異世界に転生したので楽しく過ごすようです

十六夜 九十九

第3話 やっぱり最初はスライムのようです

 カサカサ!

 なにやつ!?

 後ろの草むらが揺れた。俺は警戒して剣を抜く。

 カサカサッ!

 ぷるんぷるん。

 ―スライムがあらわれた!―

 じゃねぇよ!まあスライムが出てきたのは確かなんだが!錯乱してドラクエみたいな事を考えてしまって、創意工夫が発動したよ……。なんか創意工夫面倒くさくね?

 とりあえずスライムが1匹俺の目の前にあらわれたようです。とてもかわいい。色はドラクエの青じゃなくて透き通った薄い黄色をしている。形はぼた餅みたいにまるまるしてるな。

 でもだからといって舐めたことはしない。だって俺、レベル1だもん。

 俺はスライムを警戒して、ガン見する。

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レジェンドスライム(希少種)
Lv.50
HP:4000/5000
MP:1800/2000
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 うぉっ!?いきなり鑑定!?俺がガン見したから?やっぱり創意工夫って不便だな。

 ってそれどころじゃないですよ。レジェンドスライムってなによ?レベル50ってなによ?序盤から強すぎじゃないですか?今頃クソ女神は俺の慌てふためく様子でも見てわらってんだろうな。

 とりあえず警戒を怠らないようにしなければ。

 じー。ぷるん。じー。ぷるんぷるん。じー!ぷるんぷるん!じー!ぷるるん!

 なにもしてくる気配ない。と言うより襲う気がないように思う。俺は剣をしまい、スライムに近づくことにした。

 ぷるるん?ぷるぷる!ぷるんぷるん!

 なにか言おうとしてるような気がする。俺はスライムに触れた。

《念話を獲得しました。声に出さなくても会話できるようになります》

 おお、やっぱりクソ女神の声は殺意がわくな。そんな事よりも念話が出たってことはスライムが話したがってるってことだろう。

『スライムよ、どうしたんだ?』

『!?言葉が通じる!?それよりはやくここからにげるのー!』

『どうしたんだ?HPとか減ってたからもしかしたらだけど何か強い魔物でもでた?』

『そうなのー!だからにげるのー!』

『はっはっは、そんな馬鹿な。お前より強いとかドラゴンくらいじゃね?』

『そのドラゴンが出たのー!』

『なんだって!?……これも創意工夫と巻き込まれ体質のせいだな』

 ……GYAOOOOOOOO!

 あぁ。遠くからドラゴンの様な奴の鳴き声が…これはどうしようもないな。

『スライムよ…ドラゴンだな…』

『もうそこまできてる…。一緒に逃げるの!』

『なんか駆け落ちみたいだな』

『…ポッ』

『ポってなんだ!ポって!』

 俺はなぜこんなことをしているのだろう?

 とりあえず俺は逃げることにした。もちろんスライムを抱えて。…だってこのスライム可愛いんだもん。

 逃げるにしたって、どこに逃げればいいんだっての。近くに街があるならそこに向かって逃げたいんだけど。

《マップを獲得しました。地図が確認できます》

 今回はありがたい!だが、女神ってことで気が萎える。

 とりあえずマップを見る。ここから南東の方角に大きな街がある。そこに向かって逃げよう!丁度ドラゴンの鳴き声が聞こえた方と反対だし!

『ゼロよ。南東に街があるのだがそこに逃げ込んでいいか?』

『うん!でもゼロってわたしー?』

『そうだが嫌だったか?なら他のに…』

『ううん!とてもいい名前だとおもうの!ありがとー!』

《レジェンドスライムが従魔になりました》

 おや?従魔とはなんぞ?

『ゼロが従魔になったらしいんだけど、従魔ってなによ?』

『ほんと!?わたし従魔になれたのー!?』

『う、うん。そうだけど。従魔ってなによ?』

『やったー!!みんなスライムは従魔にする価値ないって言って無視するから従魔になることが夢だったの!マスターありがとー!』

『マスターって俺のことか?それと従魔ってなによ?』

『そうなの!わたしの主人様だからマスター!』

『なるほど、それで従魔ってなによ?』

『従魔って言うのはね、魔物を従えることなの。魔物と意思疎通して、相性がよくて、名前をつければ従魔に出来るの!』

『なるほどね』

 俺ってめっちゃ優しいよな。女神だったら即死ねって言ってたわ。ただ一つ気になったことが。

『俺、ゼロより弱いんだけど。大丈夫?』

『そうなの?わたしより遥かに強そうだよー?』

『俺、レベル1だぜ?どこが強そうに見えるんだ?』

『なんて言うかオーラ?みたいなの』

『オーラ出てんのか俺』

『うん!わたしには見えるよー?』

 たぶん女神の加護のせいだろ。それ以外に考えられん。

 っと話してるうちに森から抜け出せたようだな。前に見えるのが目的の街だろう。ここから走ればすぐに着くだろう。

『森を抜けた。もうすぐ街に着くぞ』

『たぶんあのドラゴンはまだ森から出ないからもうゆっくりあるいて大丈夫だよ!』 

『おけー』

 こうして俺は森を抜けた。

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