部活の後輩と付き合ってみた

きりんのつばさ

好きな人が困っているのをほっとけなくて何が悪い!

そして俺らは国木田先輩達がいつも使って
いる焼肉屋に入った。
「いらっしゃいませ〜何名様ですか?」
「2人です」
「では、お席にご案内します」
と俺らは窓側の席に案内された。
「さて・・・メニューは何にする?」
「与謝野は沢山食べるよな・・・
なら食べ放題で良くね?」
「織田・・・それ地味に
気にしているんだから言わなくていいよ」
そうなのである。与謝野は見た目に反して
沢山食べるのだ。あの整ったスタイルからは
考えられないぐらい食べる。
「すまん。で、どうする?
どうせ焼肉って聞いたから昼飯抜いてきたんだろ?」
「ギクッ」
「分かりやすい・・・
とりあえず食べ放題でいいな?」
「うん、お願いします・・・」
と恥ずかしそうにうつむく与謝野。
・・・かわぇぇ〜‼︎
と心の中で叫ぶ俺だった。
こんな可愛い生物が地球上に
いるだろうか?いや、いないだろう‼︎
「・・・うん、いないな」
「織田?1人で頷いてどうしたの?」
「い、いや。なんでもない」
「?変な織田?」
とおかしかったのだろうか
クスリと笑う与謝野。
その表情を可愛いと思いながらも
「良かった笑った」
と思った。
「へっ?」
「いや、与謝野さ、ここにきてから全然
笑わないから心配したぜ」
「・・・ごめんね。
心配させて」
「いや、いいんだ。
なんなら迷惑かけてくれていい」
・・・だって与謝野が好きだから。
その笑顔を守れるなら迷惑ぐらい
うけてやるさ!
「やっぱり織田って優しいね。
うん、その時はお願い」
「オッケー!
・・・実は俺は」
「失礼します。
食べ放題のカルビ、豚トロ
白米お待ちしました」
と良いタイミング?で
肉が来た。
・・・空気読めよ店員さん!
若干恨めしい顔で店員さんを見ると
「グッ!」
と親指を立てていた。
・・・そこに気を使うな
別の場所に気を遣え!
「わ~い肉だ~!」
「じゃあ焼くか?」
「うん!」
とまぁこんな笑顔が見れるなら
いいのかと思った俺だった。

そしてしばらく焼き肉を食べていた。
もっぱら焼くのは俺だったが・・・
「ふう~食べた食べた~」
「そうか良かった」
「・・・」
「・・・」
とお互い会話が無くなった。
「あの」
「あのさ」
「・・・」
「・・・」
「今日はありがとう。
久しぶりに沢山笑えたよ」
「そうか・・・」
・・・言えよ!
なんで一言が言えない!
「また明日から頑張るよ」
「こ、困ったら呼べよ?」
「うん、お願いね」
・・・嘘だ。
与謝野は困ってもなかなか人に言わない。
こいつは人に迷惑をかけることを
良しとしない性格だ。
「じゃ帰ろうか・・・」
と呟いたその顔がさっきに
笑顔とは真逆の表情だった。
その時不意に
「----お前さんの気持ちの
思うように行動しな?
後処理は僕がしておくよ」
という国木田先輩のメールが
なぜか頭をよぎった。
(国木田先輩、本当に
後処理お願いしますね)
と心の中で先輩に頼みごとをして
そして
「え」
与謝野の手を掴み
「・・・悪い。あと一か所俺に
付き合ってくれ」

そして俺が与謝野を連れてきたところは
焼肉屋から近い神社だった。
与謝野が通っているキャンパスは
かなり都会だが、この神社は
都会の喧騒とは隔離されているような
静けさを日々持っており
そして夜の景色が綺麗な場所だった。
「うわ~綺麗~」
と与謝野も景色を見て感動しているようだ。
「ここは俺がこの街でも気に入っている
場所の一つなんだ」
「へぇ~なかなかいいね。
・・・ねぇ織田」
「ん?」
「私に何か用があってここに
連れてきたんだよね?」
「ああ」
「・・・要件ってなにかな?」
「明日以降困ったら
マジで呼べよ?」
「へっ?う、うん。
分かった。そうするよ」
「・・・嘘だな」
「うん?」
「与謝野は絶対困っても
呼ばないよな」
「な、なんでそう思うの?」
「だってお前は困っても
他人に絶対SOS出さないだろ」
「!?」
「・・・図星か」
「・・・ゃあ」
「ん?」
「じゃあどうすればいいの!?」
「!?」
「私だって日々困っているよ!
先輩がしつこくて!
でも誰に相談すれば分からないし!」
「なら俺に相談してくれよ!」
「織田を巻き込みたくないの!」
「巻き込めよ!俺たち同期だろ!」
「同期って関係だけでしょ!
それ以外に関係ないじゃん!」
「関係ある!」
「何で!」
「お前が好きだからだよ!」
「え・・・」
と与謝野はポカンとしているが
そんなの構わず続ける。
「好きな人が困っているのを
ほっとけなくて何が悪い!」
「えっ!?」
「俺はお前の笑顔が何よりも好きだ!
その笑顔が曇るなら全力で振り払おう!
たとえ先輩であろうとも俺はやるさ!」
・・・あ~言っちゃったな俺。
つい勢いで言ったけど大丈夫か・・・
意外と一言出れば、それ以降の言葉は
スラスラと言えるものだ。
・・・と感心している暇ではなかった。
与謝野だよ、与謝野!
恐る恐る与謝野の表情を見てみると
「うぅ・・・」
泣いていた。
「す、すまん!
俺なんかが告白なんかしちゃって!」
というと与謝野は頭を横に振り
「ち、違うの・・・
まさか織田の方から言ってもらえる
なんて思ってなくて・・・」
・・・はい?
与謝野がそんな事を・・・
こりゃ聞き間違いか?
いやいやここに来て難聴とか
聞き間違いとかはないだろう。
「ということは・・・」
「私も織田が好きよ」
「・・・」
「ち、ちょっと何で無言になるの!?」
「あ、あぁ悪い。そ、そうか・・・
マジか~・・・」
「ねぇ織田」
「なんだ?」
「私ってかなり面倒よ?困ってもなかなか
他人に言わない癖にたまに爆発するし
かなり嫉妬するよ?それで・・・」
「ああ、構わない!」
と俺は勢いで与謝野に抱き着いた。
「お、織田!?何しているの!?」
「だって可愛い彼女には
ヤキモチしてもらいたいし
好きなだけ面倒かけてほしい!」
「か、可愛いって・・・」
「あっ、照れてる?」
「う、うるさい!
あと!私今まで彼氏いたこと無いから
付き合いとかわからないよ?」
「なおさらオッケー!」
「・・・なんでそこは
嬉しそうなの・・・」
「と、とりあえずだな」
「なに?」
「よろしくな、桜」
「!?」
と顔が赤くなったがすぐに
「うん!
よろしく良晴!」
と満面の笑みを返してくれた。

と俺こと、織田良晴と
与謝野桜は付き合うことになった。








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