部活の後輩と付き合ってみた

きりんのつばさ

両親から見たセンパイ

「じゃあ僕は行くけど、
七海何かあればすぐに連絡ね?」
「分かりました~」
とセンパイは渋々といった感じで
買い出しに出かけた。
・・・問題が今のこの状況なんだよね。
今目の前にはセンパイのご両親がいる。
だってさ、ほら将来の義理の両親って思うと
緊張しない?
気が早いって?いやいやあんな人
今までよく彼女がいなかったのか不明なんだよね・・・
これからセンパイの魅力に気づく人が出てくる前に
ご両親という堀を埋めておこう!
そしてセンパイを私に夢中にさせて
将来、センパイと同じ苗字を・・・
「・・・ところで七海さんや」
「はいっ!?」
いきなりお父さんに呼ばれ、妄想に
浸かっていた私は現実に戻された。
・・・危ない、危ない。
「拓海は日ごろどんな感じだ?」
「日ごろと言いますと・・・?」
「ああそうだな・・・七海さんが拓海と
出会ってから、抱いた印象どんな感じだ?」
「印象ですか・・・」
センパイの印象ね・・・
「とてもありきたりな言葉になってしまいますが
お人よし、かなと私は思います」
私が1番に思った印象はそれだった。
だってわざわざ隣の知らない人を風邪だからといって
助けないだろうし、部活のこともあり
真っ先に思った。
「やっぱりか・・・」
とお父さんは心に思う節があるらしく
うなずいた
「ちなみに拓海は君が見てきた中で
何回倒れた?」
といきなり話が変わった。
「1回ですね。だいたい6月ごろでしょうか」
「その倒れた原因しっているなら教えて
もらえないだろうか?」
「多分過労ですね・・・
部活内部での人間関係と仕事でのストレスが
溜まっていたのだろうと思います」
「やっぱりか・・・
あいつ人からの頼み事断らないだろ?」
「ええ、確かに・・・」
ふざけなどは断るけど、基本的にセンパイは
人からの悩みや相談、頼み事は断らない。
というか断ったところを私は見たことない。
「拓海は昔から頼み事を断れなくてな
その上、色々と不器用だろ?」
「なんとなくそれは・・・」
センパイは元々要領がいい方ではないというのは
日々接していて感じていた。
その面に対してセンパイは努力で補っている。
しかし人から言われたことや他人の感情を
敏感すぎるぐらい感じている。
「あいつは困っている人をほっとけない
性格だからな。ほっとけばいいものも
全部拾うとしているからな・・・」
「たくちゃんの良いところでもあるし
悪いところでもあるのよね・・・」
「でも、私はセンパイのそういうところが
良いなと思ったんです」
何故か自然に口からその言葉を出ていた。
私でもよくわからないのだけど・・・
自然に言葉が出ていた。
「というと?」
お父さんが尋ねてきた。
「確かにセンパイはお人よしですし
不器用です。なんですけど
あのセンパイがいるお陰で部活の雰囲気は
よくなっています。
そして1番私が好きになったのは
優しさに見返りを求めないところですね。
センパイは人に優しくするという当たり前の事を
当たり前にしているんです。
それを見て"ああ、この人とならこれからの
人生歩んでいけそうだな"と思いました」

あの人の優しさ

あの人の心遣い

あの人の笑顔

全てが私の好きな物になっていた。

あの人は不器用なりに努力をしてもがいて

頑張っている。

なら私が出来る事はあの人が倒れない様に助ける

事ではないだろうか?

「拓海さんの隣でこれからも助けたいと思っています」
・・・これが私のまぎれもない本心だ。
「ふぅ・・・拓海はいい彼女を作ったな」
「そうですね、あの子にぴったりな彼女さんですね」




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