時代を越えてあの人に。~軍師は後に七人のチート家臣を仲間にします~

芒菫

大名行列。

「んでころく、用事ってのはそれだけ?」

毎度同じように、聞きたいことを聞いていく俺流スタイルが始まった。

「まぁそれだけだな。後は藤吉郎に用があってな。もう済んだから、後は帰るだけだが」

朝餉まで食って帰るのか・・・食わせ物かよ。
と、俺流スタイルが始まっていくと思った瞬間だったー

「お、おい!相良は居るか!」

と、突然庭に現れたのはくのいちなんだか良く分からないけど忍者っぽい浅野長吉。
サッと現れたけど、一体どんな術を使っているのだろうか・・・。とても興味深い。
俺は返事をすると、庭にまで赴いた。

「おぉ良かった。とりあえずついて来るのだ!」

「おいおい、ついて来いってどうやって・・・」

俺がそう言った直後、彼女は家の中へ上がると、玄関にまで赴き、勝手に戸を開ける。智慶、恵美、泰能もそれに気付くと「えっ?」と言うように後を追いかけていく。カルガモの親子かァ!?

ー清洲城下 大通り

「ほら、見てみるのだ!」

浅野長吉は、俺達を何故か大通りに連れてくると・・・

「おぉ!行列じゃん」

俺は目の前に広がる行列を見ながら驚いて話した。
決して長いとは言えないが、これが江戸時代に行われていた大名行列だと連想して間違いは無いのだろう。
行列を興味津々に見つめる城下町の人々も居た。
約1000程の兵士達が、槍を持ち、弓車を引き、鉄砲を担ぎ、馬に乗り・・・。
まさに見物だった。大名行列と言うのは、またその家の経済力と軍事力を示す行いでもある。
大名行列で知られる江戸時代で、こういった事は毎年のように行われていた。
そして、松平元康。彼は後の徳川家康で、後に関ケ原の戦いで勝利し江戸幕府を開く。
この孫である江戸幕府三代将軍の徳川家光によって、参勤交代の制度が置かれた。
この参勤交代のような行列、こうだったんだろうなぁ・・・。

「しかし、よく見ると鉄砲の量が少ないね~」

ひょっこりと間から顔を出す恵美。
顔を出すと、松平の兵士の持ち物を見てそう呟いた。

「確かに・・・よく見てみると、織田家よりも槍の長さが短いですね」

続いて智慶も、俺の肩の上辺りから顔を出して槍を見つめる。

「おま、お前ら狭いっての・・・」

俺がそう言った途端、今度は誰かが俺の背中をよじ登って無理矢理肩車状態にさせてくる。
この体重、一度同じ感覚に陥ったことがあった。

「ちょっと誰だよ俺の肩に乗ってるやつ・・・」

そう言って肩の方を見てみる。
肩の上に乗っているのは慎重そうに行列を見つめる泰能だった。

「ふむ・・・槍は13間くらいであろう。弓の弦も良く手入れをされておる。鉄砲の状態も悪くはないな。流石は松平。戦支度は素晴らしい程であるな」

日光の光を遮るように、でこに手を当てる。
そのまま松平の武器を見て、それについて説明をし始めた。

「そうなると、短いですね。織田家は三間半ですし」

「でも、織田家は長槍って言われだからなぁ・・・」

智慶の言葉を聞いて、俺は反論をかましていく。
織田家は三間半。現代的に言えば約5m程の長さに値する。
この槍の長さによって、戦国最弱の兵と言われる尾張兵をカバーしていた信長だが、最強の三河武士と戦ったらどうなるのだろう。と、俺は微かに思った。

「でもほら、良く見てください~!」

と、今度は俺の右肩に藤吉郎が絡みつくと、槍を刃を天に向けて馬に乗りながら真っ直ぐ進む一人の女の子が居た。遠くから見ると、とても肝が据わっていて、馬とも馴染みあっている。

「あれは・・・あの長さ、あの刃の輝き・・・。もしかすると、蜻蛉切かもしれないな」

浅野が背伸びをしながらそう話した。

「蜻蛉切って・・・確か松平の猛将である本多平八郎殿の槍の事ですか?」

智慶が浅野の言葉を聞くと、反応して話した。
でも、本多平八郎って聞いたことある名前だな・・・。
「それは誰なんだ?」と、俺は浅野に聞いてみる。

「どうやら、相当の槍の使い手らしい。桶狭間でも、その長槍で勇猛果敢に敵をなぎ倒した。その癖、かすり傷すら負っていないらしい。それが本多平八郎忠勝だ」

忠勝・・・?忠勝忠勝ただかつ・・・!!
あ、そうだ。聞いた事がある!前見たクイズ番組でそいつの名前が出たんだ!
確か、蜻蛉切の由来は・・・蜻蛉が槍の上に止まった時に、一瞬にして真っ二つになって斬り落ちたことから由来していたはず。

本多平八郎。またの名を忠勝。
徳川家57回の戦に出陣し、なおかつ一度もかすり傷を負わないと言う武将。蜻蛉切を愛用し、数々の名将を斬り、徳川の行く末に貢献した。
娘に小松姫が居る。小松姫は後に、チート親子家との間に重要な役割を果たす事となっていくのだが、現時点でこの物語には関係なく、語る事も無いかもしれない。
※因みに、逸話も何も蜻蛉を斬れたというのは嘘らしいです。忠勝が大きく見せただけだとか。

「一見女子のように美しい。しかしその美しさとは裏腹に松平の殺戮の機動兵器としても活躍して...ゴホッ」

突然、何かが俺の腹を叩いた。下を見てみると、何度も何度も跳び跳ねて、俺の腹に頭をぶつけるころくが居た。背が小さいからか、跳び跳ねてもほとんど見えていない様子。

「ゴホッ、い、痛いから痛いからやめ、ちょ、まっ」

「....見えないぜ?」

そのうち朝食が腹から吹き出そうになったが、そのタイミングでころくが跳び跳ねるのを止めたので、九死に一生を得た。

「それでは、相良殿と私は城に行かなくては」

藤吉郎は、そう言って俺の腕にぶらさがって飛び降りる。

「あーそうだな。智慶と泰能、それから恵美。留守番頼んだ。それと....ねねにさっきのお礼を言っておいてくれ。ころくも、家にいろよ。話があるからな」

「私が?ひひ、なんでいなきゃなんねぇんだ。屋敷に帰る」

そう言うと、ころくは歩き出して俺の家の方へ向かった。

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