部活の後輩と付き合ってみた

きりんのつばさ

先生との対面

「・・・緊張するな」
と右手には昨日買ったお土産を手に
僕は壮大な門の前に立っていた。
目の前に広がるのは壮大な門。
そしてそれから広がる長い壁。
・・・そう、僕は部活の先生の自宅の前に
来ているのだった。
3日前樋口さんから連絡があり
急遽決まった先生への挨拶。
昨日なんて緊張し過ぎて、寝てない。
・・・今日なんて何度トイレに行ったか
覚えてない。
「悩んでもしょうがないな・・・
行くか」
と僕は目の前の門に手を掛けて開けた。

「よく来たね、国木田君」
と家に上がり、客間に通された。
そして客間には先生が座っていた。
「いつもお世話になっています。
そしてこちらをどうぞ」
とお土産を渡した。
「おっ、ありがとうね。
さて今日はわざわざ来てくれて
ありがとう」
「いえ、先生からのお呼びであれば
いつでも参ります」
「さすが国木田君」
と笑いながら言う先生。
・・・本当に謎だ。
あの夏目が自分が出した処分を
撤回するぐらい怒ったらしいが・・・
目の前のとても優しそうな先生を
見ていると色々と疑問が尽きない。
「さて、じゃあ本題に
移ろうか?」
「分かりました」
「まぁ本題っていうのは
今回の騒ぎなんだけどね」
「私の同期が起こした問題に
先生を巻き込んでしまい
申し訳ありません」
と座りながらだが頭を下げる。
「いやいや、いいよ。
別に困ってないからね。
じゃあ私から1つ質問」
「はい、なんでしょうか?」
「今、私が別れろといったら
どうする?」
とかなり重たい質問が飛んで来た。
・・・さて、どうするか。
ここで素直に
「はい、分かりました」
とでも言って、実際に別れたら
まぁ丸く収まるだろう。
何故なら本来部活では部活恋愛禁止と
なっているのだから。
だが別れないと言ったらどうなるか・・・
1番分からない。
もしかしたら夏目なりに怒られるのかも
しれない・・・
というかこの場に織田がいないという事は
僕に織田と与謝野さんの事も掛かっている。
・・・と思ってきたらまたお腹が痛い。
「どうした、答えられないかな?」
と先生から急かすような言葉が来た。

ーーさてどうするか?

ーー僕に3人分の運命も掛かっている。

ーー上手く言えないとみんなが笑えない。

ーー僕は・・・どうしたいんだ?

ーー今まで柳田先輩が守ってきた部活を
守りたいから頑張ってきた。

ーーそれは今も変わらない。

ーーだが今の状況はどうだろうか?

ーー今の僕は夏目と同じように部活に
混乱をもたらしている。

ーー先輩が守ってきた部活を
壊そうとしているのは僕ではないか?

ーー僕が何よりも嫌った部活を壊そうと
している事ではないか?

ーー今までは僕が折れれば事が済んだ。

ーーだが今回は織田と与謝野さんの
2人の関係も掛かってくる。

ーー先輩、僕はどうすれば・・・

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