Re:legend

りゅう

528:水の精霊神











「あー、やっと来てくれた…待ってたんだよ。あなたのことを…」

私が目を覚ますと私は水の中にいた。不思議だ。水の中なのにしっかりと息ができて普通に動くことができる。メロウやポチャを呼んでいるわけでもないのに…

「あの子に手伝って貰えて本当に助かったよ。こうしてあなたと1対1で話す機会が作れて…まあ、話す機会を作り始めてから今まで結構な時間がかかっちゃったけどね…」

私は周囲を見回し声の主を探すが周りに人影は全くない。

「ごめんね。私の身体はここにはないの。ここにあるのは私の魂だけ…」
「あなたは何者なのでしょうか?」

恐る恐る私は声の主に尋ねる。

「私は水の精霊神ウェルディーネ、あなたのことをずっと見ていたわ。そして、あなたと契約したいと思った。精霊神としての使命を果たすならばあなたの旦那様と契約すべきなのだろうけど私はあなたと契約したい。水の精霊神ウェルディーネの力、受け取る覚悟はある?」
「精霊神の力…」

普段、私が愛する人が使っている力、それと同等の力が手に入る。これで私もあの人と同じ場所で戦える。
そう考えるとすごく嬉しかった。守られてばかりだった私にあの人と同じ場所で共に戦える力が手に入るかもしれないと考えると…

「で、どうする?私としては契約してくれると嬉しいんだけど。もちろん契約するための条件なんてないから安心して」
「水の精霊神ウェルディーネ様、どうか私と契約してください」

私は一切の迷いなく契約することを選択した。

「ウェルディーネ…いいや、ウェルでいいわよ。じゃあ、これが契約の証、これであなたは私をいつでも呼び出せるわ」

自分の指にいつのまにかはめられていた指輪を私はそっと撫でる。

「これからよろしくお願いします」
「うん。よろしくね」

こうして私は精霊神の力を得たのだった。

「どうやら上手くいったようだね。おめでとう」

私の目の前に突然小さな精霊が現れた。

「僕は時空の精霊神アナザー、そう警戒しなくていいよ」
「アナザーさんにはあなたをここに連れてきてもらったんですよ」
「うん。とりあえず上手くいったみたいで良かったよ。さて、これは契約完了の祝いだ。持っていくといい」

アナザーはそう言いながら私の前に小さな空間の穴を作り出す。そしてその穴からクリスタルのように輝く槍が落ちて来た。

「神器ヘリオルライト、必ず君達の役に立つだろう。さて、じゃあそろそろ時間だね。また、会える日が来ることを楽しみにしてるよ」

気づくと私は巨大都市エルミスに戻って来ていた。








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