部活の後輩と付き合ってみた

きりんのつばさ

パクパクもぐもぐ








しばらくして与謝野先輩は泣き止んだ。
「……ありがとう、平塚、わざわざ
付き合ってくれて」
「いえ、私も暇だったので〜」
(というかあの状態の先輩をほっとけないでしょ……
1人にしたら何するか分からないし……)
「……吉晴に合わせる顔が無い。
もうやだ〜部活行きたくない〜大学嫌だ〜」 
「いやいや織田先輩、怒ってないですって〜
大丈夫ですよ、織田先輩なら与謝野先輩の事
すぐ許してくれますよ」
  「でも……さっき許してくれなかった……
私達もう終わりだぁぁーー!!」
また泣き出す与謝野先輩。
「だ、大丈夫ですって!!と、とりあえず!!
気分転換に外に出ましょう!!
うん、そうしましょう!!」
「でも……」
「ほら、行きますよ!!あっ、その前に
メイク直さないと……」
さっきまで与謝野先輩は泣いてばかりだったので
メイクがかなり崩れていた。
「……もう直すのも嫌」
「私がやりますから、与謝野先輩は顔を洗って
くれれば大丈夫ですよ」
とりあえず与謝野先輩を洗面所に行かせて
私はメイクの準備をするのであった。

「……もう嫌だ、死にたい」
「いやいやまだ死ぬには早すぎますって」
見るからに覇気がない与謝野先輩。
それでも持ち前の美貌は全然
衰えてないのだから不思議だ。
(それって反則じゃないですか?
しかもいつもの元気さは無いから
清楚なお嬢様感出してるし……)
服装も服装のため、お嬢様感を醸し出している。
与謝野先輩は基本的に黙っていて且つ
美少女に抱きつく癖が無ければ、クールなお嬢様に
見えるのだが、後者の癖が全て台無しにしている。
「はぁ……お腹減った……」
「そこは相変わらずなんですね……」
「甘いもの、食べたい。お腹一杯」
「先輩、それ太りま
ーーそうだ、この人太らない体質だった……」
与謝野先輩は沢山食べる割に、スタイルが全然
変わらないという女子の私からみて
かなり羨ましい体質なのである。
「ねぇ、平塚」
「何でしょうか?」
「お金は出すから、一緒にバイキング行こうよ?」
「やっ……流石に申し訳ないですよ」
「いいの、いいの、付き合ってくれたお礼だから」
と私は与謝野先輩に連れて行かれるのであった。



「パクパクもぐもぐパクパクもぐもぐパクパクもぐもぐ」
「あ、あの〜与謝野先輩……?」
「パクパクもぐもぐパクパクもぐもぐパクパクもぐもぐ
ん?何?」
「い、いえ〜なんでもないです……」
「そう。パクパクもぐもぐパクパクもぐもぐ……」
と再び目の前のケーキ等に手を伸ばす与謝野先輩。
さっきからすごい量の食べ物が無くなっていく。
私もそれなりに食べる方だが、目の前のスピードには
追いつけないだろう。
ローストビーフ、パスタ、ポテト、サラダ、カレー
フルーツ、スイーツ等
目の前で全部与謝野先輩の胃袋に入っていく。
「吉晴のバカーーバカーー!!
いいもん、いいもん知らない!!」
……ところどころ織田先輩への文句も入りながら
食べている。
「平塚!!」
「は、はい!! な、なんでしょうか!?」
「おかわり持ってきて!!」
「わ、分かりました〜」
「ーーあれ?  七海に与謝野先輩?」
「凛子?」
とそこには私の親友である江國凛子がいた。
「あれ凛子さんだね〜
パクパクもぐもぐパクパクもぐもぐ
平塚おかわり〜!!」
「あれ……ここに与謝野先輩がいるって事は
さっきのは……?」
あっ、これなんか聞いちゃいけないワードの
気がするな〜。
「どうしたの凛子さん?」
と与謝野先輩が凛子に尋ねていた。
「いや……先ほど織田先輩が誰か女性と一緒に
歩かれていたのでーー」
「凛子ストッ〜〜〜プ!?
これ以上言っちゃダメ〜!!」
私が止めようとしたのだが……
「うわぁぁーーん!! 吉晴が浮気してるーー!!
もう嫌だぁぁーー!!」
「ちょっと凛子!?
空気呼んでよーー!!」
「あ、あれ私今、とんでもない事言った?」
「パクパクもぐもぐパクパクもぐもぐパクパクもぐもぐ
パクパクもぐもぐパクパクもぐもぐパクパクもぐもぐ
平塚、凛子さんおかわり!!」
「「は、はい!? た、只今〜!!」」

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