
って言っていましたね……」
「あのトラブルメーカーか!?」
「まさか京都で和服が似合う女性と浮気旅行……!?
帰りの電車で入れ替わって完璧なアリバイ工作をして
彼女の私にバレない様に……」
「あれおかしいぞ? 話がどんどん変な方向に流れて
いくのは何故だろうか?」
「せ、先輩の変態!? なんで彼女の私で和服を
試さないんですか!? ここに合法的に着せ替え出来る
私という女性がいるんですよ!?何故しない!?」
「何故俺が浮気をする前提で話を進める!?」
「先輩に命令されたら和服だけじゃなくて
メイド服、チャイナドレス、浴衣、巫女装束
み、水着だって着ますよ!?先輩そういうの好き
ですよね!? だって前回平塚からリークがあった
そ、そういう類の本の表紙の女の子みんな
コスプレしてましたよね!?」
「平塚ーー!! 
というかよく覚えていたな!?」
「だって好きな彼氏の性癖ぐらい覚えておけって
七海が真顔で言っていました!!」
「その真顔が間違っているんだよーー!?」
「ちなみに割合的に1位が浴衣、2位が巫女装束
3位がメイドでした!!」
「その分析いらねぇ!!」
まさかここで凛子の頭の良さが仇になるとは。
「大丈夫です、寒くても浴衣着ますから!!」
「そこを心配してない!?
あぁーー平塚!! 本当に恨むからなーー!!」
この旅行において何度めか分からない叫び声を
あげた俺であった。






次回から織田と与謝野の話です。

「部活の後輩と付き合ってみた」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「恋愛」の人気作品

コメント

コメントを書く