異世界に転生したので楽しく過ごすようです

十六夜 九十九

第6話 2人目のようです

 俺とゼロはクエストを達成したことを報告するためにギルドに戻った。

 受付の人は、クエストを受けた時の人と同じだ。

「あのークエストなんですけど…」

「どうかなされました?」

「達成したときはどうすればいいのかわからなくてですね」

「ああ、それでしたら、採取であれば依頼されたものを、討伐であればギルドカードを私達に提出してくれれば結構ですよ」

 ふむふむ。なるほど。そういう仕組みなのか。討伐でギルドカードを出すのは予想だけど討伐数とか記録されるからだろうな。

「じゃあ、はい」

「えっ?」

「だから採取クエストの依頼されたものですよ」

「えっ?もうですか?」

「そうですけどなにか?」

「あ、え、い、いえ!なんでもごさいません。それではこちらで預かります。………この量を採取してるのにいくらなんでも早すぎる…」

 最後の方小声だったからよく聞こえなかったんだけど、予想はつくな。大方早すぎるとか思ってるんだろ。俺だって同じこと思ってるしな。創意工夫のおかげでまんまり移動してないし。

「確認が終わりました。たしかにクエストの規定の個数ありました。それでは今回の報酬1万Gになります」

「ありがとうございます」

 おお、初めての報酬。5個のクエスト受けて1万は少ない気がするが、まぁ採取クエならこんなもんだろ。

「それと、今回Eランククエストを5個達成されたのでDランクにアップさせていただきます」

 まさか、ランクアップするとは思ってなかった。

「ギルドカードを更新致しますので、提出をお願いします」

「あ、はい」

「………完了いたしました。今後とも頑張って下さい」

「ありがとうございます」

 ギルドカードが青から緑になったぜ!この調子でどんどん上げてくぜ!

『マスター嬉しそうだねー?』

『まぁな。成長してるのが分かると嬉しいもんなのさ』

『そうなのー?』

『そうなの』

『わたしにはわからないの』

『お前は女の子だから分からないのも当然だ。……ゼロって女の子だよね?』

『?スライムには性別ないよ?』

『なん…だと…!?じゃあわたしって言ってるのは…』

『その方がしっくりくるからなのー』

『知りたくなかったよ、そんな事実……』

 まさかゼロが性別なしだったとは。だからといって捨てたりはしないよ?今では大切な仲間です。

 さ、気を取り直して街に行きますか。

 今回のクエストで貰った1万G。宿代と食事代を抜けばだいたい半分は残る。それでなにか役に立つものを買っておきたい。

 おれは街の商店街に向かった。

 えーっと、確かこの辺に鍛冶工具が売ってたような気がするんだけど…。あ、あった。

 えー、なになに?スモーの工具店?スモーって店主か?とりあえず入るか。

「らっしゃい!今日は何をお求めで?」

 元気のいい人だ。

「ちょっと工具を見せてもらいたくて。いいものがあったら買わせてもらうよ」

「ふむふむ。予算はどれくらいで?」

「5000Gくらいしかないんですけど…」

「それならこっちの棚にそれくらいのがあるで!」

 案内された所には、見た目も性能も普通の工具しかなかった。まぁしょうがないっちゃしょうがないんだけど。

 とりあえず俺はひとつひとつ見ていく。ハンマーに、ピッケル。スコップにシャベル。バケツまで置いてある。これ工具店って言うより雑貨店じゃね?

 と、俺の目に1つのものが止まった。

「すいませーん!これいくらですか?」

「はいはい、この砥石で?」

 そう、砥石だ。戦闘で剣を使えば刃がこぼれるしな。手入れは自分でできた方がいいだろ。

「この砥石全く削れねぇんで、ただであげます」

 おお、ただでくれるのか。ただまぁ削れないってことはただの石と同じってことだけどな。

「じゃあ貰っておくよ。ありがとう」

「いえいえ、こちらこそ処分できて嬉しい限りで」

 それから俺は店を後にした。

 結局お金使ってないな。まぁ今すぐ使わないといけない訳じゃないしいいだろ。初めての報酬は貯金するってことで。

 その夜。俺は貰った砥石で自分の剣を研いで見ることにした。

 たしかに研げてるようには見えない。俺はこの砥石を鑑定して見ることにした。むむむ!

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【マジックシャーピング】
この砥石に魔力を流すことによって自由自在に粗さを変えることができる。また魔力を使って研ぐため、魔剣などを研ぐのにも使われる。
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 なんと、魔力を流して使うものらしい。ようするにマジックアイテムだ。

『あのさ、ゼロが魔力流してくれない?研ぎながら魔力流すことは流石に出来ないからさ』

『りょーかいマスター』

 俺は武器を1回だけ研いだ。

 するといきなり剣が光り輝き、形を変えはじめた。

 ようやく光が収まって剣を見てみる。するとどうだろう、今までの剣は、装飾も何も無いただの鋼の剣だったのだが、今目の前にあるものは全く別物になっている。

 剣の部分は黒く鈍い光を放ち、柄には黒い龍の彫刻が。そして龍の至る所にいくつもの宝石が埋め込まれていた。

 俺は息をするのも忘れてその剣を見つめた。ゼロも同じだ。ゼロに目は無いけど。

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インテリジェンスウェポン
Lv.60
HP:7000
MP:5000

【魔法】
全魔法

【スキル】
人化・硬化・軟化・魔力転化・念話・飛行・言語理解・鑑定・マップ・剣術・状態異常無効・自己再生

【称号】
造られし武器
魔法を統べるもの
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 わお、鑑定が自動で発動したよ。

 ところで、インテリジェンスウェポンって何ぞ?

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【インテリジェンスウェポン】
知性を持った武器。自分で考え行動できる。
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 創意工夫さんいつもお疲れ様です。

 だけど、ただの鋼の剣だったのに何故こんなことに。

 それにスキルも多いし、魔法だって全魔法とか書いてあるじゃん。

 ひとつひとつ見てみるか。

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〔人化〕
人の姿になることができる。
〔硬化〕
硬くなれる。
〔軟化〕
軟らかくなれる。
〔魔力転化〕
魔力を流すことでその属性の魔力を帯びることができる。人化状態であればその属性を身に纏うことができる。
〔飛行〕
飛べる。
〔剣術〕
剣の扱いが上手くなる。
〔状態異常無効〕
状態異常にならない。
〔自己再生〕
自動で回復する。
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 スキルだけでもやばくね?特に魔力転化と状態異常無効と自己再生。頭おかしい。剣だから頭ないんだけどね。

 さて、次は魔法だけど。全魔法って出てるしどうせ全ての魔法が使えるとかそこへんでしょ。

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〔全魔法〕
全ての魔法が使えるようになった時に1つの魔法となる。全ての魔法が使え、さらに無詠唱、多重魔法、連続魔法が使用可能になる。
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 1歩だけじゃなくその先までいってましたよ…。

 はぁ称号もみて見るか。

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〔造られし武器〕
創造された武器に与えられる称号。
〔魔法を統べるもの〕
全ての魔法が使えるようになったものに与えられる称号。攻撃魔法の威力があがる。
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 なにこれ?称号ですらチートじみてるとか。俺も人のこと言えないけど。

 とりあえず念話があるから話すことは出来るだろ。

 俺はインテリジェンスウェポンの柄を掴んで念話をかけた。

『どうも。インテリジェンスウェポンさん』

『あなた様が私の創造主様ですね』

『えっ?誰が?』

『あなた様でございます』

『そんなまさか。……えっ?ほんとに?』

『はい。事実でございます』

 どうやら俺が作ったことになってるらしい。

『あのさ、鋼の剣だったのになんでインテリジェンスウェポンになったのかさっぱりなんだけど』

『私を研いでくださったことで私という武器が完成いたしました。するとなぜかこのようなことになっていたのです』

 あー。これってもしかして創意工夫のせいなんじゃ?ひと手間加えるとなんかできるらしいし。まぁどうでもいいだろ。出来たもんはしょうがない。

『ちなみに性別は?』

『人化すれば女になりますが、この状態だと性別はありません』

『なるほど。じゃあレンって名前でいい?』

『はい!ありがとうございます!』

《インテリジェンスウェポンが従魔になりました》

 は?従魔?武器じゃなくて魔物?なぜ?訳分からんな。

『レンって魔物なのか?』

『はい。魔力が武器に込められたので魔物化しました。ですが、私は武器です』

 よし、分からないことが分かった。まぁどうでもいいだろ。私は武器ですって言ってるし、武器なんだろ?ただ従魔になったらしいから明日ギルドで登録するか。

 それから俺はゼロも交えてレンと話した。途中で俺は眠くなって寝たのだが、ゼロとレンは寝なくても大丈夫なようでその間もずっと話していた。

 そして、翌日。俺にとって初めてのの大きな出来事が起こる。




HPとMPはあくまでも目安として下さい。この作品では、あまり重要ではないです。

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