部活の後輩と付き合ってみた

きりんのつばさ

見ててもらえない?

七海と話した夜
彼女が自室に帰った後、僕はとある人物に電話をした。
「はい、国木田先輩?」
「すまないな織田、こんな時間に」
電話の相手は後輩である織田だ。
「俺は一向に構いませんよ。
で、何か問題でも起きましたか?」
「君が大学にいる間だけでもいいから七海が
変な事しでかさないか見てもらえない?
ーー特に森と一緒にいる時は注意」
「これまた変な組み合わせですね・・・
とりあえず理由は教えてもらえますか?
先輩ですから変な理由ではないと思いますが」
織田にそう言われ、少し悩んだのだが彼なら大丈夫だと
思い、今日七海から聞いた事を話した。
「えぇぇぇぇ〜 ︎」
織田の聞いた途端、開口一口目がそれだった。
まぁ、普段の森を見ているなら普通の反応だろう。
「とうとう森にも春ですか・・・」
「なんかそうみたいでさ。どうにも七海がやる気を
出しちゃって・・・空回りしそうで怖い」
七海は基本的に思いつきで行動するのだが
何故か結構な頻度で上手くいく・・・
だがいつもそうでは無いので心配だ。
「あぁ・・・確かにそれは空回りしそうですね」
「だから君に七海が変な方向に向かっていかない様に
大学にいる間だけでもいいから頼めないか?」
「分かりました。お受けします。俺に頼みって事は
先輩は何か理由があって手伝えないみたいですし」
流石、気配りが出来る後輩だ。
僕の状態も分かっていた。
「あぁ、すまないね」
「いえいえ。
ーーにしても森に春ですか・・・
ついにというかやっとと言うべきか迷いますね」
「だろ?あいつ顔は普通に整っているのに・・・」
「そうですね・・・顔は整っているんですけど・・・」
どうやら僕らは言いたいことが一致しているようだった。
「「コミュ症なんだよな(ですよね)」」
そして見事にハモった。
「でも先輩」
「なんだ?」
「先輩の同期の対応はどうしますか?」
「あぁ夏目かい?」
「多分俺らが言っても聞く耳持たないでしょうし
もし森が付き合ったら面倒な事に・・・」
「そん時は僕が対応するから大丈夫だよ。
ーー織田は七海と森をお願いね」
「分かりました。ちなみに桜も誘っていいですか?」
「与謝野さん?いいよ、構わない。ただいつもの癖に
気をつけてくれれば・・・」
与謝野さんのいつもの癖とは可愛い女の子がいたら
抱きつくという癖だ。七海は常にされているから
慣れているが初対面の人には心臓に悪いだろう。
「・・・善処させていただきます」
「ま、まぁ頼むよ。僕の方も用事が終わったら
一緒に飯でも行こうよ」
「分かりました。俺の方も頑張ります ︎
ーーので先輩もお気をつけて」
「うん、ありがとう」
と僕は電話を切った。

「さて、とりあえず備えは今の時点では最善かな・・・」
僕は窓から月を見ながら呟いた。
七海は基本的に向こう見ずで行動する。
だから誰か見張りをする人が必要だ。
今回は織田という部内で1番まともな人物を見張りにした。
いつもなら僕がやるのだが
「なんでこんな面倒な用事を引き受けたかな・・・」
誰に言う訳では無くぼやいた。
早く終わるかなって思って引き受けた今回の用事だが
予想以上にかかりそうだった。
「まぁ彼女には借りがあるからね」
というか断ったら何されるか分からん・・・
「はぁ・・・」
僕は今日何度目か分からないため息をつくのだった。



スピンオフの作品は明日投稿予定です

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