時代を越えてあの人に。~軍師は後に七人のチート家臣を仲間にします~

芒菫

逃れられない運命。

「・・・あ、このようなタイミングで申し訳ございませぬが」

隣に座っている勝三郎が手を挙げて流暢に話し出した。

「先程、自己紹介が出来ず仕舞いでした。信長の義妹であり、信勝の義姉である池田恒興にございます」

そう言えば忘れていた、と言う顔で信勝が後ろを向く。俺も忘れていた。てっきり、さっきしたものだと思っていた。勝三郎、ごめんなさい。勝三郎の方を向いて、手を合わせ会釈をして謝る。

「これから長い付き合いになることだろう。こちらこそ、よろしく頼むよ!」

晴信はそう言うと、顔をほころばせて笑った。

「と、言うことは・・・同盟は承認するってことかな?」

晴信の言葉に、信勝は反応して聞く。確かに、晴信の言葉をそのまま返せば同盟承認と言うことになる。と言うことは、ついに織田と武田の同盟が成立するということか・・・!?

「勿論さ。こんなに大事な同盟のお願いを断らないでどうする?これからは、盟友として。よろしく頼むよ!」

強い口調でそう話すと、腰掛けから離れて姿勢を正し、深く一礼する。信勝も、それに同じて一礼して返す。
この場にて、織田と武田の同盟は成立し、共に歩むことが決められた。史実では一度も対面することも無く終ってしまった織田信長と武田信玄の戦だが、もしかすると・・・いつか一緒に戦をする日が来るのかもしれない。
―これできっと、信長も喜んで美濃攻めに専念できるな。よし、早速帰って信長に報告しないと!俺は心の中でガッツポーズを起こしていた。

「・・・勘助殿」

端の方でこそこそしていた小姓が、聞こえとる事も難しい声で勘助の名前を呼んだ。聞き取った勘助が、何事かと言うように耳を傾ける。

「・・・」

話を聞き終えたのか、小姓の話から耳を放すと少し腕を組んで考え事をしているように思えた。

「あっ、あの!」

すると、少しガタガタ震えていた昌信が突然声を上げて言った。
勘助の方に集中していた俺は、ちょっと驚いたけど、何か話があるようで、落ち着いて聞いてみる。

「もしこの後お暇でしたら、城下町を案内させて頂いても・・・よろしいでしょうかっ!?」

照れながら話す昌信。

「・・・一つ聞いても良いかな?」

信勝が、先手だての様にはっきり言った。

「この地域に、甘い物って何かある~?もしあるなら、信長様のお土産にしたいんだよね~。お姉様、意外と甘党な一面があるんだ~」

え!?そうなの!?それは初耳だった!
まさか、信長が甘党だったなんて!なんだ、女の子らしい一面が探せば色々あるじゃないか。

「あっはい!特に葡萄ぶどうなんて、ここら辺では名産なんですよ!」

へぇ、それも初耳でした。
とは言え、なんだろうこの女子会ペース。もう行く気満々じゃないですか。と言うか、昌信ちゃんもそういう感じの・・・うん、乙女系な子なのかもね。

「・・・しかし、同盟の朱印状が」

内藤昌豊は、この期に及んで真面目なペースを発動しており、やはり武田の中で一番冷静な人なのかもしれないと感じた。

「んじゃ、俺が居るか。勝三郎、怖いから信勝に付いて行ってくれ」

男と言うものは、何時でもレディーに先を譲るものである、それを親父に教わった。俺の親父道は色々と勉強になる面があった。例えばさっき言った、レディーファーストもその一つだし、こういった場での態度でもだ。堂々として、ビシッと決める。

「で、ですが・・・」

「良いってことよ。折角頑張ってここまで来たんだから、そろそろ気分転換でもして来いよ」

とは言っても、信勝が居れば勝三郎の気分も上々の状態なんだろうけど。

「・・・分かりました。かたじけなく存じます」

俺の方に体を向けると、一礼して顔を上げる。信勝達は決まったかのように、部屋を後にすると大広間には静けさが帰ってきた。

「・・・いや、誠に申し訳ない。うちの使者があんなんで」

少し時間が経ち、もう信勝達が居なくなったであろうと思ったので、一度謝罪をして深く頭を下げた。

「気にする必要はないさ。昌信だって・・・」

「いえ、昌信様は分かっていらっしゃった」

さっきまで考え込んでいた勘助が突然晴信の会話へ乱入していく。分かっていた・・・?どういうことだ?

「・・・勘助、分かっていたとはどういうことだ?」

話の途中で釘を打たれた晴信が、勘助に苦笑いしながら聞き返した。

「どうやら、彼女は私が今話したいことを察してくれたようですな。きっと、それに反応の大きいと見込んだ信勝様をこの部屋から出そうと昌信様がやってくれたようです。勿論、勝三郎様の件についても、もしかしたら策のうちだったのかもしれません。相良殿が、信勝様に勝三郎様を同行してくれと言うことを知っていて。いずれにしても、あの場でそんなことを言う大馬鹿者はおりませんまい。逃げ弾正と言われるだけありますな、昌信様も」

あれ、織田家にも居なかったっけ。突然人のことを評価し始める人。しかし、これが策だったのだとしたら、昌信は相当な読みが得意な策士と言うことになる。それに、勘助がこれから何か話したいことがあると言っていた。それも気になる。

「で、勘助殿が今話したいと言うことは?」

拳を握ったり、緩めたりを繰り返している昌景が、俺の問いたいことを言ってくれた。

「がーっはっはっは。どうやら、本命が来たようですぞ。御屋形様」

さっきから話の掴めていない俺。本命とは一体どういうことなんだろうか。どういうことなんだろうかが使い過ぎな気がするのも気のせいだろうかと感じている俺です。

一笑した勘助が、次の瞬間に俺の運命を動かした。

「景虎が、動き出しましたぞ」

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