部活の後輩と付き合ってみた

きりんのつばさ

祭の中心で想いを叫ぶ

学園祭3日目
昨日、お互いの彼女にこってり絞られた僕らは
ブースにて僕と森が作り、織田と1年生が接客していた。
「サーターアンダギーそろそろ材料無くなるよ〜」
「そのまんまで大丈夫です〜もう終わりに近いので」
「オッケー」
というかもう今年の学園祭も終わりに近い。
なんやかんやで今年も色々とあった気がする。
でも……
(七海の巫女姿可愛かったな〜)
2日目からは僕が周りの野郎共に見せたくなかったので
私服で呼び込みをしてもらった。
……本音を言えば呼び込みも行って欲しくはないのだが
まぁワガママばかりを言えるはずも無く、断腸の想いで
七海を送り出した。
尚、今七海は休憩に行っていて、凛子さん、与謝野さんと
買い出しに行ってもらっている。
とサーターアンダギーを揚げていると放送が流れてきた。
「さぁーーて今年の学園祭も終わりに近づいてきました。
そして学園祭の最期のメインイベント!!
"祭の中心で想いを叫ぶ"
がそろそろ始まりまーーす!!」
「あぁもうそんな時間か……」
僕はその放送を聞いてそう思った。



"祭の中心で想いを叫ぶ"とは……

学園祭最終日に中央のステージに上がり、自分の思いを
全力で叫ぶイベントだ。
イベント名を変えながら、かれこれ30年近く続いている
学園祭最終日イベントだ。
想いを叫ぶと言っても色々とあり
教授への愚痴、学園祭について、友達への感謝
まぁ一番多いのは好きな人への告白だが……
観客の人達はある意味、その告白の結果を楽しみに
しているかもしれない。
このイベントに関しては教授や先輩への愚痴も
ある程度無礼講という事もあり許される。
「おっ、今年も始まるね〜公開告白」
と後ろでサーターアンダギーを食べている
樋口さんが言っていた。
「まぁ大半が告白だからね、しょうがないね
……てか商品食うなよ樋口さん」
「ん?大丈夫大丈夫。私きちんとお金払っている分
食べているから、問題無い
ーーおかわり」
「ったく……はいよ、100円ね。
お金は織田に渡して」
「は〜い、にしても今年は楽しくなりそうだな〜」
「なんか面白い人でも出るのか?」
「まぁまぁ楽しみにしてなって」
と樋口さんはまたサーターアンダギーを食べていた。


そしてとうとう"祭の中心で想いを叫ぶ"が始まった。
僕と樋口さんはブースから見ていた。
「今年は成功率高めだね〜」
「だな。にしても今回は色々だな……」

例えば
「教授ーー!! ゼミの飲み会奢ってくださいーー!!」
なおこれはその場にいた教授がオッケーを出した。


「先輩ーー!! 締め切り守ってーー!!」
には
「なら、後輩ーー!! お前は集合時間に
間に合ってから言えやーー!!」
という応酬が来たり


「◯◯さんーー!! 好きですーー!! 
だから付き合ってくださいーー!!」
「俺でよければ喜んでーー!!」
という普通の告白があったりと
ただ叫ぶだけでは無く、相手からの応酬も名物の1つだ。

そして半ばぐらいに差し掛かった頃
「では〜次の人行ってみましょう〜!!」
「次も告白かな?」
「まぁまぁ見てなって〜」
「平塚七海さん!! どうぞこちらへーー!!」
「なんだって!?」
「は〜い!!」
なんとステージに上がって来たのは七海だった。
「あの子、何しているの!?」
勿論、僕は何も聞かされていない。
隣でクスクスと笑っている樋口さんは後回しにして
僕は七海の方を見た。
「では〜平塚さんが想いを叫びたいのは誰ですか〜」
「それは彼氏の国木田拓海さんです!!
あっ、センパイ〜!! お〜い!!」 
と僕の方に向けて手を振る七海。
(お願い、こっち見ないで……めちゃくちゃ
恥ずかしいからさ)
「ちなみにちなみに彼氏さんは年上ですか?」
おい、司会者黙れ。
余計な事を聞くんじゃない!!
「はい、私の1つ上で部活の先輩なんです〜」
そして七海はニコニコしながら話さないで……
さっきから観客の人達が僕を見て、ニヤニヤしてくるから
本当にやめてほしい。
「じゃあ想いを叫んでもらいましょーーう!!」
と司会者が言うと七海は大きく息を吸い、そして……
「センパイーー!! いつもありがとうーー!!
私、センパイの彼女で幸せでーーす!!
これからもよろしくねーー!! 大好きーー!!」
全力のノロケをステージ上で放った。
「うぉーー!!」
それを聞いて盛り上がる観客の人達。
「もう、おうちに帰りたい……」
恥ずかしくなり顔を伏せる僕。
「おぉーーっと!! 彼女からの感謝の言葉に
彼氏はどのように答えるのか!?」
はい? 今何て言いました?
「じゃあ彼氏さんにも返事をいただきましょうーー!!
さぁさぁ出てきて、出てきて!!」
「んなもん絶対でるも
ーーはいはい、分かりましたよ」
観客の人達の視線に負けた僕は抵抗を諦めて
ステージ上の七海を見つめ、そして……
「僕こそありがとうーー!!
いつも笑顔でいてくれて本当に感謝してまーーす!!
これからもよろしくねーー!!」
大声で叫んだ。
「彼氏さんも盛大にノロケましたーー!!
いや〜お熱いですねーー!!」
「センパイーー!! 今日のご飯、カレーがいいーー」
「今それ言わなくていいよね!?」
「おーーっと2人は同棲していたーー!?」

僕は後日、同じ学部の友達からもからかわれる事に
なるのであった。







次回で学園祭編はおしまいです


コメント

  • 雪雨

    叫びに対する返事がバリエーション豊富で面白いw
    司会者ナイスwあと、奢る教授がなんか好きw

    2
  • ミラル ムカデ

    ニヤニヤミセスにはいられないでしょう?
    コーヒー飲みたい……

    3
  • ノベルバユーザー81968

    ( °ω°):∵グハッ!!.....俺はもうダメだ.....
    せめて、平塚のセーラー服姿が見たかった...。。。(lll __ __)バタッ

    6
  • A・L・I・C・E

    甘い甘い!なんだこれは!砂糖か!?
    ん?「部活の後輩と付き合ってみた」?なんだこの作品は!甘いぞ!

    5
  • Yori

    甘すぎましたね!
    少しにやけてしまいました!

    4
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