Re:legend

りゅう

532:自分の弱さ








やはり僕は無力だ……
魔法が使えない。ただそれだけの理由で自分が大切に思っていた人すら守れないのだから……

僕の目の前で静かに眠る少女…
僕がこの世界で最も愛した六人の一人…
僕のことを心配して僕のために僕とともに戦ってくれた仲間…
そんな大切な人を僕は守れなかった……

僕は目の前で横になっているニコルちゃんをそっと抱きしめる。徐々に冷たくなるニコルちゃんの体を温めようと僕は強く強く抱きしめる。

だが、ニコルちゃんの体は冷たくなる一方だった……

ニコルちゃんを守ってあげられなかったという事実を僕が認識するまで役数秒…

守り切れなかったものは仕方ない…と割り切ることはできない。だから…次は必ずニコルちゃんを守ると誓い僕は無意識のうちに『過去』の魔法を発動した。魔法が使えないはずの空間だった。それなのに僕は魔法を発動させることができた。これならもう負けない…ニコルちゃんは必ず守ってみせる。

『過去』の魔法は僕の思いに強く同調し、僕を戦いが始まり一度僕が『虚無』に敗れた時まで時を巻き戻してくれた。

まだ間に合う…
大切な人を失いたくない。
だから僕は必ず君を守ってみせる。
もう二度と君を死なせない。
だから…『過去』で待ってて…

消え去って行くこの時代のニコルちゃんに別れを告げ僕は『過去』に戻った。消え去って行く時代の最後の記憶は大切な人の冷たさと憎き相手の笑い声だった。

「リュウさん、大丈夫ですか?リュウさん!」

『過去』に戻った僕の体はニコルちゃんに支えられていた。ニコルちゃんはそっと僕の体を横に置いて僕を守るように僕の前に立つ。

「リュウさんはしばらく休んでいてください。あいつは…『虚無』は私が倒します」

バリアス内で『虚無』と戦った僕はあっさりと敗れた。『虚無』と戦う前に逃げるようにニコルちゃんに言ったのだがニコルちゃんは『虚無』に殺されそうになった僕を助けてくれた。

「ニコルちゃん…ダメだ……」
「ダメじゃないです。たぶんですけど魔法が使えない状態ならリュウさんより私の方が強いですよ。だから今、この魔法が使えないという状況下でだけ私にリュウさんを守らせてください」

ニコルちゃんはそう言いながら獣化し『虚無』に立ち向かって行く。











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