Re:legend

りゅう

558:別れの光








ミカエラの剣は怒りを纏っていた。
それはパラスアテナを守ってあげられなかった自分への怒り……そしてパラスアテナを闇に堕とした『純血』エリザベータへの怒り……

パラスアテナの剣は悲しさに満たされていた。支配された体の中に眠るパラスアテナの精神がパラスアテナの剣から感じ取ることができた。

ミカエラとパラスアテナは何度も剣を交えた。何度も何度もお互いを傷つけあっている。それを見て嘲笑う者…『純血』は必ず討ち取るという決意をしてミカエラはパラスアテナに向けて自らの最高の力でぶつかろうと光の魔力を増幅させる。

「パラスアテナ…本当に強くなりましたね。以前ならあなた相手にこの力を使うことはないと思っていたのに…」

ミカエラが何と言おうとパラスアテナからの返事はない。ただ、ミカエラの思いを聞きパラスアテナの精神が揺らいだのかパラスアテナの目からは涙が溢れた。

「すぐにその苦しみから解放してあげます………女神の使徒」

ミカエラが女神の使徒を発動させた瞬間、ピュレットに向かったヴァルキリーたちから光の力がミカエラの元に届いた。
ミカエラが女神の使徒を発動させた瞬間、パラスアテナから僅かな…本当に僅かな量の光がミカエラに送り込まれた。

女神の使徒状態になったミカエラはパラスアテナを圧倒する。だが、パラスアテナも黙ってやられているわけではない。ところどころでカウンターを決めてミカエラにダメージを負わせている。

「光の護符」

ミカエラが魔法を発動させるとパラスアテナの動きが一時的に止まった。そしてその隙にミカエラはパラスアテナを討つべく光の力を剣に込める。

「パラスアテナ…これで終わりです。安らかに眠りなさい」

ミカエラは全力の光を込めた剣をパラスアテナに向ける。

「天使の閃光」

ミカエラが放った光はパラスアテナを完全に呑み込んだ。
眩しすぎるほどの光がパラスアテナを包み込み闇を溶かした。

「パラスアテナ……」

光が消滅した後、パラスアテナはミカエラの腕の中にいた。右側の羽は光に満たされており左側の羽は闇に満たされていた。

「ミカエラ様…」
「よかった。戻って来てくれて本当に良かった…」

ミカエラはパラスアテナを抱きしめて泣きながらそう呟いていた。










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