異世界に転生したので楽しく過ごすようです
第92話 帝王が登場するようです
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読者の皆様には風邪をひかないように気をつけて、大晦日、年越し、お正月をお過ごしください!
ロリコン住民同盟に夜通し追いかけられ、なんとか撒いた俺。それはもうめっちゃ頑張った。俺が生きてきた中で一位二位を争うレベル。
それにあんなに大勢に殺意を向けられて追いかけられる恐怖と言ったら……。うぅ!想像しただけで鳥肌が……!
そこで一筋の光が差してきた。朝日が登り始めたのだ。
あぁ。朝日が身に沁みるぜ……。見てみろよこの街の惨状を。路上で色んな人が寝ているぞ。初めてこの街に来た人がこの街見たら即引き返すくらいひどい。
だけど、こんな事しても大丈夫だって事は治安がいい印だな。しかし、路上で寝るのはいかがなものかと思うが……。
「あーやっと見つけたー」
俺の背後から突然誰かの声が聞こえる。
「ほんとにまったく……探したんだからね!」
声音と口調からして女神だと言う事が判明。さらに女神の嘘が判明。
「おい女神。お前が俺を見失うことないだろうが。俺にはお前の監視が、つ・ね・についてるかな」
「あ、バレた?てへっ!」
くそっ。こいつ皮肉言ったのに軽く返してきやがった。
「……いい年こいて、てへっ!とかいたいわー……」
「な、なに、そのいい年こいてって!私は多分十代くらいよ!正確にはわからないど!」
「あーはいはい、小学生高学年くらいね。主に精神年齢が」
「むきー!心も体も女子高生くらいよ!その証拠に私のこの胸を見なさい!ちゃんとあるんだから!」
そう言って胸を張り、俺に見せつけてくる女神。こいつ自分が何してるのか理解してるのか?いや、あの誇らしそうにしてる顔を見る限り全然理解してないな。
「そういう所が小学生なんだよ……。はぁ、まあいいや。で?俺を迎えに来たんだろ?」
「あ、そうだった。とりあえず宿に戻ろ。皆そこにいるから」
「おう了解」
俺は女神と一緒に人々が横たわる道を行き、宿屋を目指す。
「それにしてもよく逃げ切ったねー!途中結構無理してたでしょ?」
「そりゃあな。挟み撃ちとかされた時にはどうしようかと思ったぞ」
「いっその事捕まっちゃえばよかったのに」
「馬鹿言え!あんな奴らに捕まったら何をされるか……!想像しただけで悪寒が走る」
「私は何をされるか見てみたかったなぁ。チラッ、チラチラッ」
「自分で効果音を付けるな」
なんてことを言い合いながら宿屋についた。
俺と女神は泊まっている部屋まで戻る。そこには疲れて眠そうにしているジュリとエルシャさんの姿が。その他の皆は比較的ぴんぴんしていた。
んー。これは状態異常系のスキルを持ってない人との差だろうな。実際ジュリとエルシャさんはただの人だしな。普通は状態異常耐性とか持たないもんな。
「ただいま任務を遂行致しました!」
女神が何故か敬礼しながらそんなことを言う。すると何故か威厳たっぷりにエルシャさんがこちらを向いた。
「うむ、ご苦労であった」
「ありがたき幸せでございます!」
え、何これ。そういう風潮なの?
「女神……お前何してんだよ。それとエルシャさんもこいつに乗らないでください。じゃないとこいつ調子乗るんで」
「そうなのか?私はこのノリ好きだぞ?だから私も……」
「ストーップ!その先はもう読めたのでもう言わなくていいです」
「むぅ……」
油断も隙もあったもんじゃない。大方私も連れてってくれとか言うつもりだったんだろうな。
「話は終わったかしら?なら私達から報告がひとつあるわ」
「報告?なにかあったのか?」
ジュリが眠い目をこすりながら、俺に向かう。どうやら俺が逃げ回っていた時に何をしていたのかを報告するみたいだった。
「私達はあなたが逃げ回ってる間何もしなかったわけじゃないの。と言うかあなたが逃げ回ることも作戦の内だったのよ」
「え?俺そんなこと聞いてないんだけど……」
「聞いてもどうせ逃げ回ってたでしょ?」
「それはそうなんだが……」
「ならいいじゃないの」
なんか俺の扱い雑じゃない?俺の気のせい?気のせいだって言って欲しい……。
「本題に戻るわね。私達があなたが逃げ回ってる間にした事は宣伝よ。まあエルシャには別の事をしてもらったけどね」
「宣伝?なんの宣伝をしたんだ?それとエルシャさんは一体何を?」
「まず私達がした事から説明するわ。私達は明日予選落ちした人達を武道会に集める為にある事を伝えてまわったわ。そのある事って言うのは、明日の本戦決勝後に予選敗退者達で戦って、残った最後の一人は一つだけ願いを叶えさせてもらえるってことよ」
「はあ?なんとも突拍子もないことを」
「でも皆喜んでいたわよ?これであの子とキスできるーとか、いい武具揃えれるーとかね。まあ殆ど前者だったけど」
「だろうな」
だけどまあ悪くない考えかもな。人に迷惑をかける可能性があるのはいただけないが。
ん?待てよ?ならエルシャさんは何をしたんだ?
「それじゃあエルシャさんは一体何を?」
「私はプログラムの組み換えを頼んだのだ。企画を持ち込んでなんとか認証してもらった。結構大変だったんだぞ?」
「俺達の我が儘なのに、尽力して下さってどうもありがとうございます」
「なら、埋め合わせに私とデー……」
「お食事をしましょう!それでいいですね!わー楽しみだなー」
「……不満はあるがまあそれでもいい。君と一緒に居れればそれで」
エルシャさんの純愛が俺には眩しいです……。俺じゃなくて他にいい男いるでしょうに……。
そこでミルが目を輝かせているのに気付いた。
「お食事と聞いて」
さっきまでつまらなさそうにしてたのに食べる事となるとすぐに反応するんだから。
「ミル。お前はいつも食ってばかりだな……」
「頑張った対価を貰ってるだけ」
「その割には対価に見合わない量を食ってるけどな」
「気にしたら負け」
「その言葉万能すぎだろ……」
「グッ……!」
いい顔でサムズアップするミル。
いやいや、褒めてないですし。少し食べる量を自重してもよろしいのでは?うちのパーティのエンゲル係数は殆どがミルとゼロで埋まってるんですよ?
そんな俺の気も知らずに色んな食べ物に思いを馳せるミル。顔が蕩けて涎がたれている。幸せそうではあるのだが変な顔だ。
「とりあえず、私達が今できる事は全てしたわ。あとは天命に任せるだけね」
「理想は予選落ちした人全員参加なんだがな。どれくらい来るだろうか」
「口コミで広がってくれてればそれなりは来るはずよ。その為の逃走劇でもあるのだし」
「あっ、あれそういう意味があったのかよ!」
良かったー。俺のあの時間は決して無駄ではなかったんだな……。
「あ、そう言えば決勝はいつからなんだ?俺気絶してて聞いてないんだけど」
「それでしたらお昼からのようです。しかし、早めに行って勇者達が来るかどうか見張っておいた方がいいと思われます」
「確かにレンの言った通りだな。よし、それじゃ早めに向かうことにする。しかしだ!俺は眠い!夜通し走り続けたせいで眠い!だから今から二時間寝る!そんじゃおやすみ!」
俺は気絶したかのように眠りについた。
◇◆◇◆◇
きっかり二時間後。俺はリンに起こされた。リンは少し申し訳なさそうにしながらも俺を起こしてくれたようだ。
俺はもう少し寝ていたがったがそうも言っていられないので、起こしてくれたリンの頭をポンポンと叩いて感謝をしてから、会場へ行く準備を始める。
周りを見ると、ゼロとレンは起きているがその他が眠っていた。
リンが全員を起こして回るようだ。健気な子である。
女神とか起こすの大変そうだったから、俺が女神の額に本気のデコピンを一発入れてやった。
そんなことをしながら、皆の準備が終わり、会場へと向かう。
「よし、皆行くぞー。眠いやつは会場で寝ろ!」
「「「ふあぁあい」」」
こんなグダグダな感じで会場へと向かい始める。路上に寝ていた人達はほぼ起きて居なくなっていた。
「うまく勇者が連れるといいんだがな……」
「まあ一種の賭けのようなものだものね。上手くいくのかは神のみぞ知るってところね」
神のみぞ知るか……。おっ?神?神ならそこにいるじゃん。
「どうだ女神?分かるか?」
「分かるわけないじゃない!あなた馬鹿なの?」
ま、まさか女神に馬鹿と言われる事があるとは……。屈辱だ……。
「そんな事よりもう着くよ?ここから本番なんでしょ?」
「あ、ああ。そうだな。……ん?フェルトがいる?だけどなんだ?フェルトの隣にいるあの大きな人は?」
会場にもうすぐで着くと思った矢先に、目の前に大きな人が立ちはだかった。
その人は犬の耳に銀色に輝くの髪をした、男だった。
「あ、フェルトー」
ジュリも気付いたようでフェルトに声をかける。するとその声が届いてフェルトがこちらに気付いて手を大きく振る。
「ジュリー!」
それと同じくしてフェルトの隣にいた人もこちらを認識したようだ。そして、なぜが俺がものすごく睨まれている気がする。
「フェルト、その方は?」
「私の父で現帝王よ。どうしても私の試合を見たいと言って付いてきたの」
「現帝王をしているフェラリオンと言う。以後よろしく頼む。私は行事で決勝を見守る為に呼ばれたのだ。我が娘が言ったことは全て嘘であるので信じないようにしてくれるとありがたい」
へぇ。そうなのか。……ん?ちょっと待て?フェルトの父が現帝王だってことはフェルトは王女?
あの性格で王女とは……。どこの王女も俺な考える王女とは全然違うようだ。
「ところでそこの君」
突然現帝王が俺を睨んで話しかけてきた。
「は、はいなんでしょう!」
「お前だな?ロウリ・コーンという者は」
「い、いかにもそうでありますが、どうかなさいましたか?」
「お、お前のせいで……!お前のせいで、我が娘はおかしくなってしまったのだ!どうしてくれる!」
「えっえっえぇっ!?な、なにがですか!?私何もやっていませんよ!」
「ええい嘘をつくな!フェルトが言っておったわ、ロウリ・コーンさんのおかげで恋を知ったと」
「な、なんですかそれ……俺何も……」
「恋を知るくらいならまだ良かったのだ。恋多き年であるのも重々承知。多少の恋なら許すことも出来たのだ!しかし……しかし!よりにもよってフェルトはあの猫野郎に恋をしたと言い出したのだ!」
猫野郎?もしかして金虎族のことか?って言うことはレオンか。ふむ。フェルトは自覚したようだ。
「それもこれも全部きっかけを作ったお前のせいだ、ロウリ・コーン!私はお前を絶対に許さんぞ!」
「えぇ……」
とばっちりもいいところだ。俺が一体何もしたというのだ……。
「ちょっとお父さん!何言ってるの!この人は何も悪くないわ!私の恩人のような人にそんな事を言うお父さんなんて嫌い!」
フェルトが俺を庇ってくれた!
「い、いやしかしな……。あの猫野郎と恋をするのは……」
「私が決めたの!私はレオンが好きなの!誰がなんて言おうとレオンと恋をしたいの!」
「あの猫野郎などよりいい男なぞ……」
「お・と・う・さ・ん!」
「うっ……」
帝王様はどうやら娘に弱いようだ。もしかしたらフェルトが強いだけなのかもしれないが。
「次に私の恋を否定したら、家出するからね!」
「………………分かった。お前の恋を許そう」
タメ長かったなぁ。苦渋の決断と言ったところだろうな。
「だが、こいつだけは許せん!私からお前に決闘を申し込む!」
え?なんだって?決闘?決闘ってあれでしょ?どっちかが死ぬか降参するまで戦うってやつ。
「もしその決闘を受けなかったらどうなるんですか……?」
「お前は国家反逆罪として死刑にしてやる!」
「んなっ!」
ひどい!ひどすぎる!昨日からずっとこんな感じなんだけど……。ほんと俺何でこんなことになってんだ……。
「どうだ、受けるのか受けないのか?」
「う、受けます」
受けるも地獄、受けないも地獄。俺の待ち受ける未来は地獄しかないようです。
読者の皆様には風邪をひかないように気をつけて、大晦日、年越し、お正月をお過ごしください!
ロリコン住民同盟に夜通し追いかけられ、なんとか撒いた俺。それはもうめっちゃ頑張った。俺が生きてきた中で一位二位を争うレベル。
それにあんなに大勢に殺意を向けられて追いかけられる恐怖と言ったら……。うぅ!想像しただけで鳥肌が……!
そこで一筋の光が差してきた。朝日が登り始めたのだ。
あぁ。朝日が身に沁みるぜ……。見てみろよこの街の惨状を。路上で色んな人が寝ているぞ。初めてこの街に来た人がこの街見たら即引き返すくらいひどい。
だけど、こんな事しても大丈夫だって事は治安がいい印だな。しかし、路上で寝るのはいかがなものかと思うが……。
「あーやっと見つけたー」
俺の背後から突然誰かの声が聞こえる。
「ほんとにまったく……探したんだからね!」
声音と口調からして女神だと言う事が判明。さらに女神の嘘が判明。
「おい女神。お前が俺を見失うことないだろうが。俺にはお前の監視が、つ・ね・についてるかな」
「あ、バレた?てへっ!」
くそっ。こいつ皮肉言ったのに軽く返してきやがった。
「……いい年こいて、てへっ!とかいたいわー……」
「な、なに、そのいい年こいてって!私は多分十代くらいよ!正確にはわからないど!」
「あーはいはい、小学生高学年くらいね。主に精神年齢が」
「むきー!心も体も女子高生くらいよ!その証拠に私のこの胸を見なさい!ちゃんとあるんだから!」
そう言って胸を張り、俺に見せつけてくる女神。こいつ自分が何してるのか理解してるのか?いや、あの誇らしそうにしてる顔を見る限り全然理解してないな。
「そういう所が小学生なんだよ……。はぁ、まあいいや。で?俺を迎えに来たんだろ?」
「あ、そうだった。とりあえず宿に戻ろ。皆そこにいるから」
「おう了解」
俺は女神と一緒に人々が横たわる道を行き、宿屋を目指す。
「それにしてもよく逃げ切ったねー!途中結構無理してたでしょ?」
「そりゃあな。挟み撃ちとかされた時にはどうしようかと思ったぞ」
「いっその事捕まっちゃえばよかったのに」
「馬鹿言え!あんな奴らに捕まったら何をされるか……!想像しただけで悪寒が走る」
「私は何をされるか見てみたかったなぁ。チラッ、チラチラッ」
「自分で効果音を付けるな」
なんてことを言い合いながら宿屋についた。
俺と女神は泊まっている部屋まで戻る。そこには疲れて眠そうにしているジュリとエルシャさんの姿が。その他の皆は比較的ぴんぴんしていた。
んー。これは状態異常系のスキルを持ってない人との差だろうな。実際ジュリとエルシャさんはただの人だしな。普通は状態異常耐性とか持たないもんな。
「ただいま任務を遂行致しました!」
女神が何故か敬礼しながらそんなことを言う。すると何故か威厳たっぷりにエルシャさんがこちらを向いた。
「うむ、ご苦労であった」
「ありがたき幸せでございます!」
え、何これ。そういう風潮なの?
「女神……お前何してんだよ。それとエルシャさんもこいつに乗らないでください。じゃないとこいつ調子乗るんで」
「そうなのか?私はこのノリ好きだぞ?だから私も……」
「ストーップ!その先はもう読めたのでもう言わなくていいです」
「むぅ……」
油断も隙もあったもんじゃない。大方私も連れてってくれとか言うつもりだったんだろうな。
「話は終わったかしら?なら私達から報告がひとつあるわ」
「報告?なにかあったのか?」
ジュリが眠い目をこすりながら、俺に向かう。どうやら俺が逃げ回っていた時に何をしていたのかを報告するみたいだった。
「私達はあなたが逃げ回ってる間何もしなかったわけじゃないの。と言うかあなたが逃げ回ることも作戦の内だったのよ」
「え?俺そんなこと聞いてないんだけど……」
「聞いてもどうせ逃げ回ってたでしょ?」
「それはそうなんだが……」
「ならいいじゃないの」
なんか俺の扱い雑じゃない?俺の気のせい?気のせいだって言って欲しい……。
「本題に戻るわね。私達があなたが逃げ回ってる間にした事は宣伝よ。まあエルシャには別の事をしてもらったけどね」
「宣伝?なんの宣伝をしたんだ?それとエルシャさんは一体何を?」
「まず私達がした事から説明するわ。私達は明日予選落ちした人達を武道会に集める為にある事を伝えてまわったわ。そのある事って言うのは、明日の本戦決勝後に予選敗退者達で戦って、残った最後の一人は一つだけ願いを叶えさせてもらえるってことよ」
「はあ?なんとも突拍子もないことを」
「でも皆喜んでいたわよ?これであの子とキスできるーとか、いい武具揃えれるーとかね。まあ殆ど前者だったけど」
「だろうな」
だけどまあ悪くない考えかもな。人に迷惑をかける可能性があるのはいただけないが。
ん?待てよ?ならエルシャさんは何をしたんだ?
「それじゃあエルシャさんは一体何を?」
「私はプログラムの組み換えを頼んだのだ。企画を持ち込んでなんとか認証してもらった。結構大変だったんだぞ?」
「俺達の我が儘なのに、尽力して下さってどうもありがとうございます」
「なら、埋め合わせに私とデー……」
「お食事をしましょう!それでいいですね!わー楽しみだなー」
「……不満はあるがまあそれでもいい。君と一緒に居れればそれで」
エルシャさんの純愛が俺には眩しいです……。俺じゃなくて他にいい男いるでしょうに……。
そこでミルが目を輝かせているのに気付いた。
「お食事と聞いて」
さっきまでつまらなさそうにしてたのに食べる事となるとすぐに反応するんだから。
「ミル。お前はいつも食ってばかりだな……」
「頑張った対価を貰ってるだけ」
「その割には対価に見合わない量を食ってるけどな」
「気にしたら負け」
「その言葉万能すぎだろ……」
「グッ……!」
いい顔でサムズアップするミル。
いやいや、褒めてないですし。少し食べる量を自重してもよろしいのでは?うちのパーティのエンゲル係数は殆どがミルとゼロで埋まってるんですよ?
そんな俺の気も知らずに色んな食べ物に思いを馳せるミル。顔が蕩けて涎がたれている。幸せそうではあるのだが変な顔だ。
「とりあえず、私達が今できる事は全てしたわ。あとは天命に任せるだけね」
「理想は予選落ちした人全員参加なんだがな。どれくらい来るだろうか」
「口コミで広がってくれてればそれなりは来るはずよ。その為の逃走劇でもあるのだし」
「あっ、あれそういう意味があったのかよ!」
良かったー。俺のあの時間は決して無駄ではなかったんだな……。
「あ、そう言えば決勝はいつからなんだ?俺気絶してて聞いてないんだけど」
「それでしたらお昼からのようです。しかし、早めに行って勇者達が来るかどうか見張っておいた方がいいと思われます」
「確かにレンの言った通りだな。よし、それじゃ早めに向かうことにする。しかしだ!俺は眠い!夜通し走り続けたせいで眠い!だから今から二時間寝る!そんじゃおやすみ!」
俺は気絶したかのように眠りについた。
◇◆◇◆◇
きっかり二時間後。俺はリンに起こされた。リンは少し申し訳なさそうにしながらも俺を起こしてくれたようだ。
俺はもう少し寝ていたがったがそうも言っていられないので、起こしてくれたリンの頭をポンポンと叩いて感謝をしてから、会場へ行く準備を始める。
周りを見ると、ゼロとレンは起きているがその他が眠っていた。
リンが全員を起こして回るようだ。健気な子である。
女神とか起こすの大変そうだったから、俺が女神の額に本気のデコピンを一発入れてやった。
そんなことをしながら、皆の準備が終わり、会場へと向かう。
「よし、皆行くぞー。眠いやつは会場で寝ろ!」
「「「ふあぁあい」」」
こんなグダグダな感じで会場へと向かい始める。路上に寝ていた人達はほぼ起きて居なくなっていた。
「うまく勇者が連れるといいんだがな……」
「まあ一種の賭けのようなものだものね。上手くいくのかは神のみぞ知るってところね」
神のみぞ知るか……。おっ?神?神ならそこにいるじゃん。
「どうだ女神?分かるか?」
「分かるわけないじゃない!あなた馬鹿なの?」
ま、まさか女神に馬鹿と言われる事があるとは……。屈辱だ……。
「そんな事よりもう着くよ?ここから本番なんでしょ?」
「あ、ああ。そうだな。……ん?フェルトがいる?だけどなんだ?フェルトの隣にいるあの大きな人は?」
会場にもうすぐで着くと思った矢先に、目の前に大きな人が立ちはだかった。
その人は犬の耳に銀色に輝くの髪をした、男だった。
「あ、フェルトー」
ジュリも気付いたようでフェルトに声をかける。するとその声が届いてフェルトがこちらに気付いて手を大きく振る。
「ジュリー!」
それと同じくしてフェルトの隣にいた人もこちらを認識したようだ。そして、なぜが俺がものすごく睨まれている気がする。
「フェルト、その方は?」
「私の父で現帝王よ。どうしても私の試合を見たいと言って付いてきたの」
「現帝王をしているフェラリオンと言う。以後よろしく頼む。私は行事で決勝を見守る為に呼ばれたのだ。我が娘が言ったことは全て嘘であるので信じないようにしてくれるとありがたい」
へぇ。そうなのか。……ん?ちょっと待て?フェルトの父が現帝王だってことはフェルトは王女?
あの性格で王女とは……。どこの王女も俺な考える王女とは全然違うようだ。
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「い、いかにもそうでありますが、どうかなさいましたか?」
「お、お前のせいで……!お前のせいで、我が娘はおかしくなってしまったのだ!どうしてくれる!」
「えっえっえぇっ!?な、なにがですか!?私何もやっていませんよ!」
「ええい嘘をつくな!フェルトが言っておったわ、ロウリ・コーンさんのおかげで恋を知ったと」
「な、なんですかそれ……俺何も……」
「恋を知るくらいならまだ良かったのだ。恋多き年であるのも重々承知。多少の恋なら許すことも出来たのだ!しかし……しかし!よりにもよってフェルトはあの猫野郎に恋をしたと言い出したのだ!」
猫野郎?もしかして金虎族のことか?って言うことはレオンか。ふむ。フェルトは自覚したようだ。
「それもこれも全部きっかけを作ったお前のせいだ、ロウリ・コーン!私はお前を絶対に許さんぞ!」
「えぇ……」
とばっちりもいいところだ。俺が一体何もしたというのだ……。
「ちょっとお父さん!何言ってるの!この人は何も悪くないわ!私の恩人のような人にそんな事を言うお父さんなんて嫌い!」
フェルトが俺を庇ってくれた!
「い、いやしかしな……。あの猫野郎と恋をするのは……」
「私が決めたの!私はレオンが好きなの!誰がなんて言おうとレオンと恋をしたいの!」
「あの猫野郎などよりいい男なぞ……」
「お・と・う・さ・ん!」
「うっ……」
帝王様はどうやら娘に弱いようだ。もしかしたらフェルトが強いだけなのかもしれないが。
「次に私の恋を否定したら、家出するからね!」
「………………分かった。お前の恋を許そう」
タメ長かったなぁ。苦渋の決断と言ったところだろうな。
「だが、こいつだけは許せん!私からお前に決闘を申し込む!」
え?なんだって?決闘?決闘ってあれでしょ?どっちかが死ぬか降参するまで戦うってやつ。
「もしその決闘を受けなかったらどうなるんですか……?」
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