Re:legend
338:『色欲』と『憤怒』
「我が望むは破壊の鎖…『憤怒』よ、我が敵を破壊せよ」
私が詠唱を終えると私の周りに破壊の鎖が数本出現する。
「へえ、魔導書なしで『憤怒』の力を操れるのね…すごいわ…」
アミちゃんが放つ破壊の鎖を躱しながら『色欲』の魔族が言う。
「サンドロック」
アミちゃんが砂の古代魔法を発動させると『色欲』の魔族の足が砂で固められる。その場から動けなくなった『色欲』の魔族にアミちゃんの破壊の鎖が突き刺さる。
「やっ…た…?」
「今のはかなりいい一撃だったけど残念ね。あなたが相手をしていたのは分身だったの…」
アミちゃんが後ろを振り向くと『色欲』の魔族が立っていた。
「サンドロック」
アミちゃんが再び砂の古代魔法を使い『色欲』の魔族の動きを封じる。
「残念だけど私も分身よ。本体は今、魔神王様のもとにいるから…私を倒しても無駄。それに分身の私じゃあなたを倒せないってわかったから今日のところは帰ることにするわ…」
「そうですか…じゃあ、さようなら」
本来なら分身でも倒したいのだが今はサラさんとリュウさんのことを優先するべきだと判断した私は『色欲』の魔族の分身を見逃すことにした。
「ええ、また会いましょう」
そう言い残して分身は消えていった。
「急がないと…」
私は慌てて2人の元へと走り出す。膨れ上がる2人の魔力を感じながら……2人の戦いを止めるために…
「へえ、すごい魔力だね。そっちの精霊のおかげかな?」
「ああ、精霊神モードだ。お前を倒すために使いこなそうとすごい努力をした…」
「そっか…無駄な努力だったね…」
現在、精霊神モードの力を30%使っている僕の魔力と砂の魔女サラの魔力は同じくらいだ。
砂の魔女サラの余裕そうな表情を見る限りまだ魔力を上げることができるのだろう。砂の魔女サラが全力を出す前に倒さなければ…と僕は考え、テレポートを発動させ、砂の魔女サラに魔力を上昇させる余裕すら与えないように攻め始める。
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