時代を越えてあの人に。~軍師は後に七人のチート家臣を仲間にします~

芒菫

盗人にご用心。


「過去は過去。今宵は今宵・・・だな。織田家も頑張ってますね~。美濃攻略も軍師たるもの、精一杯に策略を貸さなければいけないからな!」

「それでこそ、我らが軍師さんです!相良殿、これからも宜しくお願いしますね!」

と言うと、藤吉郎は改まってお辞儀をする。

「と、とうきちろう!?ど、どうしたんだよ・・・いきなり」

俺は彼女の頭をポンポンッと二回優しく叩くと、どうしたのかと問いていた。

「・・・今回も、相良殿の進言によっての出世ですからね~!何食わぬ顔で接していたら、私の方が辛くなっちゃうじゃないですか~。せめてもの礼儀と言うやつです!」

人差し指を立ててそう話す藤吉郎。
俺はニヤケながら頭をかくと、彼女の話を回り包めて聞いた。

「そうかいそうかい。それじゃあまた後で城で会おう!そろそろ泰能が朝食を作っているところだろうからな!」

そう言って藤吉郎に手を振ると、俺は走って家の方へ向かう。
家までは走って数メートルとさほど距離は無かったが、なんとなく走る。
藤吉郎も、俺に向けて手を振ると、背伸びをしてお猿さんスマイルをキメていた。
俺は草履を脱ぐと、そのまま家の中に雪崩れ込みしていく。

「むにゃむにゃ・・・」

「お~い」

「むにゃむにゃ・・・むふふ・・・」

なんだか良く分からんが、家に戻ると気持ちよさそうに寝ている恵美の姿があった。
その横で、布団にくるまって寝ている智慶。
しかし、見つめていると布団の先から尖った刃のような鉄らしきものが出ているのが分かった。
まさに名状し難い物の類である。

「どこまでも戦闘民族な智慶だなぁ・・・」

俺がそう呟くと、台所の方から声が聞こえる。

「しかし、彼女が居るから守られている面もあるだろうに。私だって、気持ちよく一夜を過ごすことが出来るのだからな」

智慶の槍らしきものの刃を見つめながらそう呟く俺に対して、泰能は朝食の支度をしながら答えた。
しかし、彼女も気持ちよさそうに眠っていた。まるで抱き枕に抱き付いているみたいに。
見ている俺が思わず笑顔になってしまうくらいに、彼女は美人だった。

「・・・」

ん?今、何だか智慶から警戒している感覚を察知したような・・・?

「!!」

彼女は突然、ムンクの叫びの如く目を開くと、布団を上に放り投げた。
包まっていた槍が布団から外れ、落ちてくるのを上手にキャッチすると、刃を突き立てて天井に勢いよく刺す。天井の板が一枚剥がれ落ちてきた。

「い、一体何事だ!?」

「ま、まさか!?」

天井からクルリと回って何かが落ちてきたのが分かる。

「げほっげほっ・・・ど、どうしたの!?」

はっ!?と言うように起き上がる恵美。ほこりが宙に舞っていた。
俺はちゃぶ台の下に置いていた自分の刀を右手で掴むと、黒い何かの様子を伺ってどうするか考えていた。

「さすがだなぁ・・・相良」

少しづつほこりが外へ出ていき、辺りをなんとなく目視で彼女の位置が確認できるくらいになっていく。

「・・・うわぁ!?どうしたんです~!?」

と、隣の家の庭から大きな声がした。
したと共に、うちの戸がバァーン!と開く。
おいおい。人んちの戸、壊さないでくれよ・・・?

「・・・ひっ」

黒い何かは、太刀を一振りしたのだろうか。その一振りのような行動でほこりの舞い上がっていた部屋の空気が、一瞬にして外に出て行った。

「あ!騒ぎの原因は貴方ですね!!」

藤吉郎は部屋の中に入ると、目の前に立つ女の子を見てそう話した。
やっぱり一振りしたのは太刀だったようだ。彼女はそのまま刀を鞘に締まった。

「まぁまぁ、蜂須賀殿・・・いや、ころくさんもお久しぶりですね~!」

知り合い・・・なのか?
智慶が槍の底面を床に突いて、ころくという女の子を見つめる。

「・・・貴方、忍者ではないようですね。その服装・・・盗賊と言ったところでしょうか。しかし、一体?」

警戒を止めず、そのまま槍を向けた。
ころくは一歩、一歩下がって庭へ出ていく。
智慶もまた一歩、一歩進んで一向に距離を取ろうとしない。

「っひ。正体を暴きたいならぁ!」

ころくは突然走り出すと、しゃがみながら智慶の目の前へ跳んでくる。
智慶は反射神経で槍を振って応戦するが、今度は高く跳び上がって刀を勢いよく抜くと、ころくは智慶に斬り掛かった。
振った槍を防ぐように用いて左右に振りながら、今にも腹部を斬り刻まんとする刀を防ぐ。
同時に、鉄ともくの鈍い音が辺りに響き、聞いているだけで脳に刺激を与えてきた。

二人から、戦場で感じる殺気と同じものを感じた。
危機的状況の智慶だが、一瞬も隙を見せない行動の威圧と目の鋭さ。
そしてこの状況下を笑顔で楽しむかのようにニヤケて刀を振るころく。
二人の戦いが、虎と龍の対面の様な妄想感覚に陥らせてくる。

「このままじゃまずい!ひとまず止めねぇと!!」

焦った俺は、藤吉郎にそう口走った。

「ころくさんは盗賊。簡単に言えば人殺しです。智慶さんも同じ待遇の方です。止めるにはそれを越える余力がないと・・・さもなければ瞬殺です」

「でもそうしたら・・・!!!一体どうやっ・・・」

バァン!と、とても大きな音が上の方から聞こえた。
智慶ところくは、刀と槍を弾き合わせながら戦っていたが、何かを避けるように跳んでいくと距離を取った。
俺達も、庭に出て上の様子を確認すると・・・。

「私が気分良く寝てるのに・・・何たるふしだら」

屋根に立っているのは、なんと鉄砲を片手に邪気と殺気を組み合わせて出来た最終形態に進化した恵美だった!

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