チート特典スキルは神より強い?

ゴッティー

第46話 調査6

~ゼレシア視点~

 今日になってまたアウル君が新しい女の子を連れてきた。思い返せば私、アウル君、そしてロリ長だけだった毎日の食事も今日で5人。この状況はかなり不味い。私がアウル君と出会った日から、私とアウル君が一緒にいる時、時々周り一帯からかなり大勢の視線を感じることも少なくない。もしかしたら私の他にもたくさんアウル君を狙っている人がいるんじゃないかと思う。でも今更好きだとアウル君に伝えるのも少ししずらい。それに多分、アウル君は私の事なんて…。

「ん…。もう本ばっかり読まないで少しは部屋から出た方が良いかな?」

 最近、なんだかんだと言ってもずっと超級魔法や国防級魔法などを一日中読んでいて、全く日の光に当たらない。そのおかげで今の私の肌は以前により白を足したような肌になっている。決して太ったりはしていないと思うけど、以前ハリがあった場所なども今はこんなにぷよぷよしてしまっている。

 すると何やら良い臭いが。そう、その匂いはいつもアウル君が私達の為に毎日作ってくれている夕食。彼の作ってくれるご飯はいつ食べても絶品であり、そして胃にもたれない。今日はどんなご飯を作ってくれるのかとその匂いを嗅いでいると、すでに私の足はアウル君とセリーヌさんの部屋の上の階、要するに地下2階のキッチンへ歩いて行っており、気が付くと私はいつの間にかキッチンにいるアウル君の隣まで来ていた。

「お、ゼレシア。今日も部屋で魔法の本を読んでいたのか?」

「はい。今日は魔法防御での国防級魔法の本を読んでいました。でも最近、部屋に籠ってばかりで…」

「勉強熱心で何よりだ。けど、時々外に出た方が良いと思うよ。部屋に籠っていたら健康にも悪いからね」

「はい。わかりました。でも、もし健康が悪くなったとしても最近、勉強した治癒魔法であっという間に直しますよ」

「それは凄い。俺は戦闘系の魔法しか使わないし、他の魔法を学ぼうとあまりしたことが無いからゼレシアを見習わないとね」

 そう、アウル君は攻撃系魔法しか使うことが出来ず、それ以外の魔法は初級で止まってしまっている。だから私は最近、必死でサポート系魔法を学んでいるわけなのだが…。最近アウル君が他の魔法を学ぶべきか考えている。もしアウル君がサポート系魔法も使えるようになったとすると私は彼に付いて行くことが出来るのだろうか? もしかしたら私の事を忘れてしまうのでは? 最近こんな事ばかり考えてしまうが、実際どうなのだろうか。そんなことをいつもの様に考えていると、アウル君が料理を作り終えた。

「出来上がり。今日はラーメン、餃子、ご飯といつものセットだ」

「凄く美味しそうです。やっぱりアウル君は料理が上手いですね。いつも思っていましたが、誰から教わったんですか?」

~アウル視点~

 ぐは…。ご飯を誰から教わったのかと言われても、内の両親は料理が下手だったし。それに時々この世界には無い料理なども作ったりしている。その料理とは中世には無かった料理だ。基本的にこの世界では前の世界での中世時代にあった世界中の料理がある。だが、その後になってできた料理はこの世界には無いのである。

 この世界の料理は使われている調味料の種類が少なく、そして毎回それを使う量が少ない。それに比べて俺の作る料理は材料と種類が豊富な近代の料理な為、この世界の店で食べる料理とは味も濃いさも全く違う。パンなどもこの世界では固く、甘くない。勿論、不味いわけでは無いが満足できるようなものでもない。まあ、そんなわけで俺はこの世界では贅沢過ぎる料理を作っているのだが、一体誰から料理を教わったと言えばいいのだろうか? 正直にここから異なる世界からの料理を作っているだけだと言ってもゼレシアは信じてくれるだろうが、その後が面倒くさそうだ。もしこの国に7人しかいない超級魔法の使い手である俺の両親から教わったと言っても信じてもらえないだろう。

「えっと、基本は俺の両親からだが、その後は俺が自分で試して料理を考えて作った。幸運ながら俺の舌は日頃から両親に食べさせてもらっていたあの森で生息していた魔物や動物などのおかげで肥えていたから俺の作る料理もこんな感じで味が濃く、使う材料の種類も多い料理になったんだ」

「そうなんですね! やっぱりアウル君の両親も料理をすることが出来るんですね。でも魔物って食べることが出来るんですね。って、魔物を食べる!?」

「え? そうだけど。毎日、俺が作っている料理には全て魔物の一部を入れているけど」

 一応、俺が料理を誰に教わったかは誤魔化すことが出来たが、魔物を食べると言ったところに何か問題があったようだ。各魔物にはいろんな種類の味がある。そしてある一部にはコショウや塩などを体のどこかに隠し持っている魔物さえ存在する。その理由は俺もわからないが、一つだけ知っている事がある。それは魔物はいろんな意味でとても便利な生き物なのである。

「う、嘘…。魔物を食べるなんて…」

「えっと、ゼレシアや他の人も魔物はただの気持ち悪い生物だと思っているのかもしれないが、魔物は上手いんだぞ」

「え? でも昔、ある冒険者が魔物を食べて死にそうになったって…。それにその他の冒険者も試みようと食べましたが、今度は変な味の肉だったなどで魔物は食べることが出来ないって言っていました」

 最初の人が食べようとしたのはゴブリンかな? あいつらの肉は半分腐っているから食べたら死にそうになる。二番目の人が食べたのはどの魔物にも共通した肉の味だ。どちらにせよ二人共外側だけを食べ、中までは食べようとしなかったようだ。

「それは外側だ。中身は色々な味の肉や材料が入っている。このラーメンの上に乗せている海苔も魔物の体内で生成されていたものだ」

「こんな乾いたものが魔物から…?」

「いや、乾かしたのは俺だけどな」

「そ、そうなんですね…」

「まあ、もう夕食は出来たから皆を呼んできて」

「はい、わかりました」

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