時代を越えてあの人に。~軍師は後に七人のチート家臣を仲間にします~

芒菫

一益と勝家。

▼ 尾張国 犬山城本丸

「何をー!種子島こそが今後の日ノ本で重宝される最強の平気なんだにー!」

「まさか。槍こそが天下を掴む! 一益殿よ、人は新しい物に興味を持ちすぎる! 日ノ本の武術で伝統的な槍術こそが、これからの日ノ本の支えとなり、力となる!」

 と、双方引けを取らない言い合いが続く。いつの間にか、一益と勝家を取り囲むように兵士達が集まってきており、賛否両論の意見が大量に飛び交っていた。

「……あれは何をしているの?」

 御殿の方からそのいざこざの高みの見物をしていた藤吉郎に、気になった長秀は問い掛ける。

「あ、丹羽様! 実はですね……」

 藤吉郎は何があったか一から話してくれた。

「…だにだに、ちゃんと軍備は出来ているだにね~!」

 気晴らしに犬山城の散歩している一益は言った。

「…お、一益殿。どうだ、種子島の扱いを覚えた兵士達が模擬戦をやりたいだのと騒いでおるのだが」

 偶然にも一益と鉢合わせした勝家は、兵士達に聞いた話をそのまま一益の耳に入れる。

「模擬戦だに…?それはまた難しいお願いをする兵士もいたもんだにね」

 腕を組み、機嫌悪そうな声で一益は言うと、兵士達のお願いを却下する。
 種子島で模擬戦をすると言うのはそれ専用の弾を使うこととなり、最悪の場合死人も出てしまうような戦いであるので、長い間封じ込んできた。信長様にも許可を貰って、安全面の確認をして………初めて出来ること。

「……そうか。では仕方がない。竹で槍の模擬戦でも……」

 一益に言われた通り、無理であるならば他の模擬戦の練習をさせようと考えを巡らせ始める勝家。しかし、更にそれに毒舌な一益が余計な事を言い出した。

「槍だにぃ?どうせ戦で活躍しなくなる道具だに。そんなことをさせるなら種子島の使い方の練習とかさせれば良いんだに」

「なッ……! それは流石に言い過ぎだぞ、一益殿!一番槍は槍大将にとって、掛け替えのない勲章なのだぞ!! それを愚弄するとは……!! 見損なったぞ!!」

 勝家は、一益の言葉に腹を立てて言い返す。
 一益にも喧嘩スイッチが入ったようで、彼女の野生本能が唸りだした。

「……それで、長い間言い合いをしていた結果がこの状況なのですよ」

 藤吉郎の話を聞いた長秀は、大きな溜め息を吐く。
 きっと、そんなくだらないことで口喧嘩をするなど、子供過ぎると言いたいのだろう。
 これから戦だと言うのに、この者達は緊張感が無いのか。

「……はぁ。なんて言うか、難しいけど……いつも通りね、本当に」

 首を振りながら頭を押さえる長秀は呆れていた。

「まぁ、良いではないか。やらせておけ。緊張に縛られる戦では、兵士達の指揮が下がってしまうからな」

 本丸から、いつもの着物姿とは違い、鎧を着ている信長が面白がって言いながら現れる。

「一益、勝家! 話は重々承知したから、それ以上口を開くな! 同じことを何度も何度も強調しても、諄いだけだ! 種子島の模擬戦は許可するし、勝家も武術の稽古を怠るなよ」

「…とは言っても、一番いつも通りなのは信長様の様な気もしますけどね~」

 信長の言葉を聞いた藤吉郎が、クスクスと笑い顔を浮かべた。
 確かにそうかもしれないわね、と長秀も微笑して言った。

「……そんなことを言ってはいられんぞ。長島方面に向かった可成達を牽制するように、本願寺が一揆を起こそうと企てているようだ。また、斉藤方の大垣城でも、出陣の動きが見られたとの報告が入った」

 信盛も、本丸から顔を出すと現在の状況報告を長秀と藤吉郎にした。
 お世辞にも、あまり良い状況とは言えない。

「……えっと、今回の織田家の兵力どのくらいでしたか?」

「長島方面で二〇〇〇、此方の本体で七〇〇〇くらいとなっているわ。特に、ここから信盛の築城組として五〇〇は削られるから実際には六五〇〇と言った方が現実的だと思うわよ」

 ふむふむ、と藤吉郎は頷いた。

「さて、戦支度は出来ているのか?勝家」

 信長は、先程まで口喧嘩をしていた勝家に訊く。

「はい、既に槍も弓も!完璧に揃ったとの報告がありました!」

「勿論、種子島に関しても同じだに。五〇〇丁、全部あるだによ」

 続けて一益も軍備についての報告を信長にする。

「…阿呆! 喧嘩などする前にその報告を早くせぬか! この戦いは一刻の猶予を問う戦いなのだぞ!!」

 信長の怒鳴り声に、勝家と一益は頭を下げて詫びた。
 だが、一益はすぐに頭を上げる。すると、目を輝かせて次のように述べた。

「それでは、これよりわっちが一五〇〇の兵をお借りして、西美濃に侵攻し、良き手柄を持って参りますに!それに気を取られて西美濃の斉藤家共はわっちに牙を向けるでしょうから、その隙に信長様たちは墨俣の方に!これで斉藤家の戦力はもっともーっと分裂するはずですからに!」

 確かにそれならば、墨俣の築城も案外楽に出来るのではないか?
 内心信長はそう思っていた。

「長秀~! それで良いだろう~?」

 だが、流石に一人では決められないと思った信長が、この作戦の参謀的存在である丹羽長秀に賛否を取った。

「……とすると、本体は五〇〇〇になるわね。少々不安はあるけれど……それでも一益が一五〇〇しだけで行けると言うのならば……別に私は構わないわよ」

 少し考え込んでいた長秀が、最終的な結論を導き出した。
 結果的には、微妙な選択だったのかもしれない。

「よし、そうと決まれば一益。わしが望んでいる物を持ち帰って来い!先程の面白さを超える物を……な!」

「分かりましたに!!」

 一益は立ち膝で一礼すると、風のような速さで早速出陣の準備をし始めた。
 それと同時に、一益の家臣団も慌てふためいてすぐに出陣の用意をする。

「うむうむ。わしらもそろそろ出立しゅったつせねばな!」

 その様子を見ていた信長が、胸を張るように言った。

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