時代を越えてあの人に。~軍師は後に七人のチート家臣を仲間にします~

芒菫

女が蜂須賀、名をころく。

「・・・分かった?何も前触れもなく喧嘩なんてしないの」

喧嘩が収まった後、いつの間にか恵美のターンで話が進んでいた。
ちゃぶ台の前に全員座らせられると、喧嘩をしていた智慶ところくが前に出されて恵美のガチ説教が始まった。こう見えて、恵美は多才なのだな、ただの鉄砲の名手と言う訳では無いのだなと確信せざるを得なくなる。

「・・・本当に申し訳ないです」

何度も何度も頭を下げながら謝っている智慶。
彼女の行動は、ただ主君を守る為に進んでいった結果であったので、俺がどうこう言えるものではない。ただし、恵美についてはそんなの言い訳。彼女は寝ているところを邪魔された、だから怒った。たったそれだけなのだから。一般論で考えれば、そんなのことを気にしているのなら、早く先進めちゃえよ。と思うであろう。しかし、それで付けられるのは百も承知。しかし、恵美が強すぎるので抵抗できないのだ!

「・・・な、なぁ恵美。智慶だって守る為に行った行動なんだから、許してやれよ」

「でも私の寝ているところを邪魔してきました」

と、頬を膨らませて恵美は俺にそう主張してくる。
流石に俺も頭を悩ませて何も言い返すことが出来なかった。
藤吉郎もずーと上の空だし・・・ちゃっかり泰能は朝餉の支度してるし。
挙句の果てに、問題のころくは全く恵美を見ることをせず、泰能をじーっと見つめていた。どうやら、お腹が空いているのかなと言わせんばかりの目線である。

「はぁ・・・なぁいつまでこれが続くんだか俺に説明してくれよ」

天井を見上げて目をつぶるとそう一言吐いた。保険でもないが、とっさに出てしまった一言である。同じように周りも溜め息をついた。やはり、そこのところは同じ気持ちなのだろう。と、そう感じた。

「・・・腹減った」

やっぱり。場の沈黙を破るかの如く、そう言い放ったのは、何一つ話の聞いていないころくだった。
泰能はその声を聞いたようで、即座に此方を向く。

「分かった、ちょっと待て」

と、レストランなどでオーダーを受けるような感覚でそう言うと、炊けたご飯をそれぞれ人数分に分けてたくあん等の副菜と共にちゃぶ台の上に出し始めた。
それを見た恵美も、流石に我に戻り、一瞬下を向いて心を落ち着かせた。そして泰能の元へ行くと、共にちゃぶ台へ茶碗を運び始める。
藤吉郎も動き出すと、次第にころく以外全員が泰能の手伝いをしていた。

「・・・」

ころくはうずくまったまま動かなかった。ただ、目の前に置かれた茶碗を見つめて黙ったままだ。藤吉郎が言うには、不貞腐れやすい性格だと聞いた。なので扱いにも気を配るべし・・・と言われていたのだが。

「・・・どうしたんだ?ころく」

全員が集まって座った所で、俺はじっとしたままのころくにそう話しかけた。

「・・・すまねぇな。突然此処に入っては飯まで食わせてもらって」

あ、これ絶対さっきまでの事無かったことにしてない?

「・・・あの、ころくさん。先ほどは申し訳ございませんでした」

ころくの隣に座っていた智慶は、流暢に頭を下げて謝罪をする。
しかし、ころくはたまげた顔をすると「なんで謝ってんだ?」と言い返してしらばっくれた。
流石の恵美も、これを聞いてはちょっと火が付いたようで、彼女から微かだが、殺気が感じられた。

「ま、まぁひとまずはいただきましょう!せっかくの朝餉」

「ちょっと、藤吉郎さん!勝手に出ていくなんて酷いじゃ・・・って!なんで此方でいただいてるんですか!?私を一人にするんですか!?」

藤吉郎が間に入って止めようとしたその時の事、またもや戸がバァーン!!と開き誰かと思えば藤吉郎の友人(愛人?)であるねねちゃん。藤吉郎が戻ってこないんで、様子を見に来たらこの様だったのに驚いて、ねねは怒りだすと藤吉郎にポカポカと可愛い拳で殴りつける。全く痛く無さそう。ていうか、藤吉郎逆に喜んでない!?

「きもじ~」

仲の良い二人を痛い目で見つめる俺、そんなことを気にせずに食べ始める智慶と恵美、関わりがあるようだけれど、良く分からないころくが少し笑っており、そのまま泰能も席について手を合わせると食べ始める。うちは、全員揃って手を合わせるとか、そんな流暢な食べ方はしない。もし何かが起こった時に、一人でも動ける人が居れば~と、それを考慮してこういう風になっているのだ。あれだよ、違うからね。ただ皆自分が先に食べたいから食べてるって訳じゃないからね!俺はちゃんと待ってるからね!

・・・そして四半時が経つ。

「か~食った食った」

自分の腹をさすりながらそう話すころく。この前にちょっと色々あったんで詳しくは言えないですけど、藤吉郎はもう居ないです。
智慶も食べ終えると、台所に向かうと茶碗を片付ける。
と言うか、ころくって本当にさっきのこと忘れてるんだろうか?

「ころく~」

「そう言えばオマエ誰」

ころくは此方を向くと単刀直入にそう話した。いや、単刀直入すぎる。驚いた顔を見せながらも、俺は自分の名前を彼女に伝える。
するところくは立ち上がると・・・。

「そうか、相良って言うのか・・・って、そうだった。私は相良って奴に喧嘩を売りに来て・・・槍の使い手と戦ったけど・・・何が起こったんだか・・・鉄砲の・・・?」

なるほど、ころくがどうして忘れていたかやっとわかった。要するに、凄い怖い目に合ったんだ。恵美と言う鉄砲の使い手に。恵美の鉄砲は、恐ろしいくらいにGと反動が掛かる。それは見ていてわかった。その二つを、彼女は自分の自信と邪気、殺気によって無害化していた。よって、走りながらも彼女は正確なショットが撃てる、そう考察することが出来る。

「・・・まぁいいや。私は女が蜂須賀、名をころくってんだ!ちょうど尾張の北部辺りで、川並衆ってとこの頭やってんのよ~!おめぇ藤吉郎とも結構な仲らしいじゃねぇの?よろしく頼むぜ!」

蜂須賀小六。川並衆の頭領で、長い間羽柴秀吉を支えていく。元々川並衆は山賊で、狩っては盗って狩っては盗ってを繰り返し、ここまでのし上がった。秀吉が幼い頃からの臣従で、元々は仕えさせていたようなものだったが、後に織田に仕えた羽柴秀吉に仕え、織田家臣の仲間入りをする。その分起点で蜂須賀家は、長い間生き残っていくこととなる。
この出会いが、後々の秀吉と裕太の関係上で大きく関わっていくこととなるのだが・・・。

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