Re:legend
255:決着
「なるほど、あの剣どこかで見たと思ったらかの名刀『透花』ですか」
「『透花』?」
近くにいたイズナさんが放った聞きなれない単語に僕が反応する。
「『透花』とはかつて有名だった鍛治職人が作った最高傑作と呼ばれる剣の1つです。現在行方不明になっていたと言われていたのですがまさかあの子が持っていたとは…」
「さっきのは『透花』に何か関係があるのか?」
僕は確かに『透花』に当たっていたであろうソラミちゃんの初撃を頭に思い浮かべながらイズナさんに尋ねる。
「はい。あの剣には特別な魔法が組み込まれています。持ち手が意図したタイミングで透過…つまりその場に存在しないことにできます。だからソラミちゃんの攻撃に当たる直前に存在を消し、ソラミちゃんの攻撃が空ぶった瞬間に存在を表してソラミちゃんに攻撃を仕掛けました。この魔法の厄介なところは存在しない状態でも視覚では捉えられるのです」
なるほど、つまり目には見えているがその場にあるかどうかわからないということか…たしかに厄介かもな…
「それにしてもよく知ってたな…」
僕がイズナさんの方を見て言う。
「えぇ、『透花』は私が狙っていた剣ですから…」
イズナさんがそう呟くがそれは周囲の歓声により掻き消された。
女の子から距離をとったソラミちゃんは試しにと血の剣の先端なら血の弾丸を数発放つ。それを女の子は剣で弾いた。
「ちゃんと…存在は…している…みたい….」
攻撃をしながらソラミちゃんは少しずつ剣の謎を解いていく。
「お姉さんかなり強いね、だけど私の方が少しだけ強いかも」
女の子はそう言い一瞬でソラミちゃんとの距離を詰める。剣もかなりいい物のようだが女の子自身もかなり強い。剣のネタがわからないソラミちゃんにはかなり不利な戦いだ。おそらく剣のネタさえわかっていればソラミちゃんが勝っただろう。だが今回は…
女の子の神出鬼没の攻撃にソラミちゃんは防戦一方だった。たしかにそこにあるはずの剣を捉えきれないソラミちゃんがじわじわと押されていく。
「くっ…」
ソラミちゃんが後ろに思い切り飛びながら血の弾丸で女の子を牽制する。女の子はそれを剣で全て切り裂き宙にいるソラミちゃんに迫る。
ソラミちゃんが血の剣で迎え撃とうとしたがそこに存在した剣に阻まれる。
「剣での…攻撃を…全て…すり抜けるとかじゃない…んですね…」
ソラミちゃんがそう呟き負けを認める。
「まさかソラミさんが負けるなんて…」
ソラミちゃんに鍛えられていたユリちゃんがかなり驚いていた。まあ、剣のネタがわからなかったのだから仕方ないだろう。剣のネタがわかった状態でやればおそらくソラミちゃんが勝っていただろうな。
「はあはあ…お姉さんかなり強かったなぁ…」
女の子がかなり息を荒げながら言う。
「さあ、次の相手は誰かな?」
「リュウさん、彼女の体力を回復させてあげてください」
イズナさんが僕達の前に出ながら言う。僕は黙って従い女の子の体力を回復させた。
「お兄さん、ありがとね、次の相手はお姉さんでいいのかな?」
体力を回復した女の子が僕に礼を言いイズナさんの方を向く。
「えぇ、『透花』の力、見せてもらいます」
「あちゃーネタがわれてるのか、まあ、いいや勝つのは私だし…」
女の子が剣を抜く、イズナさんも腰につけていた刀を抜き構える。
イズナさんと女の子2人の剣士が向かい合い対峙する。
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