ツンデレ妹とヤンデレ妹に愛されすぎて困ってます!

淳平

5話「妹たちと温泉旅行」2日目 後編

「今度はちーちゃんの番だよー」

 茜は笑顔で智咲に向かって言う。
 どうやら行きたいところに行けて満足したようだ。
 満足してくれたようで俺も嬉しい。

「やっと私の番ね。 行くわよ! 熱海サンビーチ!」

 珍しくテンション高めの智咲。
 よっぽど海に行きたかったのだろう。
 いつも素直じゃないからこういう無邪気な智咲はたまらなく可愛く思える。
 智咲可愛いぞ智咲。 
 なんて言ったら智咲は怒るから兄さんは言わないでおくぞ。

 展望台から移動すること20分。 
 俺たちは熱海サンビーチに到着した。
 ビーチは人で埋め尽くされ、水着ではしゃぎ回る家族連れ、カップル、学生たちで賑わっている。
 そして時刻は14時半。 そろそろ小腹が空いて来る時間だ。
 さてどうしようかと思い妹たちがいた方を見るがそこに3人の姿はない。

「陽兄ぃ〜!」

 振り返るとそこには水着姿の3人がいた。
 控えめな体格の茜はピンク色のバンドゥタイプの水着を着ている。
 バンドゥタイプの水着とはブラの部分が三角ではなく横長のチューブトップ型の水着だ。
 まあよく貧乳なキャラが来ているような水着だと思ってくれればいい。
 セクシーというよりキュートといった感じだ。
 実際、兄さんから見てもめっちゃ似合ってるし可愛いぞ!

「茜、超可愛いぞ!」
「ニヒヒ〜、陽兄に気に入ってもらえてうれしい〜」

 茜はよっぽど嬉しいようでぴょんぴょん跳ねる。

「陽ちゃんこっちも見てよ〜」

 後ろを振り返ると菜摘の水着姿が目に映った。
 出るところは出ていて、引っ込むところは引っ込んでいる。
 ……なんとまあグラマラスな身体で……
 黒ビキニを着た菜摘は胸の谷間を強調したポーズで俺に微笑む。
 この幼馴染め! エロい身体しやがって!
 他の男子だったら惚れてるところだな。

「どう陽ちゃん? 可愛い?」
「ああ、まあ……いいんじゃね?」
「え〜、可愛いなんて照れちゃうな〜」
「言ってねえわ!」
「陽兄、可愛いってどういうこと?」
「兄さんサイテー! 鼻の下伸びてるし!」
「いや、伸びてねえし……」

 実際伸びてるだろうな……
 今も口元が緩まないように耐えてるし。

「に、兄さん……ど……どう?」

 声の方を見ると白いビキニを着た智咲が恥ずかしそうにこっちを見ていた。
 茜とは違い智咲の方が発育が良く菜摘までとは言わないが中1にしては豊満な胸をしている。
 ま、まあ、妹だし別にドキドキしたりはしないけどな!
 とりあえずめちゃめちゃ可愛い。

「おう、めっちゃ可愛いぞ智咲」
「ほ、ほんと……?」
「ああ、めっちゃ似合ってるぞ」
「そ、そう。 ……えへへ嬉しい」

 嬉しそうに少し恥ずかしそうに笑う智咲。

「それじゃあ陽ちゃんもお着替えしよっか!」
「私も陽兄のお手伝いする〜」

 菜摘と茜はそう言って俺のTシャツとズボンを脱がせようとしてくる。
 まずい。 服を脱がされる。 女の子に。

「おいやめろ! 一人で着替えられるから!」
「もー、スキンシップだよ〜陽ちゃん」
「陽兄の服、脱がせたい〜」
「兄さんの変態!」

 3人を振り切り俺は更衣室で着替え、3人の元へと戻った。

「待たせたなお前たち!」
「……兄さん……頑張ってお腹に力入れて腹筋あるように見せてるけど……バレバレよ」
「陽兄ぷよぷよ〜」
「お、おい茜触るな!」
「陽ちゃん可愛いとこあるなあ」
「う、うるせえ!」

 俺は赤い海パン一丁でカッコつけてみても普段から鍛えてるわけではないので全くカッコつかなかった。
 くっ……明日から腹筋でもするか……

 俺たちはそれぞれ海を楽しんだ。
 菜摘はパラソルでサングラスをかけていかにもなポーズを取っていたり、サンオイルを要求してきたり。  
 塗ってる最中の茜の睨んだ目が気になったが……
 茜は泳げないので浮き輪をつけて海に浮かんでいた。
 水を掛け合って、キャッキャウフフと思う存分海を楽しんでいた。
 周りから見たら相当リア充なのではないかと思う。
 3人は世間的に見ても相当可愛い。
 だからか何処の馬の骨かもわからない変な男たちにナンパされたりもした。
 当然、すぐ兄さんが撃退したけどな。
 まあ、菜摘の場合は一人で解決してたけど。
 何故か男たちと一旦何処かに行って男たちは泣きながら帰ってくるという。
 一体何があったんだか。
 まあ別にどうでもいいが。

 夕方になりビーチに人が減っていく。
 俺たちもビーチから引き上げ旅館に戻ることにした。
 そして今、風呂で汗を流し夕食を食べ皆で部屋でゴロゴロしている。

「そういえば陽ちゃんの行きたいところ行ってないよね?」
「陽兄行きたいところなかったの?」
「ああ、まあそろそろか」

 俺の言葉にポカーンとする3人。

「皆こっち来いよ」

 そう言って俺は皆を旅館のベランダへと導いた。

「どうしたの兄さん?」
「しーっ。 あと1分」

 あと30秒、20秒、10秒とカウントダウンしていく。
 そしてあと5カウントを取るとき、

「茜、智咲、菜摘。 空を見上げてくれ」

 俺がそう言って3人が空を見上げると気持ちの良い破裂音と共に空に色鮮やかな花火が打ち上がった。

「きれーい!」

 3人共、ほぼ同時に同じセリフを言った。
 それもそのはずで空に打ち上がった花火は物凄く綺麗だった。
 旅館から見える海も上空に打ち上がった花火を映しており、2倍楽しむことができた。

「どうだ茜、智咲、菜摘。 夏の思い出はできたか?」

 俺は3人に問う。
 夏の思い出として3人に妹サービス、幼馴染サービスはできただろうか。
 3日目もあるが、旅の最後の夜となる今日の夜の最後に花火を見せたかった。
 皆、俺の大切な人だからな。

「陽兄〜!」
「陽ちゃん!」

 茜と菜摘が俺に抱きつく。
 どうやら喜んでくれたようだ。
 それを感じて俺もそれに答える。

「に、兄さんにしてはいいんじゃない?」

 智咲は恥ずかしそうにこっちを見て言う。

「智咲も来いよ」
「……兄さんのバカ」
  
 俺たちはこうして3人で抱き合った。
 空に打ち上がる綺麗な花火と心地良い破裂音を聴きながら。

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