異世界で美少女吸血鬼になったので”魅了”で女の子を堕とし、国を滅ぼします ~洗脳と吸血に変えられていく乙女たち~

kiki

19 青い果実に蜜をかけましょう

 




 教会という建物の性質上、そこには老若男女問わず人々が訪れます。
 それは半吸血鬼デミヴァンプに乗っ取られた今でも変わらず、彼女らは何も知らずにやって来るのです。
 リリーナ・レングランド。
 私よりもずっと年下の幼気な少女も、そのうちの1人でした。
 しかし彼女の場合、教会に来るようになったのはつい最近のこと。
 理由はわかりませんがやけに私に懐いていて、どうやら私に会うためだけに通っているようです。
 来る度に私に「遊んで遊んで」とせがむ、とても元気がいい女の子で、私も悪い気はしないのでよく一緒に遊んでいます。
 膝の上に乗せて一緒に本を読んだり、追いかけっこして抱きついたり、手を繋いでみたりと――それはもう、無邪気に。

「おねえちゃん、あーそぼっ!」

 そして今日も今日とて、リリーナは教会にやって来ます。
 私もそれを、心の底からの笑顔で迎えました。



 ◇◇◇



 リリーナはとっくに私にとって特別でしたので、遊ぶのは外でも無ければ礼拝堂でもなく、その奥にある部屋でした。
 部屋に入るなり、彼女は駆け出してジャンプし、ふかふかのベッドに飛び込みます。
 私はそんな様子を温かい視線で見守りながら、ベッドの傍らに腰掛けました。
 こうしてリリーナを部屋に連れ込むようになったのはここ数日のことです。
 最初こそ緊張していたようでしたが、今では見ての通り、自分の部屋のようにくつろいでいます。
 私は手を伸ばして、ベッドで横になる彼女の頭を撫でました。
 そう親しくない相手に頭を触られるのは嫌なものです。
 だから私はこの行為を――魅了の深度を確かめるためのテストとして行っていました。
 リリーナは拒みません。
 それどころか、私が癖のある髪を絡めるように触れると、猫のようにふにゃりと甘えた表情を見せます。
 しかし、彼女は最初から私に懐いていましたし、この表情が魅了によるものなのか本心から来るものなのかは、実を言うとあまりわからなかったりします。
 とは言え、すでに触れ合いを始めてから結構な日数が過ぎているはず。
 いくら会える時間が限られているとは言え、そろそろ、いい加減に体に私の魔力が満ちているはずなのですが。

「リリーナ」

 名前を呼ぶと、彼女はじっと私の目を見ました。
 そのまま小さな唇に顔を寄せ――鼻先をくっつけても、まるで金縛りにあったかのようにリリーナは動きません。
 ですがふっくらとした頬は赤く染めていて、私がしようとしたことの意味は理解しているようでした。

「ちゅー、するの?」
「嫌だったら嫌って言ってくださいね」

 リリーナは顔を小さく左右に振ります。

「リリーナも、してみたいと思ってたから……でもほんとは、ちょっと恥ずかしい」

 半ば告白めいた言葉を聞いて、我慢がきく私ではありません。
 その恥じらいもむしろ私を後押しする材料にしかなりませんでした。
 少し顔を傾けると、今度こそのその小さな唇に、私は自らの唇を重ねました。

「んっ……」

 リリーナは強く目を瞑りながら、唇を突き出します。
 その初心な仕草に欲望を刺激され、蹂躙したくなる気持ちを抑え、私は顔を離しました。

「……おねえちゃんと、ちゅーしちゃった」

 惚けながらそうつぶやくリリーナの手を握ると、「えへへ」と私だけを見ながらはにかみます。

「これで、おねえちゃんと好き同士、ってことだよね。こいびとになったんだよね?」
「んー……それはどうでしょうね。確かに私はリリーナのことが好きではありますが」
「まだ、なにかあるの?」
「ええ、まだ足りないんです、恋人になるには」

 背徳感は快楽を増幅させるためのスパイス。
 人間のモラルなど半吸血鬼デミヴァンプには関係ありません。

「キスよりももっと深く、繋がらなければなりません」
「それって……もしかして、えっちなことじゃ?」
「そういうことになりますね」

 それは知っているんですね、予想外でした。

「えっちなことはダメ、なんだよ」
「なぜダメなのか知ってますか?」
「ううん、ダメだって誰かから聞いただけ」
「それはですね、好きな人のために取っておくためなんです」
「そう、なの?」
「はい、ですから好き同士なら何も問題はありません」
「……おねえちゃんがそう言うなら、そうなのかな」

 間違ったことは言ってません。
 それに私は、別にリリーナの体だけが目当てではありませんから。
 体だけでなく心も、心だけでなく魂も、全てを自分のものにしてしまいたい、そう思っています。

「でもリリーナ、えっちなこと、どうするのか知らないかも……おねえちゃんは知ってる?」
「安心してください、ちゃあんと教えてあげますから。さあ、まずは私の膝の上に座ってください」

 リリーナはいい子ですから、私の指示通り膝の上に座ろうとしました。
 ですが向きが違います。
 私は彼女の腰を掴むと、こちらを向いて座るように促しました。

「うぅ、これ、おねえちゃんの顔が近いよお」
「これぐらいで恥ずかしがっていては恋人にはなれませんよ」
「こいびと……なりたいから、頑張る」
「いい子ですね、リリーナは」

 再び頭を撫でてやると、少しだけリリーナの体から力が抜けました。
 これなら、問題なく次のステップに進めそうです。

「それでは……まずは私がして・・あげますね。舌をべーってしてもらってもいいですか?」
「ほふ?」
「ありがとうございます。じゃあ始めますね。何があっても、舌はそのまま出したままでお願いします」

 私は垂れ下がる、平均よりは少し長めなリリーナの舌に唇を近づけると、まずは「ちゅ」と軽く口付けました。

「はひゃ!?」
「逃げないでくださいね、これが”恋人同士のキス”なんですから」

 恋人同士という部分を強調してやると、彼女は大人しく従います。
 子供というのは御しやすく、だからこそ愛おしさも増すというものです。
 私はさらに大胆に舌に二、三度口付けると、「はむ」と咥え込みました。
 そして吸い上げ、唇で挟み、さらに極めつけに歯で甘噛みをしてみせました。

「は、はへっ……へ、ひあ……っ」

 その度にリリーナの体は未知の感覚に震えました。
 しかし、私の言葉をしっかりと守って、逃げることはしません。
 従順なリリーナを褒めるように頭を撫でながら、私はさらに深く口付け、舌を含みます。
 私の口内で身動きが取れない状態になったリリーナの舌を、吸い上げるだけでなく、舌で絡め取ると――

「ん、んんんーっ!」

 ひときわ大きな反応を見せてくれます。
 私は小さく温かい体を強く抱きしめながら、リリーナの舌のあらゆる部分に自らの唾液をまぶし、彼女の反応が薄れ、表情が虚ろになるまでそれを続けました。
 ちゅぱ――キスを終えると、唾液が糸を引き、一瞬だけ私と彼女の間をつなぎます。
 私はぐったりと倒れそうになるリリーナの体を支え、自分の方に抱き寄せました。
 彼女は私の体にもたれかかりながら、「はー、はー」と荒い呼吸を繰り返しました。

「どうでしたか、恋人のキスは」

 私が耳元で囁くと、リリーナは律儀に呼吸を整えてから答えます。

「……きもち、かった」

 何も知らない純真な少女の口からその言葉が出させたことに、私は満足していました。
 ここで嫌がられてしまっては、元も子も無いですからね。

「体、ぴりぴりして……頭、ちかちかして……すごかったよ」
「気に入っていただけたみたいでよかった。少し休んだら、もう1回しましょうか」
「もう、いっかい……」
「今度はリリーナの番ですよ、私を気持ちよくしてください」
「……ん、わかった。リリーナ、がんばるね」

 こんな状況でも素直に”がんばる”と言ってくれるなんて、なんと健気なのでしょうか。
 彼女からの奉仕を心待ちにしながら、私は背中をさすり、リリーナの体力が戻るのを待ちました。
 そして「もうだいじょうぶ」と彼女が言うと、私は人間の頃より少し長くなった舌を見せつけるように出します。
 リリーナは緊張した面持ちで私の舌に口を近づけると――ちゅう、と最初に私がしたように、軽く口付けました。

「んっ」

 ただそれだけで、電流のような快楽が走り、私は思わず声を漏らしてしまいます。

「リリーナのやり方、何かおかしかった?」
「いえ、上手でしたよ。今のは気持ちよくて声が出ただけですから。そのまま続けてください」

 褒められたのが嬉しかったのか、リリーナは先ほどよりも明るい表情で、さらに大胆に口づけ――そしてついに、私の舌を小さな口で咥えこんでしまいました。
 そのまま奥まで吸い込み、唇で挟みながら外に出す。
 顔を前後させながら、数回それを繰り返します。
 舌に纏わりついた唾液がこそぎ落とされていくようなこそばゆい感覚に、私は体を震わせました。
 リリーナはちらちらと不安そうに私の反応を見ていますが、何も心配は必要ありません。
 とっくに私は、あなたの愛撫に夢中ですから。

「ちゅぱ……ちゅる、にゅぷ……んぱっ、はぁ……はぷっ……んくっ……」

 彼女の幼い口から淫らな水音が出ていることに言い知れない後ろめたさを感じつつ、私は彼女に全てを任せて、その様子を見守ります。
 私にできることと言えば、リリーナに流し込む唾液の量を増やすことぐらいで。
 その度に喉がこくんと動き嚥下しているのを見て、私はさらに興奮を高めていくのです。
 舌への奉仕を終えると、最後にリリーナは私に深く口付け、喉の奥で私の舌を受け止めました。
 苦手な人はえづいてしまうはずなのですが、彼女はそれを苦ともせず、むしろ喉奥を撫でられると気持ちよさそうに「んっ、んふっ」と声を漏らします。
 私は調子に乗り、リリーナの番ということも忘れ、彼女の口の中を好き放題に愛でることにしました。
 弱そうな喉を中心にして、頬の粘膜を擦り、舌の裏側、その付け根を舌先で弄び――

「はふっ、ん、んぅ、くちゅ……ん、ぷふっ、ひあ、んんんんんーっ!」

 果てに、リリーナは体をひときわ大きく、びくんびくんと震わせてしまいました。
 その表情は先ほどのキスを終えたときよりもさらに虚ろで、我ながらやりすぎてしまったと、即座に反省し、抱きしめます。

「はふ……はあぁ……ぁ、ひゅ……」

 息も絶え絶え、と言った様子で私の体にしなだれかかるリリーナ。
 今での嫌われてしまったらどうしよう、と不安がっている所で、彼女はようやく意味のある言葉を口にします。

「ぅ……おね、ひゃ……すきぃ……」

 そう言って、きゅっと修道服の布を掴むのです。
 その仕草のなんと愛らしいことか。
 このまま三度口づけをして、滅茶苦茶にしてしまいたいほどでした。
 しかし、さすがにそれは許されません。
 私は返事をするように、リリーナの耳元で囁きます。

「私も好きですよ、リリーナ」
「んへ……えへへぇ……」

 彼女は心底楽しげに笑うと、さらに私に体を密着させました。
 そのまましばし、私とリリーナは、互いの体温を感じ合いながら、ピロートークめいた甘い時間を過ごすのでした。



 ◇◇◇



 まだ幼い彼女には、割と早い段階での門限が設定されています。
 名残惜しかったのですが、いくら信頼を得ているとは言え、それを破ってしまえば二度と会えなくなってしまうかもしれない。
 仕方なく、私とリリーナは別れ際に軽く口付けると、お互いが見えなくなるまで手を振って、その日は別れました。
 そして礼拝堂へと戻ると――そこには、私たちのやりとりを微笑ましく見守っていた、ナナリーの姿がありました。

「主さま、今回はあの子を半吸血鬼デミヴァンプに変えてしまうのですか?」

 彼女の問いかけに、私は「もちろん」と首を縦に振りました。

「ふふ、白いキャンバスを絵の具で塗りつぶす瞬間ほど至福の時はありません。主さまがそうしたがる気持ちはよくわかりますわ」
「ナナリーも子供に懐かれていましたよね?」
「チェルシーのことですね、彼女はわたくしが今の体になる前から通ってくれている子でして、出来ればこちらに引き込みたいのですが、残念ながらわたくしにはその力がありませんので」

 眷属であるナナリーたちには、私ほどの力はありません。
 しかし、みゃー姉には魅了の力も備わっているようで。
 要するに人間だった頃にどれだけ大きな魔力を持っていたか、が大きく影響しているようです。
 ですが、ナナリーに魅了の魔法が使えないか、と言われれば答えはノーでしょう。
 簡単なことです、魔力が無いのなら与えてしまえばいいのですから。

「ナナリー、こっちに来てください」

 手招きして彼女を呼ぶと、ナナリーは首を傾げながらも私の指示に従いました。
 そして近づき、射程範囲内に収まった彼女の体を抱きしめると、強引に唇を奪います。
 無理矢理の方が好きなんですよね、ナナリーは。

「んはあぁっ……!」

 慣れた様子で舌を絡め、喘ぎながら、ナナリーは私に体を押し付けてきます。
 豊満な胸が私の胸にふにゅりとぶつかりあいました。
 私は口付けながら、唾液と一緒に大量の魔力を彼女の中に注ぎ込んでいきます。
 これで、おまじないは完了です。
「ふはっ……」と口を離すと、ナナリーは少し苦しそうに眉をひそめました。

「渡しすぎましたかね。ナナリー、頭痛はしませんか?」
「そこまででは……少し、ふらつきますが、平気です。ですがこれは、一体……」
「私の力の一部を渡したんです、それだけあれば1人ぐらいなら容易く魅了できるでしょう」
「あぁ、つまり……チェルシーを私の手で変えてしまえ、ということですのね」

 ナナリーはチェルシーが変わり果て、完全に自分の物になる未来を想像して、熱い吐息を漏らしました。
 これ以上住人が増えるのなら、拠点を変えることも考えなければならない――
 そんなことを考えながら、私は未だくすぶる情欲の炎を解消するために、ナナリーと指を絡めながら寝室へと向かうのでした。





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