異世界に転生したので楽しく過ごすようです
第98話 確保にかかるようです
「お前達は一体何をしようというのだ。もしこの国に仇なす者なら容赦はせんぞ」
これは皆が勇者を探しにいってすぐのこと。まだ救護室に残っていた帝王様に何事かと聞かれたのだ。
帝王様と同じく救護室に残っていたフェルトも帝王様と同じ考えのようだ。
帝王様は親バカだが国を想う気持ちは一際強いみようだ。それに、今俺達が直面している事態はこの帝国内で起こっている。
万が一の為にも帝王様には知っておいて貰わなければならないだろう。
「今、俺達は勇者を捕縛する為に動いています」
「なに?勇者だと?話が飛びすぎてよく分からんが……」
まぁそうだろうな。じゃあ最初から説明をするしかないな。
「フェラリオン様は最近この帝都で誘拐事件が起きているのをご存じですか?」
「そんなことは私の耳には入っておらぬな」
「私その話聞いたよ。聞いたのは確か昨日だった気がする」
フェルトは知っているが帝王様は知らないか。まあ無理もないだろう。帝王様は国のトップだ。まだ小さい事件なのだから知らなくてもおかしいことではない。
帝王様にもこの誘拐事件の事を知ってもらっておこう。多分帝王様は知っておいた方がいいからな。
「フェラリオン様、この誘拐事件は共通している点が一つあります。それは誘拐される人が全員、予選敗退者という事です」
「予選敗退者だと?なぜそんな者を誘拐せねばならんのだ」
「俺達にもまだ分かりません。ですが誘拐犯は分かっています」
「なるほどな。それで勇者が出てくるというわけか」
「はい。ですから俺達は勇者を捕縛し、何の為に誘拐をしているのか聞かなければならないのです」
ざっくばらんにではあるが説明した内容を帝王様はしっかり理解してくれたようだ。
そして理解した上で帝王様は質問をしてきた。
「お前の口ぶりからして何か使命感のようなものを感じるがそれは何故だ?」
「それは勇者達の意思で誘拐をしているわけでは無いからなのです。これを話し始めると長くなるので省略しますが、勇者は操られていて無理矢理誘拐をさせられているからです」
「なんと……。お前達はその勇者を操っている者の正体は知っておるのか?」
「おおよその見当は付いていますが、確証がないためまだ言えません」
「よかろう。この話は後日また尋ねるとする」
帝王様はとりあえず納得はしてくれたようだ。
この話に関しては国と国の関係が悪くなる可能性があるからな。そう易々と口に出来るものではない。
「ところでその勇者を捕まえる手段と方法はあるの?」
俺と帝王様の話が一段落した後に、フェルトが俺に聞いてきた。
「手段としては誘い込み。予選敗退者を一箇所に集め、勇者が確実にここに来るように仕向ける。方法は拳で」
「手段はいいのに方法が適当すぎ!」
実際、転移で逃げられた時点でアウトだしな。どうしようもできん。
「実際に会えば分かるが勇者は強過ぎてどうしようもない。捕縛するなんて不可能に近い」
俺達が勇者より強くなればその限りではないのだが、現実的ではないしな。
「じゃあどうしようもないじゃん」
「言ってしまえばそうなんだけど、実際そうも言ってられん。意地でも捕縛しなければならんからな」
「ふーん。じゃ私が手伝ってあげようか?ついでにレオンも連れて」
「それはただレオンといっ……何でもないです。よろしくお願いします」
途中でめっちゃ睨まれたんだけど!戦った時より怖い!あれが狼の本性というものなのか……!
「じゃあ私はレオンを探してくるから、勇者を見つけたら大声で叫んで!レオンを連れてそこまで行くから!」
フェルトはそう言い残して救護室から飛び出していった。
そう言えば動物って人間より耳いいんだったな。そういう所は獣人の長所だよな。
「フェルトォ!!お父さんを置いてどこへ行こうというのだ!!もしかしてレオンか!レオンのところなのか!」
帝王様はこんな時でも相変わらずで、フェルトを追いかけて救護室を飛び出した。
銀狼族って皆こうなのか?それともこの親子がおかしいだけ?
俺が銀狼族に疑問を感じ始めた頃に、エルシャさんから念話が飛んできた。
『私の話を少し聞いてくれないか?』
『どうしました?』
『勇者を見つけるぞと威勢よく飛び出したはいいのだが、ある事に気付いてな……』
『ある事……ですか?』
声のトーンはが少し低いし、何か重大なことなのだろうか。
『実はな……』
『実は?』
『実は、勇者の姿を知らないのだ。私は勇者の姿を知らずに今までずっと血眼で探していたのだよ』
『ぶふっ!』
何かと思えばそんな事だとは!思わず吹き出してしまった。
『な、何も笑う事はないだろう!こんな事は誰にでもあるのだからな!』
念話越しでもエルシャさんが慌てふためく様子が目に浮かぶ。さぞかし赤い顔をしているんだろうな。
『そ、それでなんだが勇者の特徴を教えてくれないか?』
『それくらいならお易い御用ですよ』
俺は以心伝心を使ってローブを被っている勇者と、ローブを脱いだ勇者のイメージを送った。
『……君が本当に人間なのか疑いたくなる時があるよ』
『俺もそんな時あります。でも最近は慣れてきたんで気にしないようにしてます』
『とりあえず勇者の姿は分かった。見つけ次第連絡する』
『よろしくお願いします』
エルシャさんはまた勇者探しに戻った。
俺は皆が見つけるまでに立てるようになろうと思い、自己再生のスキルをフル活用した上に回復魔法をかけた。
ほんの少しだけ体だ軽くなって、立つだけなら何とかできるようになった。
そんな時にまたもやエルシャさんから念話が飛んできた。次は何の要件だろうか?
『見つけたぞ!勇者を見つけだぞ!』
『……へっ?』
『へっ?ではない!勇者を見つけたのだ!私はどうすればいい!?』
まさかこんなに早く見つかるとは!えーっと、とりあえず皆に連絡を……!
『エルシャさん!念話の対象を俺だけじゃなくて皆にしてください!そして場所を教えてください!』
『了解した!』
そして、ほんの一瞬だけ時間をあけて、エルシャさんが今度は皆に向かって再び報告をする。
『こちらエルシャ!勇者を見つけた!場所は会場入口だ!至急集合してくれ!』
『『『了解!』』』
皆の返事が俺にも伝わってきた。俺も立つことはできるので、完全感知でエルシャさんがいるところを確認し、そこに転移をする。
「エルシャさん!」
「おお君か!体は大丈夫なのか?」
「ええ、立つくらいなら」
俺が来たのと同時くらいに皆も集まり出した。
「勇者はどこ!?」
ジュリがエルシャさんに勇者の場所を聞き出す。
「あそこだ!あのフードは間違いなく私が聞いたものだ!」
エルシャさんが指をさした先には確かに勇者がいた。フードを被っていて顔は見えないが、体つきから女だ。
その勇者は生きる力を失くしたかのように体を左右に揺らしながら歩いている。勇者が向かっているその先にはミニゲームをしている予選敗退者がいる。
「マスター!どうやって捕まえるのー!?」
「不意打ちを狙って気絶させてくれ!もしかしたらそれで元に戻るかもしれない!」
「でも、そんなの無理よ!相手は勇者よ!?不意打ちなんてすぐに気付かれるわよ!」
「それでもだ!今の俺達にはそれ以外の方法で捕まえる術を持ってない!」
するとミルが手を挙げて、皆に話を始める。
「簡単な方法がある。感電させてしまえばいい。最悪死んでも生き返させれる」
「だが、感電なんてどうやって……」
「雷に魔力転化して後から雷を当ててしまえばいい。これならバレても多分当たる」
「確かにそれならいけるかもしれん……。ミルやってみてくれるか?」
「任せて」
ミルはまずここで魔力転化を始める。体中からバチバチと雷が鳴りはじめる。
ミルはその状態で勇者から距離を開けて後につけた。そして、両手を前に出し勇者に狙いを定める。
「サンダーボルト」
ミルが意味もない技名を呟くと両手から雷が放出され、勇者を目掛け飛んでいく。それは一瞬の出来事だった。
見ていた分かったが勇者は気づいたようだった。しかし、雷の速さについていけずそのまま食らっていた。
数秒雷を浴びさせると勇者はぐったりと床に伏せた。
「上手くいった」
「良くやったぞ、ミル!」
「ん」
ミルのおかげで勇者の一人を捕らえることができた。この調子で残りの勇者も捕縛していこう。
「じゃあ皆には引き続き残りの勇者探索を頼む!」
「「「了解!」」」
こうして俺達は一人の勇者の捕縛に成功した。
これは皆が勇者を探しにいってすぐのこと。まだ救護室に残っていた帝王様に何事かと聞かれたのだ。
帝王様と同じく救護室に残っていたフェルトも帝王様と同じ考えのようだ。
帝王様は親バカだが国を想う気持ちは一際強いみようだ。それに、今俺達が直面している事態はこの帝国内で起こっている。
万が一の為にも帝王様には知っておいて貰わなければならないだろう。
「今、俺達は勇者を捕縛する為に動いています」
「なに?勇者だと?話が飛びすぎてよく分からんが……」
まぁそうだろうな。じゃあ最初から説明をするしかないな。
「フェラリオン様は最近この帝都で誘拐事件が起きているのをご存じですか?」
「そんなことは私の耳には入っておらぬな」
「私その話聞いたよ。聞いたのは確か昨日だった気がする」
フェルトは知っているが帝王様は知らないか。まあ無理もないだろう。帝王様は国のトップだ。まだ小さい事件なのだから知らなくてもおかしいことではない。
帝王様にもこの誘拐事件の事を知ってもらっておこう。多分帝王様は知っておいた方がいいからな。
「フェラリオン様、この誘拐事件は共通している点が一つあります。それは誘拐される人が全員、予選敗退者という事です」
「予選敗退者だと?なぜそんな者を誘拐せねばならんのだ」
「俺達にもまだ分かりません。ですが誘拐犯は分かっています」
「なるほどな。それで勇者が出てくるというわけか」
「はい。ですから俺達は勇者を捕縛し、何の為に誘拐をしているのか聞かなければならないのです」
ざっくばらんにではあるが説明した内容を帝王様はしっかり理解してくれたようだ。
そして理解した上で帝王様は質問をしてきた。
「お前の口ぶりからして何か使命感のようなものを感じるがそれは何故だ?」
「それは勇者達の意思で誘拐をしているわけでは無いからなのです。これを話し始めると長くなるので省略しますが、勇者は操られていて無理矢理誘拐をさせられているからです」
「なんと……。お前達はその勇者を操っている者の正体は知っておるのか?」
「おおよその見当は付いていますが、確証がないためまだ言えません」
「よかろう。この話は後日また尋ねるとする」
帝王様はとりあえず納得はしてくれたようだ。
この話に関しては国と国の関係が悪くなる可能性があるからな。そう易々と口に出来るものではない。
「ところでその勇者を捕まえる手段と方法はあるの?」
俺と帝王様の話が一段落した後に、フェルトが俺に聞いてきた。
「手段としては誘い込み。予選敗退者を一箇所に集め、勇者が確実にここに来るように仕向ける。方法は拳で」
「手段はいいのに方法が適当すぎ!」
実際、転移で逃げられた時点でアウトだしな。どうしようもできん。
「実際に会えば分かるが勇者は強過ぎてどうしようもない。捕縛するなんて不可能に近い」
俺達が勇者より強くなればその限りではないのだが、現実的ではないしな。
「じゃあどうしようもないじゃん」
「言ってしまえばそうなんだけど、実際そうも言ってられん。意地でも捕縛しなければならんからな」
「ふーん。じゃ私が手伝ってあげようか?ついでにレオンも連れて」
「それはただレオンといっ……何でもないです。よろしくお願いします」
途中でめっちゃ睨まれたんだけど!戦った時より怖い!あれが狼の本性というものなのか……!
「じゃあ私はレオンを探してくるから、勇者を見つけたら大声で叫んで!レオンを連れてそこまで行くから!」
フェルトはそう言い残して救護室から飛び出していった。
そう言えば動物って人間より耳いいんだったな。そういう所は獣人の長所だよな。
「フェルトォ!!お父さんを置いてどこへ行こうというのだ!!もしかしてレオンか!レオンのところなのか!」
帝王様はこんな時でも相変わらずで、フェルトを追いかけて救護室を飛び出した。
銀狼族って皆こうなのか?それともこの親子がおかしいだけ?
俺が銀狼族に疑問を感じ始めた頃に、エルシャさんから念話が飛んできた。
『私の話を少し聞いてくれないか?』
『どうしました?』
『勇者を見つけるぞと威勢よく飛び出したはいいのだが、ある事に気付いてな……』
『ある事……ですか?』
声のトーンはが少し低いし、何か重大なことなのだろうか。
『実はな……』
『実は?』
『実は、勇者の姿を知らないのだ。私は勇者の姿を知らずに今までずっと血眼で探していたのだよ』
『ぶふっ!』
何かと思えばそんな事だとは!思わず吹き出してしまった。
『な、何も笑う事はないだろう!こんな事は誰にでもあるのだからな!』
念話越しでもエルシャさんが慌てふためく様子が目に浮かぶ。さぞかし赤い顔をしているんだろうな。
『そ、それでなんだが勇者の特徴を教えてくれないか?』
『それくらいならお易い御用ですよ』
俺は以心伝心を使ってローブを被っている勇者と、ローブを脱いだ勇者のイメージを送った。
『……君が本当に人間なのか疑いたくなる時があるよ』
『俺もそんな時あります。でも最近は慣れてきたんで気にしないようにしてます』
『とりあえず勇者の姿は分かった。見つけ次第連絡する』
『よろしくお願いします』
エルシャさんはまた勇者探しに戻った。
俺は皆が見つけるまでに立てるようになろうと思い、自己再生のスキルをフル活用した上に回復魔法をかけた。
ほんの少しだけ体だ軽くなって、立つだけなら何とかできるようになった。
そんな時にまたもやエルシャさんから念話が飛んできた。次は何の要件だろうか?
『見つけたぞ!勇者を見つけだぞ!』
『……へっ?』
『へっ?ではない!勇者を見つけたのだ!私はどうすればいい!?』
まさかこんなに早く見つかるとは!えーっと、とりあえず皆に連絡を……!
『エルシャさん!念話の対象を俺だけじゃなくて皆にしてください!そして場所を教えてください!』
『了解した!』
そして、ほんの一瞬だけ時間をあけて、エルシャさんが今度は皆に向かって再び報告をする。
『こちらエルシャ!勇者を見つけた!場所は会場入口だ!至急集合してくれ!』
『『『了解!』』』
皆の返事が俺にも伝わってきた。俺も立つことはできるので、完全感知でエルシャさんがいるところを確認し、そこに転移をする。
「エルシャさん!」
「おお君か!体は大丈夫なのか?」
「ええ、立つくらいなら」
俺が来たのと同時くらいに皆も集まり出した。
「勇者はどこ!?」
ジュリがエルシャさんに勇者の場所を聞き出す。
「あそこだ!あのフードは間違いなく私が聞いたものだ!」
エルシャさんが指をさした先には確かに勇者がいた。フードを被っていて顔は見えないが、体つきから女だ。
その勇者は生きる力を失くしたかのように体を左右に揺らしながら歩いている。勇者が向かっているその先にはミニゲームをしている予選敗退者がいる。
「マスター!どうやって捕まえるのー!?」
「不意打ちを狙って気絶させてくれ!もしかしたらそれで元に戻るかもしれない!」
「でも、そんなの無理よ!相手は勇者よ!?不意打ちなんてすぐに気付かれるわよ!」
「それでもだ!今の俺達にはそれ以外の方法で捕まえる術を持ってない!」
するとミルが手を挙げて、皆に話を始める。
「簡単な方法がある。感電させてしまえばいい。最悪死んでも生き返させれる」
「だが、感電なんてどうやって……」
「雷に魔力転化して後から雷を当ててしまえばいい。これならバレても多分当たる」
「確かにそれならいけるかもしれん……。ミルやってみてくれるか?」
「任せて」
ミルはまずここで魔力転化を始める。体中からバチバチと雷が鳴りはじめる。
ミルはその状態で勇者から距離を開けて後につけた。そして、両手を前に出し勇者に狙いを定める。
「サンダーボルト」
ミルが意味もない技名を呟くと両手から雷が放出され、勇者を目掛け飛んでいく。それは一瞬の出来事だった。
見ていた分かったが勇者は気づいたようだった。しかし、雷の速さについていけずそのまま食らっていた。
数秒雷を浴びさせると勇者はぐったりと床に伏せた。
「上手くいった」
「良くやったぞ、ミル!」
「ん」
ミルのおかげで勇者の一人を捕らえることができた。この調子で残りの勇者も捕縛していこう。
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コメント
ノベルバユーザー147608
方法は「コブシで」なんですね笑懐かしい