時代を越えてあの人に。~軍師は後に七人のチート家臣を仲間にします~

芒菫

陣をジーっと見つめる女の子。なにがしたのかな??

「……あ、あれが織田軍?」

 高台でそれを見物していた一人の少女は言った。

「……は、はい。彼方が織田軍にございますが…」

「……楽しそうに戦ってるわね。ふふ、私がこうやって策を練っているのが、まるで馬鹿らしく思えるくらいに」

 緑のロングカーディガンに緑の髪。その下には白い着物を着こなす。まるで、天使の様。

「さて、と……」

 溜め息を誤魔化す様に彼女は言うと、鋭い目で戦場を見据える。
 用いるは十面埋伏陣じゅうめんまいふくじん。これは奇襲作戦であり、敵を伏兵で囲み、最終的に全方位を包囲して敵を総崩れ、壊滅にさせる。これは、過去に三国志で用いられた戦術。それを十分に生かし、一人の女の子は最善を尽くして勝利しようとしていた。

「重治様、準備が整いました。伏兵の指揮を……」

 一人の兵士が重治に伝達をした。
 そう、戦場いくさばを自分の生きる様だとそう考えている一人の女子おなご
 彼女の名前は竹中重治たけなかしげはる。又の名を半兵衛。天下最強の軍師と言われた一人であり、両兵衛と言われた二人の軍師のうち、一人である。

「…分かった。行こう」

 重治は歩き出した。





「やられたあああああああ!!」

 藤吉郎が一回転しながら、瞳に涙を泳がせて言った。辺りには爆音が響く。何かが爆発した様だった。

「んなわけあるか!! 猿、弱音を吐く暇があるなら、私と共に信長様をお守りすることを……」

「そんなことよりも柴田殿!! 後ろ!!」

 藤吉郎に集中していた勝家は、背後に気を回す余裕が無く、後ろに敵兵が来ている事に気付いていなかった。勝家は即座に持っている槍を回転させて後ろへ持っていく。

「……!」

 馬に乗っていた敵兵を串刺しするように槍を突きにいく。それを読んだように、馬に乗っている敵兵は刀を鞘から抜き出して槍を受け止める。

「……今の突きは見事」

 槍を受け止めながら敵兵は勝家を見つめて口を開いた。

「……何が言いたい?」

 少々気に障った勝家が、敵兵に問いかける。

「私も一歩遅ければ致命傷くらいの傷を負っていただろう。しかし、それよりも私が一手早ければ……貴方は私の獲物になっていた」

 口は微笑んでいても、顔は笑っていない。むしろ、目は鋭く冷淡。彼女からは他の敵兵とは全く違う雰囲気を醸し出していた。そう藤吉郎は思った。

「……ふん、戯言を。じゃあ、これならどうだ!」

 勝家は槍を引いてまた回し、槍で突いてまた引く。攻防戦を繰り返す様に敵兵と勝家は控えめに刀と槍で張り合った。
 しかし、勝家は突然それを止めて……

「……駄目だな、無理だ。無駄な戦いは無用。猿、行くぞ!」

「え!? そんなにあっさり止めちゃうんですか!?」

 そろそろ本気の勝負に入るのではないか、と思った藤吉郎が不意を突かれたような声で言った。勝家は頷いて一歩、一歩と後ろに下がっていく。

「あんた、名前は?」

 勝家は言った。

「……そちらから」

 しかし、敵兵はカウンターの如く聞き返す。

「む……柴田勝家!」

「……重治」

 互いに名前を言い合うと、少し二人は黙り込んだ。

「…さてと、柴田殿が逃げる前に私も逃げなければ」

 藤吉郎は小声でそういうと、その場からそ~っとゆっくり歩きだした。
 現在、最後尾は柴田勝家の軍。つまり、勝家が殿を担当している。この霧が濃いこの場所で、帰り道が把握できていないのが困難だが、なんとか川に辿り着くまで織田軍は必死に逃げようとしていた。

「……全軍!!」

 藤吉郎が少し先に進んだ時の事。後ろから大声が聞こえた。

「進め!!!」

退けええええ!!!」

 どちらも、藤吉郎の方に勢いよく走って来る。一体何事だ!?と思い、一瞬戸惑ったが、藤吉郎も必死で一歩を踏み出して、駆ける。

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