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りゅう

533:光の覚醒








「ははは、君なんかが僕に勝てると思ったの?たかが獣人ごときが僕に勝てると思った?無理に決まってんじゃん。ほら、今からそのでかい体にでっかい穴を開けてやるよ覚悟しな」

『虚無』の少女が獣化した状態のニコルちゃんを踏みつけ余裕の笑みを浮かべる。

「お前たち人間や獣人が魔神王様からいただいた『虚無』の力を持つ僕、クレティアに勝つなんて不可能なんだよ。身の程を思い知れ」

クレティアに踏みつけられていたニコルちゃんから力が抜けていきニコルちゃんの獣化が解ける。

「リュウさん…逃げて…」

自分の心配よりも僕のことを心配してくれる僕の大切な人、その大切な人を守るために『過去』の魔法を使ったのに僕の体は動かなかった。

「はー、うるさいなぁ、安心しなよ。君を殺した後あいつも殺してその後君たちの仲間を一人ずつじわじわと殺してあげるからさぁ」
「そんなこと…させな…」
「そんなぼろぼろの状態で何ができるの?まあいいや、安心していいよ。すぐに楽にしてあげるから。大丈夫。少しずつ痛ぶって最高の苦しみを与えて殺してあげる」

クレティアはそう言いながらニコルちゃんの首を掴み少しずつ絞めていく。ニコルちゃんは苦しそうに抵抗するがクレティアは全く動じない。

大切な人を守るために『過去』を使ったのにまたニコルちゃんを守ってあげられないのか……

そう思った時、僕の体を光が包んだ。

「な…なんで…『虚無』の範囲内で何故それだけの魔力が…」
「光の導き」

僕は魔法を発動してニコルちゃんをクレティアから取り返しそっと抱きしめる。まだ暖かい。間に合った。大切な人を守ることが出来た。

「光の加護」

僕は加護の力を発動し光のフィールドを展開、そのフィールドの中にそっとニコルちゃんを置く。光の加護で作り出されたフィールドは守りの盾の効果の他に中にいる者に治癒の魔法が永続的にかかる効果を持つ。

「なんで…なんでそんな力を…魔神王様から与えられた力だぞ!ありえない……」
「今の僕が『虚無』の力を上回っただけだ。シャイン!ここに顕現せよ」

僕がそう叫ぶと僕の目の前に魔法陣が生成され中からシャインが現れる。

「リュウ様、女神の…光の王の力の片鱗を発動出来たのですね…お懐かしい、光の覚醒状態の使い手を見るのは本当に久しぶりですよ」
「話は後だ。今ここで『虚無』を討つ。シャインはニコルちゃんを守れ」
「かしこまりました」

ニコルちゃんをシャインに任せて僕は『虚無』へ剣を向ける。












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