Re:legend
504:自分の限界
「………あなたは…誰?」
修練場に入ったソラミちゃんの前には巨体の男が立っていた。口から伸びている長い牙、漂う魔物の雰囲気…
「ヴァンパイア?」
人間と吸血鬼:ヴァンパイアのハーフであるソラミちゃんに課せられた試練、それは吸血鬼の野生の力を身につけることだった。
ソラミちゃんの前に立つ吸血鬼は血を流し固め、血の剣を作り出す。
「確定…やっぱり…ヴァンパイア……」
敵の正体を知ったソラミちゃんは自分の指を噛み血を流す。そして2本の血の剣を作り出し両手で構える。
ソラミちゃんと吸血鬼、2人が対峙する。
「っっ…」
ソラミちゃんは決して気を抜いていたわけではなかった。むしろ集中しきっていたくらいだ。だが、吸血鬼は早かった。ソラミちゃんが捉えられないほどに…
「強い…」
ソラミちゃんはなんとか2本の血の剣で相手の血の剣を受け止めるがあっさりと力負けして2本の血の剣を破壊される。
「くっ…」
ソラミちゃんは先程自分が噛んだ指を吸血鬼に向けて傷口から大量の血の弾丸を発射する。
「嘘…でしょ……」
ソラミちゃんが発射した血の弾丸は全て吸血鬼の体が受け止めていた。勢いを失った血の弾丸はドロドロと液体に戻っていく。
「こんなのに勝てるわけ……」
ソラミちゃんは慌てて吸血鬼から距離を取る。吸血鬼とソラミちゃんの実力差は言うまでもない、吸血鬼とソラミちゃんとの実力差は吸血鬼と対峙しているソラミちゃん自身が1番わかっていた。そしてソラミちゃんは勝てるわけがないと判断した。
今はまだ勝てない…と……
ソラミちゃんは破壊された血の剣を捨ててあっさりと吸血鬼に斬られた。
「もっと…強くなれる……それがわかってよかった……」
何度も繰り返された魔神王たちとの戦い、その戦いの中で次々と成長していく周りのみんなと比べてソラミちゃんは僕と出会った時とさほど変わってはいない。いや、ソラミちゃんが自分の限界を勝手に決めつけて変わろうとしなかったのだろう。
今日、自分に流れる血の半分と戦ったことによりソラミちゃんはまだまだ先に進めることを知った。
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