部活の後輩と付き合ってみた

きりんのつばさ

一方こちらは


今回から森と凛子の話に入っていきます。





「さて先輩、どこに行きますか?」
「俺は金閣寺に行きたいが、り、凛子はどう思う?」
「そ、そうですね。ゆ、結城先輩が行きたい場所なら
私はそこで構いません……」
「お、オッケー。じゃあ行くか」
「わ、分かりました……」
とお互いの下の名前で一苦労する俺ら。
こんなの今回の主犯である樋口先輩に見られでもしたら
会う度にからかわれる。
それだけは本当に勘弁してくれと切に願う。
(いやでもまさかいるはずが無いだろう……)
「……どうしましたか?」
「いや、なんでも無い。じゃあ行こうかり、凛子」
「あ、あの……結城先輩」
「ん? どうした?」
「て、て、て」
「なんかレベルアップしたのか?」
「ち、違います!! これです、これ!!」
「これ……? あっ、そういう事……」
凛子が自分の手をブンブンと振っていたので
彼女が思っている事が何となく想像がついた。
「こういう事だよな?」
俺は彼女を手を掴み、そして指を絡ませた。
「せ、正解です……」
「お、おう」
「……」
「……」
そしてお互い黙ってしまう。
(この場合、どんな会話をしたらいいんだ!?
前に織田に聞いた時は
"俺はあんまり会話が途切れないからな"
なんて言われたし。
国木田先輩に至っては
"僕ら? 大体七海がずっと喋っているかな"
ってそれって会話!?なんて思ったし!!)
俺は表情こそ変えないが、頭の中で何万通りの会話を
考えては自分のコミュ力の無さに頭を抱えていた。
「結城先輩は迷惑でしたか?」
「は、はいっ!?」
いきなり凛子から話を振られて一気にパニくる俺。
「やっぱり先輩は私が勝手に来て迷惑でしたか?」
「な、何でそう思うんだ?」
「だって先輩、さっきから困った表情ばかり
なんですよ……」
「い、いや……そういう訳では無いんだよな」
ただどんな会話を振ればいいのか分からないだけだ。
彼女と旅行なんて天に昇るぐらい嬉しい!!
「今からでも私……帰りましょうか?
七海達には上手い事言って置きますので……」
「だから違うって!!」
「っ!?」
「あ、その……大きな声出してすまん」
「い、いえ……私は大丈夫です」
「俺は君と旅行する事に不満は無いし……
むしろめちゃくちゃ嬉しい!!」
「へっ……?」
「だってこんな可愛い彼女がわざわざ京都まで来て
一緒に旅行してくれるんだよ? 嬉しくない訳が
ないじゃないか」
「へ、へっ? は、は、ひっ?」
凛子は変な声を出しながら顔が面白いぐらい
赤くなっていた。
「さっき俺が困惑していたのはり、凛子にどんな会話を
振ればいいのか、わ、分かんなくて……」
我ながら情けない理由だと思う。
「ふへ……」
目の前の凛子もかなり混乱しているようだ。
そんなの構わず俺は続けた。
「だから決して凛子といて、楽しくない訳が無い
という事を理解していただけると嬉しいです、はい」
と何故か語尾が敬語になってしまった。
「……」
何故か無言になっている凛子。
「あ、あれ……凛子〜?」
試しに凛子の顔の前で手を振ってみる。
「……はっ、つい結城先輩との新婚生活を
妄想していました」
「早っ!?」
「子供は男女1人ずつで、休日は家族で一緒に
レジャーに出かけて……」
「待って待って、気が早いって!?」
というかよくその数秒でそこまで妄想膨らんだな!?
俺の彼女改めてすごいわ!!
「えっ……私とそういう気は無いんですか……
ですよね……そうですよね……私なんか……」
とネガティヴモードになる凛子。
「いやいやバリバリあるよ結婚する気!!
でもゆくゆくはだからな!?」
そうだ。いつかは凛子と同じ籍に入って
一緒に家庭を築いていきたいが!!
まだ早すぎる。
「結婚って……!? なんですか先輩は!!
な、な、な、な、何を言っているんですか!?
わ、わ、わ、私達まだ学生ですよ!!」
「先に言ったの凛子だよな!?」
「何ですか先輩は私をキュンキュンさせて
殺したいんですか!? そうですか!?
そうだと言ってください!!」
「あぁ〜!! 誰かこの場合の最適解教えてくれーー!!」
俺は前方に見える京都の山々にそう叫ぶのであった。

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コメント

  • A・L・I・C・E

    凛子さんや

















    可愛えなぁ

    3
  • ペンギン

    初々しいですねぇw

    3
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