時代を越えてあの人に。~軍師は後に七人のチート家臣を仲間にします~

芒菫

相良を出世させた理由。


「あぁ、確か養徳院様の子だったよね。信長様の乳母だった方でしょう?」

耳を傾けていそうで聞いていないようなしぐさをしながら、兵士の話を聞いていく。

「そう。武勇に優れている人で、戦は信長様より強いって噂だよ。一時期は、勝三郎様に家督が継がれるんじゃないかって」

「でも確かそれは、勝三郎様自身が『私は主君の器ではない。義姉上こそが織田家の家督を継ぐ方なのだ!』って、逆に信長様を強く推したのじゃなかった?」

信長の乳母の子で、話の筋的に信長のお父さんの側室になった乳母の間に出来た子が恒興?そういうことなのかな?でも、筋的には信勝だったりが居たはず・・・?なんで恒興が・・・?

「やっぱり、勝三郎様は統治する意欲があまり無いからかもね・・・。でも、乳姉妹でそこまで担がれたんだから、凄いと思うけどな~」

つまり、戦上手って事か。ただ、嫡男的に信長の家督だって分かってた恒興もかっこいい!
と、ちょっと関心しながら頷いていた瞬間だった。
後ろから感じた事のある気配がした。

「・・・!!」

反射神経の如く、後ろに振り返るとそこには犬千代が餅を喰らいながら無表情で此方を見つめていた。

「と、利家か・・・。脅かすなよ」

「私は何もしていない。ただ後ろで餅を喰らっていただけ」

と言いながらパクパク餅を食べ進める利家。
どうやら中味はあんこのようだけれど···。

「しかし、利家もよくこの時期に餅を食ってるよな」

と、俺は気になっていた餅について質問をしてみる。
彼女はパクパクっと食べた後、良く噛んで飲み込むと話を始めた。

「餅と言うのは、米から作る。米は命。それにあん。栄養があってやる気が出てくる。だから食べるのだ」

とーっても片言で短い文章だけれど、もし分からなかったら言ってください。精一杯翻訳しますから!
···要するに、栄養があってやる気が出てくるからってことなのか。
専門家じゃないから、本当にそうなのかは定かですが、利家にとっては欠かせない食べ物なんだろう。
自家製なのかな?少し気になる。

「おぉ、おう。つまり利家の栄養食品だな。で、利家は何で此処にいるんだ?」

話を反らすように話すと、利家は一瞬むすっとした顔で此方を見るが、訳を詳しく話してくれた。

「私も武功改め。朝を抜いただけ。だから今食べてた」

結局さっきの話を掘り返すんかい!掘り返すんなら利家の奇傾者の部分でも取り出してやろうかぁ!?

「あぁーそう。んじゃもういいわ。俺は行くぞ」

「酷い。どうせ犬千代は半端者」

「いきなり面倒な話盛り込むじょ止めてくれる!?」

と、なんだかんだで相良・前田のコントが始まっていた。

ー 清洲城・大広間

「何卒、宜しくお願い致しまする」

女子はそう言うと、頭を下げて立ち上がった。
そのまま後ろに下がり、部屋を出ていく。

「····何の話だったか?」

信長の小さな言葉が、静まり返った大広間で響きを切らせた。

「···武功改めです」

信長から見て右サイドに座っている勝家がこそっと言った。
信長は右手で持っている扇子で左手を軽く叩くと「そうじゃ、それじゃ」と言って、まるでどこぞのドラマの名探偵の様な言葉を口にする。

「む~。裕太の義元の討ち取り、勝家殿の雑兵100を蹴散らす、佐久間殿の前線防衛での功績····。様々な事が様々過ぎて様々しそうだに」

「一益殿、最後の様々は様々じゃなくて染々だと思いますよ」

「そうだに、それだに!」

はぁ・・・この二人は寄って違って何がしたいのだろうか·····。
右手でおでこを抑えながら、勝家は首を振ってそう考えた。
武功改めの話は、一向に片付く気配が無いし、だからと言ってこの仕事はすんなり片付けていい話でもない。
どうしたものか····。

「やっぱり話は進んでおりませんか」

その直後、大広間に改め受付管理役(飽くまで位置付け)の佐久間信盛が入ってくる。

「信盛、そちらはどうなのじゃ?」

信長は大広間での現在状況を信盛に問いた。

「先程、信勝様と恒興様が此方に到着致しました。それと、裕太も此方で学習させているところです」

「ふむ···ならば、相良を此方に連れてくるのじゃ。改めでの戦場と言うものを学ばなせればいけなからな」

信長がそう言うと、信盛は「はっ!」と言うと、颯爽に部屋から去っていく。

「・・・そう言えば、何故信長様は相良を侍大将へと出世させたのでありますか?」

一間空いた頃、勝家がずっと気になっていた事を信長自身に聞いてみる。

「ふむ・・・」

信長は息を吐くと肩の力を抜いた。
そのまま勝家の方を見ると、その真意について語り始める。

「・・・そうじゃのう。強いて言えば、これからの時代に男子の力は必ず必要となる。それに勝家、いや・・・権六。お主も見たであろう。あやつは人を引き付ける力を持っておった。事実、わしもその一人じゃ。もし、わしが死んだ後の世界を治めることが出来るのは・・・猿か裕太となろう。」

勝家は、信長の言葉を聞いて何も言い返すことが出来なかった。
私は武人。信長様が天下を取れば、戦う目的が無くなり、すぐに老い、挙句に死に陥るであろう。
猿は才覚に恵まれ、人を引き付ける力を持っている。それは裕太も別に、人を引き付ける力を持っていた。
信長様が例えとしてこの二人の名を出した、例えで呼名しただけだとしても、信長様の本心はそのはず。
と言うことは、信長様は二人の才覚を見抜いているという事。
過去にうつけと言われていたのはまるで嘘のように、彼女は一人の大名としてここに君臨していたのだ。
改めてそう思う。彼女は天下を治める器を持っているのだと・・・。

「・・・しかし、権六と最後に呼ばれたのは何時頃でしたか・・・。」

権六、と言うのは柴田勝家の幼名である。

「くかか、勝家よ。お主は我ら織田家にとって重要な女子じゃ。これからも励め。」

先程までの言葉を改める様に、信長は勝家に意を示した。

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