Re:legend
564:新たな戦場
「嘘…なんでこんなことに……」
パラスアテナがミカエラとともにピュレットに転移した直後、パラスアテナの視界にはあちこちで戦闘が行われている戦場が広がっていた。
パラスアテナが転移した城の上空には闇のヴァルキリーがピュレットの人々を見下すように君臨していた。
闇のヴァルキリーが上空から戦場となったピュレット王都を見下ろす。ピュレット王都では無数の死者が『死霊』の力で操られていた。
「戦わないと……」
パラスアテナは戦いに参戦すべく剣を握る。パラスアテナよりも先にピュレットに来ていたヴァルキリーたちも戦っている。自分だけ戦わないなんてことはできないとパラスアテナは剣を強く握った。
「パラスアテナ殿、ご無事でなにより」
パラスアテナが剣を握って動き出そうとした時、パラスアテナの背後からロンさんが声をかけた。
「現状を教えてください」
「現在、王都に残ったピュレット騎士団で戦闘中です。ピュレット王都に住んでいた住人は転移魔法の使い手が他の都市に避難させております。戦局はこちらが圧倒的に不利、リュウ様や他の方々とは連絡がつかない状況です」
パラスアテナの問いにロンさんはすぐさま答える。
「わかりました。私も戦闘に参加します。戦闘員ではないあなたはすぐに避難を…」
「ありがとうございます。ですが私にはやらねばならぬことがあります。城の中に取り残されているヒナ様を助けださねばリュウ様に合わせる顔がありませんので…」
「っつ…ヒナさんがまだ中に……わかりました。私が必ず助けますからロンさんはすぐに避難を…」
「いえ、そういうわけには…」
「落ち着いてください。ロンさんが城に向かっても何も出来ません。私が責任を持ってヒナさんを助けます。それに、ロンさんに死なれたりしたらピュレットとしてはかなりの痛手だということも忘れないでくださいね」
パラスアテナにそう言われロンさんは自分の非力さを憎みながらパラスアテナに頭を下げた。
「ヒナ様をよろしくお願いします」
「わかってます」
パラスアテナの返事を聞きロンさんは転移魔法で他の都市に避難した。ロンさんを見送った後パラスアテナは城へと足を踏み入れる。
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