部活の後輩と付き合ってみた

きりんのつばさ

嫉妬?

先生や監督との飲みが終わり家に着いたのは
日付が変わるころだった。
・・・あの人たち何歳だよ・・・
確かに僕はアルコールには弱い。
それは認めよう・・・
だが!先生や監督は異常だと思う。
あの歳であんなに飲んでも
顔色一つ変えないのはおかしいだろう・・・

「ただいま・・・」
と誰もいないであろう我が家に
挨拶をする僕。
「おかえりなさいセンパイ!」
といきなり何かが僕に飛び込んできた
「お、とっと!?」
恒例に驚きながらもなんとか堪える僕。
・・・こんなことする人は1人しかいない。
「七海起きていたの?」
「そうですよ~!」
そう我が愛しの彼女七海である。
「先に寝ていいって連絡したよね?」
先生との飲み会が決まった直後に僕は
親にメールを装って七海にメールしたのだった。
「センパイが1人だと寂しいかな~と思って
待っていましたよ~偉いでしょ~!」
「うん、そうだね偉い偉い」
と七海の頭をなでる僕。
「えへへ~
やっぱりセンパイに頭なでられるの好きです」
「僕でよければいくらでもしますよ」
そりゃ頭をなでるぐらいいつでもできるしね。
「そう言えば先生との面談どうでしたか?
飲み会に行ったということなので
悪い結果にはなってないと思いますが・・・」
そう言えばまだ七海には言ってなかったな。
一応、森、織田、与謝野さんには
メールで今回のことは報告していた。
「僕と織田の処分は解除されたよ」
「本当ですか!やりましたね!
・・・で何があったんですか?」
「実はね・・・」
と先生の家であったことを話した。

ーー先生の前で七海をノロケたこと。

ーー実は監督も後ろで聞いていたこと。

ーー他の部員たちが僕らの処分免除の
メールを監督に送っていたこと。

ーー勿論、僕らの関係を部員全員が知っていたこともだ。

なおそれを聞いた七海は
「はい・・・?」
と固まっていた。
「だから部員のみんなは僕らの関係を
だいぶ前から知っていたんだよ」
「えぇ~~~~!?」
そりゃそうなるか。
「なんでですか!?
私、同期や先輩たちの前で甘えてませんよね!?」
「前ではね・・・」
「前では・・・?」
「僕らがデートしているところを他の部員が見て
それが広まっていったんだよ」
・・・僕らの目線についてはあえて伏せておこう。
それを話すと僕も恥ずかしいのでね。
「嘘~!?
ならもっとみんなの前で甘えておけばよかった~」
「おいおい・・・」
何故そうなる?
「だって秘密の関係でしたから
バレちゃいけないと思って我慢してたんですよ~」
「それで?」
「なら次からはみんなの前で堂々とイチャつけますね!」
「いやいやしないよ!?」
何を言っているんだ、この子は・・・?
まぁそれを可愛いと思ってしまう僕も
大概だとは思うが・・・
「にしても今回は助かった・・・」
「何にですか?」
「部員のみんなにだよ。
今回は部員のみんなが嘆願書みたいなのを
出してくれたおかげで助かったからね」
・・・もしみんなからの嘆願書が無ければ
話し合いがどんな感じに転んでいたかは分からない。
「そりゃセンパイは皆さんから信頼厚いですからね」
「そうか・・・?
いつもみんな僕の扱い雑な気がするけど」
「それはセンパイだからですよ。
皆さんセンパイのこと大好きですから
・・・まぁ私より上はいませんがね!」
「さりげなく自分のこと入れてくるんだね・・・」
「そりゃ彼女ですから!
・・・でもなんかな~」
と七海は不満そうな顔をした。
「ん?どうした?」
「なんかセンパイが周りから好かれて
いるのがなんか癪に障ります・・・」
「酷!?いいじゃないか
たまにはそれぐらいの気分
味わせてよ!?」
日ごろ気を使っているんだからいいでしょ・・・
と思いながらも我が彼女は不服のようで
「だって・・・彼氏が他の人から
褒められているのなんか嫌なんです・・・」
「七海・・・?」
「だってセンパイの彼氏は私なんですよ?
・・・彼女の私が一番ですよ?」
これはまさか・・・?
「もしかして部員のみんなに嫉妬してる・・・?」
「・・・センパイのバカ」
どうやら図星のようだった。
「今回は仕方ないよね・・・?」
「分かってます・・・分かってますけど・・・
納得できない私がいます・・・」
「もう、しょうがないな」
と僕は七海を僕の胸に引いた
「あっ」
七海はあっさりと僕の元に収まった。
「嫉妬してくれて嬉しいよ。彼氏冥利に尽きるよ。
でも大丈夫。僕にとって七海は一番なんだからさ」
「でも・・・」
とまだ七海は不安なようだった。
「どうやったら七海は安心するかな?
七海を今日は心配させたから。
それぐらいは叶えてあげるよ」
「じゃあもう少しこのままでいてもらえませんか?」
と随分可愛らしいお願いだった。
「それぐらいなら」
と強く抱きしめる僕だった。
「センパイあったかいね」
「そうかい?」
「うん‼︎」
と満面の笑みをくれる七海。
・・・やっぱり僕は七海が好きなんだな〜。
だって笑顔だけでこんなに幸せになれるんだ。

ーー国木田君も変わったね
ふと先生に昼言われた言葉を思い出した。
「確かにそうかもしれないな」
・・・良いか悪いかは分からないが
確かに僕は変わったんだろう。
「どうしたんですかセンパイ?」
「いや、独り言さ。
・・・七海、好きだよ」
「〜〜〜〜っ⁉︎
ふ、不意打ち禁止です‼︎」
「ダメだった?」
「だ、ダメじゃないですけど〜‼︎
もう、センパイのバカ・・・」
やっぱり七海は可愛い‼︎
改めて今思った。

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