部活の後輩と付き合ってみた

きりんのつばさ

たまにこっちもね


今回から森と凛子の回となります。





「で、俺らはどこに行こうか?」
「東寺とかどうですか?」
「……あのみかん? を風呂に入れる奴か?」
「それは冬至です……確かにもう少しですけど
私がいきたいのは東寺っていうお寺です」
「あっ……また無知を露見した……」
俺は昔から理系のは覚えられるが建物は金閣寺ぐらいしか
覚えていない。
……まさか彼女の前で晒すとは。
「だ、大丈夫ですって!! 最近の大学生でも
知らない人はいますから!!」
「……それって俺もそっち側って事だよな……」
凛子はフォローしているつもりなんだろうけど
余計に心にダメージが入る。
「あっ、いえいえ!? 決してそういう意味では
ないですよ!? わ、私は結城先輩をフォローしようと
あれ? でもどうやって言えば……あれはダメ
これもあまりフォローになってないし……」
「い、いや凛子大丈夫だよ? 慣れているから」
「いえそれだと私の気が収まりません!!
わ、私の彼氏ですから!! わ、私の彼氏だって……
えへへ〜言い響きね……
ーーって何を言わせるんですか!?」
「……理不尽だ」
最近慣れ始めた凛子の夢の世界にドリップして
何故か怒られるこの流れ。
「わ、私の彼氏なんてゆ、結城先輩ごときが
おこがましいですよ!!」
「そこまで言われるか俺!?」
今"ごとき"って言われたよ俺……。
「あっ、ま、間違えた!? 先輩ごときじゃなくて
私ごときがでした!? 私ごときが先輩の彼女なんて
おこがましいんですよ!!」
と左手を腰に当て、右手の指をこちらに向けてくる。
「……なぁ凛子、それは誰に向けて言っているんだ?」
「へっ……? あっ、しまったーー!!
これも間違っている!? ど、ど、どうしましょう!?
教えて結城先輩!? 教えてくれなきゃ
い、イタズラしてください!?」
「ハロウィンかい!?
ってかイタズラしてくださいって何!?」
「ハロウィン……コスプレ好きの先輩は私に
色んな服を着せて……辱める……ニヤニヤして
私はそれが徐々に快感に……
ーーだ、大丈夫です!! ハロウィンじゃなくても
いつでもコスプレ大丈夫です!!」
また凛子が妄想の世界にドリップしていた。
「会話が飛躍している!?」
「先輩は私にコスプレさせないんですか!?
普通可愛い彼女がいたらさせますよね!?
って七海が言っていました!!」
「犯人あいつかーー!!」
決めた。
次、平塚に会ったら問いただすか……
あいつは俺の彼女に何吹き込んでいるんだ!?
「はっ……ついいつもの癖で暴走してました……」
「いつもって自覚あるんだ……」
俺は多少苦笑しながら言った。
「それは……はい、あります……」
「ま、まぁそれも個性だからいいんじゃないの?」
我ながらすごい発言をしているけど
とりあえずは凛子を刺激しないようにしよう。
「そうですか……?」
「そうそう、だからそこまで落ち込まなくていいぜ」
「でも、毎回暴走して結城先輩に迷惑かけていますし」
「少なからず俺は凛子の暴走を迷惑なんて
思ってないけどな?」
「なんでですか? 自分で言うのもなんですが
私結構面倒な暴走してますよ……?」
「自覚あるんだな……まぁでもさ俺は凛子の暴走を
面倒なんて思わない」
最近、国木田先輩が"面倒"なんて言いながらも
平塚の世話をしている理由が分かってきた。
多分、国木田先輩と同じ思いなのだろう。
「あの……俺自身も上手く言葉で言えないんだけどさ
凛子の暴走は見て、可愛いから面倒なんて思わない。
なんならとことん付き合ってやるよ」
「結城先輩……」
「だから凛子はそのままで大丈夫だ。
なんかあったら俺がフォローするし」
「ゆ、結城先輩!!」
「ん? どうした?」
「ならこれからも私は暴走しますけど……
大丈夫ですか?」
「あぁ」
「本当に?」
「あぁ本当に」
「本当の本当に?」
「本当の本当に」
「マジですか?」
「マジで」
「分かりました。先輩がそこまで言うなら
私はこれからも暴走します。だから……」
と言うと凛子は一呼吸おき
「ーー隣で見ててもらえますか?」
と上目遣いで見てきた。
さりげなくだが凛子の上目遣いを見たのは初では?
だが今はそんな事は関係ない。
「あぁ、任せろ!!」
俺はそう返事をした。
「ありがとうございますね、ふふっ」
とその時、凛子の自然な笑顔が出てきた。
「可愛い……」
「えっ?」
「可愛い……今の凛子めちゃ可愛い」
「あ、あれ結城先輩?」
「可愛い、とりあえず可愛い。他言は認めない可愛い。
凄く可愛い。やべぇ可愛い」
「結城先輩〜?」
「このまま家に監禁して、一生誰にも見せたくない。
あの笑顔は国宝級だ」
「あ、あれ結城先輩がまさか暴走?」
「京都のどんな寺や神社よりも価値がある笑顔だ。
国宝? いや世界遺産だ」
「どうしよう結城先輩が壊れた!?
こ、こ、この場合は私が止めなきゃ……
どうやって!?」
「今の俺なら国木田先輩にも勝てる気がする」
「結城先輩ーー!! 戻ってきてーー!!
もう暴走しませんからーー!!」

コメント

  • サク. ap

    この旅行、色んな人が壊れてる…
    (もちろんいい意味で)

    2
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