部活の後輩と付き合ってみた

きりんのつばさ

2日目開幕







「ん〜よく寝れた」
僕は布団から出た。
時間を見ると7時だった。
七海達とは7時半に朝食のために待ち合わせをしている。
「さて今日はどこに行くのやら……」
昨日は各カップルバラバラだったが、今日は一緒に
行動するのだろうか、それとも昨日と同じ様にバラバラで
動くのだろうか。
それは七海達の気分次第で変わるだろう。
えっ? 男性陣の意見はって?
……少なくともこの旅行中は男性陣に意見する権利は
皆無だと思うよ?
「まぁ、一応プランだけでも考えておこうか」
と僕はメモを取り出し、七海が行きそうな場所に
目星をつけていく事にした。
僕がしばらくそんな事をしていると
「うわぁ……眠い……」
「起きないと……桜に財布の中身を減らされる……」
森と織田が起きてきた。
2人ともかなり眠たそうだ。
というか織田は起きてそうそう財布の心配かい?
「2人ともおはよう。まだ時間があるから
顔洗ってきたら?」
「そうするっす……」
「そうします……」
2人揃って眠たそうな返事をする。


そして7時半になり部屋の前で女性陣を待っていると
ガチャ
「おはようございます、先輩方」
「おはよう〜」
「すぅ……まだ寝たい」
と挨拶順に凛子さん、与謝野さん、七海となっている。
七海は凛子さんに半ば引きずられている状態だ。
「あ〜朝からいきなり迷惑かけてすまないね凛子さん」
「いえ、私は慣れてますので大丈夫ですよ。
先輩は毎日こんな事をしているのですか?」
「うん、そうだね」
毎日七海を半ば叩き起こしている。
「ほら七海? 国木田先輩いるわよ?」
「え〜センパイ? ふへへ〜」
と表情はニヤニヤしているが目は開いていない。
「……駄目です、全然起きません」
「凛子さん、甘い」
「えっ……?」
「こういう時はこうするのさ」
と僕は七海の耳元に口を近づけて
「七海、起きないと
ーー明日から自炊してね?」
「はい!! 起きます!!
だから明日もご飯作って〜!!」
「「起きた!?」」
凛子さんを始め、僕と七海以外の全員が驚いていた。
「ほら、起きたでしょ?」
「まさかそれで起きるとは……」
「流石七海……というかどれだけ自炊嫌なの……」
「凛子、私は自炊が嫌なわけじゃないの。
センパイのご飯が美味しいだけ」
「七海、貴方って国木田先輩に生活依存し過ぎじゃ」
「私は悪くないよ。センパイが至れり尽くせりなのが
悪いの、私は無実だよ〜」
「……だって七海が家事スキル皆無なんだよ」
「「察しました……」」
「ちょっと皆さん!? わ、私だって本気を出せば
家事でセンパイ越えも可能だよ!?」
「無理ね」
「無理かな〜」
「無理だな」
「……俺は言わなくてもいいよな?」
「先輩方〜!? 全員揃ってその反応は酷くない!?」
「七海」
と僕は七海の肩を優しく叩いた。
「センパイは私の事を」
「七海の魅力はそれ以外にあるよ」
「何気にセンパイのが一番酷いよ〜!?」
「国木田先輩の会心の一撃
ーー平塚は倒れた」
「本当ですね……」


そんな感じで僕らは朝ごはんを食べた後、
各自荷物をまとめて、宿を出た。
「さて今日はどうする?」
「そうですね、俺としては全員で……」
「何言っているの吉晴? 貴方は私と2人だよ。
ーーまだ財布を完全に絞りきってないよ〜」
「桜さん!? 貴方は鬼か!?」
「……嘘ついたの誰だっけ?」
「くっ、痛いところ突いてきやがって……」
この瞬間、織田の財布が財政破綻する事が
確実になった。
「ゆ、結城先輩!!」
「いいぜ、俺らも2人で動くか?」
「はい!! 
ーーあっ、でも国木田先輩達は……」
「私は大丈夫だよ〜2人きりで楽しんできて〜」
「うん、行ってきな。僕は七海といるからさ」
「じゃあ先輩の言葉に甘えて、俺らも行くか?」
「そうですね!!」
と一段と嬉しそうな凛子さん。
「凛子〜嬉しそうだね〜
はっ、まさか!? 2人きりで変な事を
ーー痛い痛い!! 
寝起きアイアンクローはくるって」
「あ・な・た・が!! 変な事を言いだすからでしょ!?
結城先輩が行きたいならか、構わないけど……」
「あっ、行く気あるんだ。
凛子ってムッツリ
ーーぎゃああーー!! 力強めないで!?
何か出ちゃう!? 
出ちゃいけないのが出ちゃうって!?」
「貴方に反省っていう単語は
無いのかしら……!!」
「せ、センパイへ、ヘルプ」
「ちなみにここでは着物体験が出来るぞ?」
「マジっすか!? 行ってきます!!」
「センパイの薄情者〜!! 
あっでも放置プレイをする
センパイも新たな魅力……」
「七海……!!」
「凛子さん〜!? 
本当に痛いからやめて〜!!」

波乱の旅行2日目開幕






次回から再び各カップルの
視点に入っていきます

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