俺の幼馴染2人がメンヘラとヤンデレすぎる件

のりしお

交流を深めて

 
  チリーンと鳴り響くベルの音と共に店員が近づき店の中へと案内していく、窓の外には自転車や車が走っていて歩行者のほとんどが暑い日差しをなんとか遮ろうとタオルを巻いたり日傘をさしていた。

  「美結お姉さんってダイエットしてませんでしたっけ?」

  「こ、こら!別にダイエットなんてしてないわよ!そ、それよりあなたの注文した和風おろしハンバーグ……美味しそうね」

  俺と円堂くんはそんなやりとりをあっけなく見ていた。

  「まさか雪殿は変な事を考えてたんではありませんよね?」

  「な、何を言うんだ円堂くん!君こそさっきまで我々はまだ未成年だからなんて言っていたじゃないか!」

  「そ、それは……お、お酒の話でありますよ!」

  どうしてお酒の話になったんだ!

  ……これ以上彼を攻め続けるのも申し訳ないのでもう触れないことにした。

  すると神崎姉妹は不思議そうにこちらを見てきた。

  「なんの話をしているの?」

  「な、なんでもないよ!なぁ?円堂くん!」

  「そ、そうでござるなぁ!僕はゲーム以外は興味ないのでござる!」

  何を嘘ついてるんだ〜とかつっこまないでおこう。

  俺たちはその後もとりとめのない会話を続けながら食事をした。

  「そういえば真由お姉さん、志保さんが付き合い始めたって話知ってる?」

  ……なっ!

  俺は口に含んでいたメロンソーダを吹き出した。

  「だ、大丈夫でござるか?」

  「う、うん……それより美結さんその話は確かなの?」

  俺がそう聞くと「ははぁ〜ん」と言って耳元で真由さんに何かを告げると顔を赤くし「な、なるほど……」と何かを納得したようだった。

  俺は吹き出したメロンソーダを紙で拭き取ると真由さんが軽く咳払いをした。

  「ま、まぁそういう事もあるわよね、うん……良かったら雪くんデザート食べて、私が奢るわよ」

  「まぁ相手があのイケメンくんじゃねぇ〜雪くんじゃ相手にならないだろうし」

  「こ、こら!そんな事言うんじゃないの!」

  ……俺はやっぱり女が嫌いだ!

  ーーーーーーーー

  その後神崎姉妹と別れ俺と円堂くんはカラオケに行った。

  「やっぱり俺は女が嫌いだ!あの何かと秘密を作るところとか!はっきり言わないところとか!」

  俺はマイクを片手にそう叫んだ。

  「まぁ実際のところはっきり申してたではないですか、相手にならないと」

  俺はテーブルに頭を打ち付けた。

  「そ、そうなんだけどさ〜」

  「とりあえず今日は歌いまくるでござるよ!雪殿!」

  そう言ってデンモクを画面に向けると流れ始めた曲はアムロ振り向かないでだった。

  そこは翔べカンダムじゃないんだ!

  「雪殿〜♪振り向かないで〜↓」

  しかも替え歌だし!

  「俺はその後翔べカンダムを歌った」 

 ーーーーーーーー

  「ただいま〜」

  俺が玄関を開けると二階の扉が開いた音がした。

  「ちょっと!どこ行くのよ雫!私まだ一回も勝ててへんのに!」

  なんかへんななまりが……

  「おかえり〜お兄ちゃん、もうエミちゃんの相手が大変でさぁ〜めちゃくちゃ弱いの」

  「そ、それとさ……」

  すると二階から怒鳴り声が聞こえた。

  「よ、弱いとか言うな!」

  相変わらず元気100倍なんとかマンみたいだな、さっさと風呂に入るか〜カラオケで疲れたし。

  俺はすぐさま二階に上がって行った。

  「……あ」

  俺は制服をかけるとさっさとお風呂場に行き湯船に浸かってのんびりした。

  あ、ラッキースケベが起こりそうとか思ったそこの君、別にそういうのないから。

  お風呂場とは生活の中で最もプライベートな時間でその次に寝室……なので邪魔をされたくないのだ。

  そのため風呂の前のドアにしっかりと鍵をかけておいた。

  あ、フラグと思ったそこの君、ちょっとこっちに来なさい。

  ガッ……チャ……。

  唐突に風呂のドアが開きそこには妹がいた。

  そう妹が……。

  イモウモ……?

  顔を真っ赤にしながらタオル一枚でゆっくりと足を風呂場に……一歩、また一歩近づき小さい声で「入るね……」と言った。

  湯気とタオルのおかげで妹の大切な部分は見えていない、しかし太ももから指先にかけて落ちて行く水滴や肩の鎖骨、薄ピンクになっている肩などはすべて見えていた。

  「お、……おま……え、……ええ!」

  俺は何とか目をそらそうと試みるがどうやら俺は正直物のようだ。

  全くゆうことが効かない。

  「さ、さっきね……言おうと思ったんだけど……なんか久し振りに色々と思い出しちゃってさ……」

  妹は目をそらしまた一歩と近づいてくると手桶に風呂水を入れて自分の体に流した。風呂椅子に座るとタオルを風呂桶に入れてチラッとこちらを見て来た。

  「ほら……あの時もこうして一緒にお風呂入ってさ……全然会話も弾まなくて……」

  ……あの時から俺とお前の距離は縮まったのだろうか?……俺には分からない。

  「やっぱり私はさ、……ぎ」

  「ちょっと!!!雫!!!雪が入ってるのに何やってるのよ!!!」

  まずい!エミだ!これは色々と勘違いされる!

  「え〜兄妹なら普通だよ〜なんならエミも一緒に入る?」

  「わ、私は大丈夫!そ、そっか!そうだよね!兄妹なら普通だよね!」

  どうやらエミはあっさり引いてくれたようだった……良かった〜!

  「だからさ……私は嬉しかったんだよね……お父さんもお母さんも、そしてお兄ちゃんも、すんなりエミちゃんを受け入れてくれて」

  雫はゆっくりと肩から手先にかけて泡を付け体を洗っていった。

  ポタポタと流れ落ちる水滴は悲しみと感謝、そして懐かしさをまとった雫のようだった。

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