時代を越えてあの人に。~軍師は後に七人のチート家臣を仲間にします~

芒菫

大事な書状。

「それほどにしなさい、忠勝。相良様も困っているわ」

あはは...と、俺は苦笑いすると忠勝の突然変異に驚きを隠せないままでいた。

「申し訳ありませんわ。相良様。私も、忠勝も貴方に一度お会いしてみたかったんです。どれ程素敵な方なのだろうか...と。今日、初めてお会いして、それを実感いたしました。特に緊張感も無く、ただ話に耳を傾け、織田の行く末を考えているお姿....素晴らしいです」

そんなに語られても困るんだけど!!てか、ただ話に耳を傾けてるだけって、色々と問題でしょ!?駄目でしょ!?緊張感持たなきゃ!?・・・・あ、俺だった!
・・・ただし、彼女の言っていることは強ち間違っていない。本当に、ただ耳を傾けているだけだった。今日、信長にその話を告げられた後から。

「相良、ちょっと良いか?」

廊下から歩いてきたのは佐久間信盛だった。俺の名前を呼ぶと、手招きして一層強調して来るよう呼ぶ。

「色々と話したかったけど、ごめんな。また今度になっちまう」

床に置いていた刀を腰に掛けながら、忠勝と忠次に言う。
忠勝と忠次は、首を振った。大丈夫だと言いたいのであろう。場を弁えて貰えるのは嬉しい。

「んじゃ、藤吉郎。後は任せた」

親指を立てて藤吉郎に向けると、彼女はこちらを向いて。

「はい~任されました~。大役、頑張ってくださいね!」

と言って、手を振ってくれる。一度頷き、信盛の方へと歩き出す。何処かで隠れていた緊張感が、何故か此処で吹き上げてくる。一瞬足がすくんだが、それでも進まなければいけない。同盟の為に。
俺と佐久間は歩き出すと、信長が居ると思われる大広間へ向かっていく。

「しかし、今度ばかりはヘマをするでないぞ。なんて言ったって、相手はあの虎であるからな」

「いや~佐久間殿。俺でも場の弁えってのは知ってるから大丈夫ですよ。おきになさらず」

俺がそう言った途端、信盛はクスクスと笑いだした。変なこと言ったかな?と俺が首を傾げて聞いてみる。

「ふふ、お前が敬語とは珍しい。流石に緊張しているようだな」

がっ。何故バレたんだ・・・で、でも別に緊張での敬語ではない・・・ぞ!うん。ただ単に、その言葉が思い浮かんだだけで・・・。と、あーだこーだ説明していく。

「ははは、なら言い変える。いつも通りでいけ相良。きっと信勝様なら乗り越えられる。あの方にはぶち当たる様な壁は無い」

さらっと酷いこと言わなかった?まぁ、確かにそうかもしれないけど。ほんわか神はなんでもポカポカほんわか~なオーラで、壁すら建たない、建てられない。第一に、フラグというものが存在しないからだ。そんなほんわか神が、正式な同盟の使者の筆頭に立てられるんだから、凄い。

「まぁ、信勝は信勝だから・・・」

俺はそう言うと、天井を向いて信盛と共に歩いていく。次第に、大広間へ近づいていき、いつの間にか襖の目の前に到着していた。

「相良裕太、入ります」

信長の小姓が、俺の合図を聞くと、適度な速さで襖を開く。その適度な速さが緊張感を漂わせた。

「よし、来たか裕太」

中に入ると、信長が奥に。手前に恒興と信勝の姿があった。

「あれ...でも信長って松平の...」

信勝の隣へ腰を掛けると、元康といるはずの信長がなぜここにいるのか尋ねる。

「左様。これより鷹狩りへ参るのじゃ」

あ~今からってことか。だからこんなに緊迫した雰囲気で、いつもと違う格好をしている信長の訳と。

「さて、たーくんも来たところだし、御姉様。本題に~」

いつも通りのほんわかパワーで場をなごませていく信勝。強い、本当に。
信盛も、大広間に入ると、部屋の片隅に移動して座った。

「前にも言った」

俺は少なくとも今日初めて聞いた。前っていつだか分からんだろ。明確にしろ。そう心のなかで思った。

「前っていつ?さっぱり分からないよ~」

「ちょ、信勝様!?流石に義姉上の前で・・・」

「くかか、気にするな勝三郎」

信勝が強すぎる・・・なんでそんなに強いんですかぁ!?
信長を笑わせて、気にするなと案じられるところ、流石ほんわか神であり信長の妹!!

「先程申した通りじゃ。同盟の使者としてお主らには、大事な書状を渡しに向かってもらわねば行けぬところがある」

話を切り戻すと、信長が同盟の件の話を始める。

「それは、甲斐じゃ」

「武田か・・・」

信盛がその言葉を聞くと、腕を組んで「武田か・・・」と言った。武田と言えば武田信玄だろうけど、よくわからないな。風林火山の人だっけ?動かざること山の如し?ぜんっぜん分からん。

「うむ、武田じゃ。そういうことじゃから裕太よ、智慶と恵美は置いていけ」

「はぁ!?なんでだよ!?アイツら居ないと俺絶対に死ぬ運命じゃん。絶対死ぬじゃん。いや死ななきゃ可笑しいじゃん」

「口を慎め相良」と言う言葉から始まり、次々に罵声が飛んできた。悲しいです。

「智慶と恵美には大事な仕事をやらせる。護衛なら問題無かろう。勝三郎が居るのじゃからな」

「はい、お任せを!裕太殿、よろしく頼みます!」

彼女はそう言うと、俺に頭を下げてきてお願いしてくれた。勿論、それに答えない訳にもいかず、俺も頭を下げて「こちらこそ、道中よろしく」と言って顔をあげた。
一体大丈夫なのか・・・・?

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