Re:legend

りゅう

268:『憤怒』と風









風の魔女ウィルモアと向かい合うアミちゃんの鎖が少しずつ強化されていく。

兄を殺した者への怒りで『憤怒』が急激に成長しているのだった。

『いいぞ、もっと怒れ、そして我に更なる力を…』

アミちゃんは自身の意識の中で謎の声を聞く。聞き覚えがある。この力を手に入れたとき、兄を殺されたすぐ後に同じような声を聞いた。

「あなたが『憤怒』ね、悪いけどもう2度と貴方に暴走させない」

『ふっ、そうか、せいぜい頑張るんだな…』

声が途切れた。アミちゃんの『憤怒』の力はまだ成長を続けている。

「ちょっとまずいかも、アミちゃんの力が急激に成長している…」

ソフィラさんの隣にいる白が呟く。

「大丈夫ですよ。あの子なら『憤怒』の力も制御できるでしょう」

ソフィラさんはアミちゃんを信じて見守ることにした。白もソフィラさんと同じくただ見守ることしか出来なかった。

「貴様の力が急激に成長しているようだが大丈夫か?またあのときみたく暴走を始めないように気をつけるんだな」

風の魔女ウィルモアがアミちゃんに言う。

「忠告ありがとう、これくらいなら大丈夫ですよ。もう2度と暴走はしないと誓いましたから」

アミちゃんが風の魔女ウィルモアに言い放つ。

「ふっ、まあ貴様が暴走しようがしまいがどうでもいいがな…とりあえずこの前の屈辱を晴らすとしよう」

この前の屈辱、それは恐らく暴走したアミちゃんにやられて撤退させられたことだろう。風の魔女ウィルモアは手に魔力を集中させる。

「風の収縮」

風の魔女ウィルモアが手のひらに小さな竜巻を作り出す。その竜巻をバランスボールくらいの球体の形にする。それを10個くらい作り出し自身のすぐ側に浮かべる。

「これが貴様に当たれば一瞬であの世行きだ、せいぜい気をつけるんだな」

そう言いながら風の魔女ウィルモアがアミちゃん目掛けて3つほど球体を放つ。

「草壁」

アミちゃんが草の古代魔法を使うと地面から無数の草のような物が伸びてきて壁を作り上げる。球体が草の壁に当たり消滅する。草の壁も球体の衝撃に耐えきれず破壊された。

「ほう、草の古代魔法か、どこかの腑抜け魔女の影響かな?」

「私が唯一尊敬する。草の魔女ソフィラさん直伝の古代魔法です。いくらあなたでもそう簡単には壊せませんよ」

「面白い」

風の魔女ウィルモアが残りの球体を全て放つ。

「植物の根」

アミちゃんが草の古代魔法を発動させると地面から無数の根っこのような物が飛び出してきた。それらの根っこが風の魔女ウィルモアが放った球体を包み込み消滅させた。

「風の魔女ウィルモアの力ってこんなもんですか?」

アミちゃんが風の魔女ウィルモアに言う。

「あの程度の攻撃を止めたくらいで図にのるな小娘」

「小娘って言うな、おばさん」

「おばさん…だと…貴様、ぶち殺す」

風の魔女ウィルモアがアミちゃんの挑発に乗りブチ切れる。

「さて、じゃあ私もそろそろ攻撃させてもらいますよ」

アミちゃんが風の魔女ウィルモアに言う。

「できるものならやってみろ、まあ無理だと思うがな…」

「じゃあ、遠慮なく」

アミちゃんがその場で拳を上に突き上げる。すると風の魔女ウィルモアの下の地面から無数の根っこが飛び出し拳のような形になり風の魔女ウィルモアを殴りつけた。

「ぐっ…」

「我が望むは封印の鎖…『憤怒』よ、敵を封印せよ」

宙を浮き風の魔女ウィルモアが自由に動けない隙にアミちゃんが風の魔女ウィルモアを封印しようと封印の鎖を風の魔女ウィルモア目掛けて放つ。

「風の逆鱗」

風の魔女ウィルモアが地面目掛けて古代魔法を放つ。すると風の魔女ウィルモアが更に宙に移動し、アミちゃんの封印の鎖を回避する。

「なかなかやるようだな。我も本気でやるとしよう」

風の魔女ウィルモアが呟く。

「じゃあ私も本気でいきます」

風の魔女ウィルモアのつぶやきを聞き、アミちゃんが言う。

「面白い、本気の貴様を血祭りにあげて我が世界征服への最初の一歩としよう」

「世界征服…それがあなたの目的ですか…絶対にそんなことさせません」

アミちゃんが魔力を集中させる。その間、風の魔女ウィルモアも魔力を集中させていた。









「Re:legend」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く