部活の後輩と付き合ってみた

きりんのつばさ

次を任せる人







「いや〜たまにはこういう静かな場所でのデートも
新鮮でしたね〜」
「そうだね。帰ったら七海が好きそうな博物館を
適当にピックアップするよ」 
「わ〜い!! ありがとうセンパイ〜!!
フフ……これで新しい範囲を拡大出来ます。
いや〜!! センパイの色にどんどん
染まっちゃうよ〜!! この悪人が〜」 
「それは嫌がっているのか……?」
「いや全然全く?」
「分かりづらい……」
「センパイの色に染まるのは嬉しいですよ〜
あっ、そのまんま身体もセンパイごの」
「国木田ツインチョップ!!」
僕は七海に両手でチョップをかました。
「あだっ!? 痛いですよ〜!!
可愛い彼女に何をするんですか〜!!」
「君が変な事を言うのが悪いんだからな!?」
「むぅ……センパイのヘタレ」
「ヘタレじゃなくても普通やらんだろ!?
というか可愛く言っても駄目だからな?」
「キャ、センパイが私の事可愛いって〜
もう私の事大好きなんだから〜!!
このムッツ」
「国木田はチョップの構えをした」
「……調子に乗りました。すみませんでした」


「いや〜でももう11月もおしまいですね〜」
「そうだね」
「あれ? ってなるとセンパイはあと少しで
幹部引退ですか?」
「あっ……確かに」
言われてみれば僕が幹部としての任期も
あと2週間も無かった。
「いや〜幹部も終わりですね〜」
「本当に色々あった……」

ーー主将の夏目をなだめたり

ーー後輩達の面倒をみたり

ーーOB先輩と相談したり

……まぁ七海と付き合い始めたのもある意味
ハプニングに近いけど。

幹部になってからの1年間は本当に色々あった。

「この旅行が終わったら森に引き継がないとな……」
「あっ、会計って次森先輩ですか?」
「うん、そうだよ?」
「……ある意味大変でしょうね」
「ん?」
「いえいえ、何でも無いですよ。
センパイは幹部をやってどうでしたか?」
「僕か……」
僕は幹部としての1年間を改めて振り返った。
「まだまだやれる事はあったんだろうな……」
「センパイ?」
「ほら、僕達って喧嘩ばっかりだったからさ。
後輩達にはあまりいいところ見せてないからね……」
特に僕と夏目の喧嘩は日常茶飯事だ。
よく4年生の先輩やOB先輩に注意されていたが
結局最後まで変わらなかった。
「センパイ……」
「まぁ森や織田、与謝野さんには僕らみたいな
幹部にはなって欲しく無いかな……
あまり僕らは手本になる幹部じゃなかったからね。
そもそも僕自身も幹部としては微妙」
「それは違いますよ!!」
「七海……?」
七海がいきなり大きな声を出してきたので驚いた。
「わ、私はセンパイが誰よりも幹部として
頑張っていたのを知ってますよ!!
だっていつも同じ空間にいましたから!!」
「……」
「いつも私達、後輩の事を考えて行動してましたし
上級生と下級生にが喧嘩しないように仲裁に入って
くれました!! 合宿でも誰も倒れない様に
私達の体調を最後まで気を使ってくれました!!
そんなセンパイが微妙な訳ないじゃないですか!?」
と一気に七海にまくし立てられる僕。
「ありがとうね、七海。
でもそんなに気を使わなくても……」
"いいんだよ"って言いかけた瞬間
「ーーナナミンアタック〜!!」
との掛け声で七海が僕の胸に飛び込んできた。
「い、いきなりどうしたのさ」
「おバカなセンパイに少しお仕置きをしようと思って」
「その割には随分弱い体当たりだけど」 
「うるさいです。ナナミンアタック〜」
と今度は拳でポカポカ叩いてくる。
「な、何がしたいの……?」
「うるさいですよ、サンドバッグ」
「せめて人扱いしてもらえる!?」
そしてしばらく叩いたあと、僕の背中に手を回して
抱きついてきた。
「センパイ大丈夫ですよ」
「えっ……?」
「センパイの大好きな彼女が自身をもって言います。
センパイは頑張った!! それはもうとても!!
めちゃくちゃ頑張った!! 凄い!!」
「七海……」
「だから自信を持ってくださいよ。
"僕は頑張った"って。"ひれ伏せ後輩共"とか」
「僕はそこまで言わないかな……」
というか誰だよ、その王様キャラ……。
「なんなら"帰ったら沢山可愛がってやろう七海"
でも構いませんよ〜!! いや〜センパイに
可愛がってもらえるならいつでも!!」
「君は真面目な雰囲気を自分で作って壊すの
好きだよね……」
「まぁでもセンパイは頑張ったんですから
それは誇っていいと思いますよ?」
「そうかな……」
「そうですよ!! センパイが頑張っているのを
私だけじゃなくて森先輩、織田先輩、与謝野先輩も
知ってますし!! だから自信を持ちましょう!!」
「そうか……そうだね。そうしてみるよ」
自分でも現金な性格だと思うが、七海に言われて
少しは自分に自信が出てきた。

ーー僕の代が上手くいったのか分からない

ーーもしかしたらじゃなくても失敗したのかもしれない

ーーでも七海達が数人でも良かったって思っていて
くれたら少しは僕が頑張った意味があるのかもしれない

「七海、ありがとうね」
「いえいえセンパイの彼女ですし当たり前ですよ〜
まぁ〜センパイが頑張ったご褒美は私ですよね〜」
「ふふ、確かにそうかもね」
「あぁーーセンパイ笑いましたね!?
今絶対"こいつ何言ってんだ"って思いましたね!!」
「いやいやそんな事思ってないよ、ふふ」
「今絶対笑いましたよね!? もぅ〜センパイ
真面目に話聞いてよ〜!!」
「聞いてる聞いてるって、ハハッ」
「この人絶対話聞いてない〜!!
うわ〜センパイが壊れた〜!!」
(部活を頑張ったご褒美が七海か……
あながち間違って無いのかもしれないな
でもそのご褒美は僕には充分過ぎるな)
「ねぇ七海」
「なんですかセンパイ!!」
「ーー帰ったら沢山可愛がってやろう七海」
「えっ……」
七海はきょとんとした表情をしたが、すぐに赤くなった。
「さて、次の目的地に行こうか」
「待って待って!? 今なんて言いました!?
可愛がってやろうって言いましたよね!?」
「さて行くか〜」
僕は七海の反応が面白くて、あえてそんな返事をした。
「センパイ〜!? 無視しないで〜!!
あっ、でも放置プレイをするセンパイもいい……
とりあえずさっきの発言もう一回言って!!
ろ、録音して毎日寝る前に聴くから!!」
「……」
相変わらずな我が彼女だった。








次回は森と凛子の回です。

「部活の後輩と付き合ってみた」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「恋愛」の人気作品

コメント

  • 隻眼の王

    やっぱり七海は正義

    2
  • ペンギン

    いつも楽しみにしています!
    僕はこの2人が一番好きです!

    3
  • ミラル ムカデ

    ゴーヤがおいしい
    この作品のおかげか!(いい意味で)

    4
  • Flugel

    さっきからデスソース飲んでるはずなのに練乳の味がする・・・
    あっこの作品のせいか!(最高な意味で)

    2
  • ノベルバユーザー149501

    この作品のおかげでブラックコーヒーが飲めるようになりました!(o^^o)(とてもいい意味で)

    6
コメントをもっと見る / 書く