俺の幼馴染2人がメンヘラとヤンデレすぎる件
わざと……
 いつもと変わらない日々、玄関を開けるとそこには志保と美代が笑顔で俺を迎えてくれていた。
 「……おはよう」
 今日も今日とて1日が始まる、暑い日差しを受けながら2人の会話を聞くとワイシャツに汗がびっちりとついてしまっていた。
 2人とも俺の両隣で一応仲良く順番に会話してくるがいつ喧嘩するかわかったもんじゃ無い……。
 「ねえ、ねえ」
 「ん?」
 俺は美代に視線を移した。
 「雪くんってよく汗かくよね?よかったら美代が拭いてあげよっか?」
 「なっ!……」
 俺が返事をする前に志保が声を漏らすと軽く咳払いをした。
 俺は志保を見ると特に何事もなかったかのように歩いているので目線を美代に戻した。
 「これくらい大丈夫だから、そもそも俺は汗っかきなんだよ、もう慣れてる」
 「そっか〜……それでさ〜」
 ーーーー窓から涼しい風が入り込んでくるとこのジメジメした教室を少しだけ軽くしてくれる。
 二時間目の授業が始まるとまずは先生の自己紹介から始まった。
 志保と美代は前を向いて先生の自己紹介をしっかり聞いていたが俺は机に肘をかけて窓の外を眺めていた。
 どっかのクラスが一生懸命体育を受けているの見ると自然に目線が女子の方へ行ってしまった。
 ……これは俺がホモでは無い証拠だな、うん。
 正直、教師は沢山の生徒を覚えなくてはならないと思って俺は負担を減らしてあげようと考えているのだ。
 つまり!俺と言う生徒の名前を覚えなければそれなりに教師は楽になるはず!
 ……そんなわけないか。
 みんな青春に汗を流しているのか……俺なんて血か冷や汗か涙だぞ!
 コロコロ……。
 ん?志保がシャーペンを落としたのかな?拾ってやるか。
 俺は、右側によって手を伸ばすと志保の体温が俺にまで伝わった。
 そう手と手が触れ合ったのだ。
 「あ、……」
 え?
 志保は頬を赤らめながら俺の顔を見つめて来た。普段は強気なくせにその驚いた表情とかギャップ萌えで死にそうだからやめてほしい。
 俺はテンパりつつもなんとか言葉を探した。
 え、えっと……。
 「ご、ごめん」
 「い、いいのよ……ありがとう」
 俺はシャーペンを拾い上げ志保に渡すとまた窓の外を眺めた。
 手が触れちゃったよ……なんかラブコメ展開な気が……。
 コロコロ……。
 うん?またか。
 俺はシャーペンを拾い上げようとするとまた志保の手に当たってしまった。
 「ご、ごめんなさい……」
 だからなんで、そんな可愛い声出すんだよ!興奮しちゃっただろ!……てかこいつわざとだな。
 志保は何度も俺の方をチラチラと見てくる……やはり窓の外を眺めている最中にわざと落とす気だ。
 俺は窓を眺めているふりをして志保の落とす瞬間を見ていた。
 窓ガラス越しから。
 すると志保は俺の方をじっと見ながら机からゆっくりとシャーペンを落とそうとしていた。
 そこにすかさず俺は声をかけた。
 「……何してるの?」
 俺は志保の方に振り向くとあたあたとし始め咳払いをした。
 「これは……う、うん!……そう!自由落下について勉強をしていたのよ!ちょうど化学なのだし」
 「そうか……」
 志保よ……
 今は数学の授業中だぞ!
 これはもう弁解の余地もない訳だが……。
 ふと目線をずらすと膨れた顔で美代がこちらを見ていた。
 ……嫌な予感がする。
 「ど、どうかしたの?」
 「別に!雪くんが志保に取られるくらいならこんな世界……こんな世界なんてっ……!」
 危ない!こいつ授業中に叫ぶ気だ!気が狂ってるぞ!
 俺はすかさず美代の口元を手で抑えると呼吸が手のひらに当たり自分がまずい行いをしている事に気がついた。
 さらに美代の柔らかい唇を俺は手のひらに当てているわけで!えっと!えっと!
 「ご、ごめん!わざとじゃないんだ!」
 とりあえず俺はすぐさま手を離し謝った。
 「べ、別に美代は気にしてないよ」
だから、なんでそんなに顔が真っ赤なんだよ!俺も人の事言えないけどさ!
 「えっと……高橋くん、もう少し静かにしてもらえるかな?」
 怒られてしまった。
 「すみません……」
 こうして俺たちは二時間目の授業を迎えたわけだがこの後志保と美代が大暴走することはこの時の俺はまだ知らない……。
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