時代を越えてあの人に。~軍師は後に七人のチート家臣を仲間にします~

芒菫

ショートヘアーは織田信長の妹でした。


「相良裕太だけど・・・・。」

「さがら・・・?あぁ、君が昨日お姉様の言っていた、あの美濃のマムシと言われる斉藤道三を殺した嫡男の斉藤義龍を見事瀕死までに追い込んだって言う男なんだね。」

彼女の言っていることは正しかったので、俺は頷いてみる。
ただ、お姉様と言う言葉に引っかかる。一体、お姉様とは誰のことを言っているのだろうか。

「こっちも、一つ質問していいか?」

俺がそういたころには、彼女は馬から降りていた。

「うん。別に良いよ。」

「お姉様って一体誰のことを言っているんだ?」

彼女は「あー。」と、一言発して馬の首辺りに付けていた縄を手に持つ。

「聞いていなかったんだね。お姉様から。お姉様って言うのは、この城の主の、織田信長様のことだよ。」

彼女はそう話すと、清州城を向いて指を指した。
一瞬、時間が止まったのかと思ったが、止まっていたのは俺の体自体が動かせなかっただけで、周りからは商人たちの宣伝の声や勧誘の声などがしていた。
体が動かなくなることを一般的には金縛りと言うが、俺は一度だけ掛ったことがある。
それは、幼稚園生の時の園行事で、毎年毎年、年長の頃になるとやる、遠足のお泊り会と言う会をやった時のことだ。
俺はいつも、母親と寝ていたのでその時初めて一人で寝るという事を体験した。
その時はとても怖くて、体を動かすことも出来ないくらいうずくまってて・・・。
そんな事してたら、本当に怖い事が起きてた。
気付けば、体も言う事聞かなくて、周りは寝てたみたいなんだけど、何処からか、不気味な物音が聞こえるから、早く寝るようにずっと目を瞑ってた。
次第に、廊下から足音が聞こえてきた。ギシギシ・・・ギシギシ・・・。
その時は本当に心臓が止まるかと思った。そこの部屋は襖だったんだけど、少しづつゆっくりと開いて来て・・・・。
バン、と突然大きな音を立てて襖を開けてなんと、外から勢いよく獅子舞が中に入って来たあああああああああああああああああああああああああ!!!?
と、そう。獅子舞。周りの子達は何事かと突然起き上がると、まだ明かりがついて無かったから、目の前に獅子舞が居ることが良く分かってなかったみたいで大きな悲鳴を上げて殆どの子が泣き出したり、その状況下でも面白がって、獅子舞に突撃して攻撃を仕掛けていた男たちも居たりして、その場はまさに戦場の様だった記憶がある。
俺はそのまま駆け出して、廊下に出て、すぐ近くに自動販売機があったからそこで予備として親から持たされていた200円を使い、100%オレンジジュースの缶を買って一服していた。
ただ、本当に怖い思いをしたと思っているから、そこで初めて幽霊は存在するのではないかと思った。
え?戦場になった後の話を聞きたい?
どうやら、その場で面白がっていた男の一人が、正体を暴くために、電気をつけると目の前に獅子舞が居ることに気付いて、そこからまた大悲鳴が上がったらしく、警備員さんが不審者でも入ったのかと間違えて警察の方へ電話しちゃったらしく、ピーポーピーポーと警察が到着したころには先生方が警察の方々に事情聴取と謝罪を行っている姿が、廊下から伺えた。
因みに、獅子舞でお化けごっこみたいなことを先生方は今年やりたかったらしく、それを説明したころには警察も呆れて帰っていくようだった。
また、獅子舞の中身は校長先生だったらしく、強く子供たちに叩かれたりした拍子に倒れた事で、左足が全治三か月の骨折になったそうだ。

・・・とまぁ、話はずれたが結局のところ、俺の体が動かなくなったのは彼女の言葉に動揺を示したからである。まさか、本当に妹なのか?

「えっと、・・・・じゃあ信長の妹様って事かな?」

「そうだね。あ、そうだ。これから評定なんだったよね。君も行くなら、今から私と一緒に行かない?」

と、彼女は言うと俺の方を見つめて完璧について来てほしいと言うオーラを醸し出していた。
さて、どういう訳か俺には評定とはなんのことか全く分からない。

「えっと・・・・評定?俺呼ばれた覚えが無いんだけど・・・。」

「あれ?そうなの?てっきり呼ばれてたものかと思っていたよ。なんかごめんね。」

彼女は少し悲しそうな顔をすると謝罪をした。
ただ、それでは彼女があまりにも可哀想なので、少し話を弾ませる事にしよう。
聞きたいこともあるからな。

「いや、悪いのはこっちだよ。ごめんな、分からなくて。・・・その分からなついでに一つ教えてくれ。評定って一体どんなことをする所なんだ?」

この際、評定について詳しく聞いてみることにした。

「評定って言うのは、例えば織田家には家臣が何人もいるでしょ?そういう人達を集めて、政策を発案したり、城下町の整備だったりとか皆と相談して意見を交換し合うことだよ。」

「要するに、これからの方針を練る会議みたいなものだな!」

「ちょっと言ってる意味は分からないけど....多分そういうことだよ」

さて、これより数分、彼女と色々な話をすることとなる。
会話が長続きするので、ご了承頂きたい。

「そうだなー。どうせなら、私達の間であだ名でも付け合わない?」

唐突に彼女が提案してきた時はビックリした。
が、要するに彼女が言いたいのはもっと私と親好を深め合いたいと言うことだろう。
俺も、此方に来てこんなに話が弾んで出来たには初めてだった。
と、言うことであだ名で呼び合う事にしよう。

「そうだな。それもいいよな!」

「やったー。じゃあ、どんなあだ名がいい?」

「そうだな...俺の居た町ではよく人にたーくんとかって言われてたけどな。」

「たーくん?なにそれ、面白い!」

「そ、そう?面白いの?」

彼女は本当に面白いのか、楽しそうに笑っている。
ちょっとお嬢様なのにポンチョを羽織っていて、下はミニスカートと、可愛らしい彼女だがこれは彼女の魅力だな。

「ふふ。じゃあ、私のことはなんて呼んでくれるのかな?」

頬に人差し指を立てて持っていくと、俺が言葉を声すのを待っているようだった。

「そうだなー。織田家の信勝ちゃんだから....つーちゃんとかはどうだ?」

「つーちゃん!?」

「え、なんかごめん。ネーミングセンスなくてさ...」

彼女は一瞬驚いていたがそのうち、微笑みを見せる。

「うんうん。自分から言ってなんだけど、あだ名なんてつけてもらったことなかったし、つーちゃんって言葉が可愛かったから、つい驚いちゃって....ごめん、迷惑かけちゃったかな?」

「いやいや、気にしないでくれ。問題ないぜ!」

「そっか。ならよかった。よろしくね!たーくん!」

あだ名の生み出し方はほぼ俺の原理と同じだったけど、これで呼びやすくなったな。
つーちゃんか...可愛いな~。

と、ここで俺の家の戸が開く。
なかから藤吉郎が跳んで現れた。

「うわああ!?藤吉郎!?」

「いやー、そんなに驚かないで下さいよ~?あれ?信勝様じゃないですか」

「あ、猿ちゃん!」

どうやら、信勝は猿こと藤吉郎を慕っているようだった。
別に喧嘩をしそうな勢いでも無かったので、女の子同士は怖いけど大丈夫だと見て良いだろう。

「もしかして、信勝様。相良殿に口説かれたですか!?」

「え?口説かれ...た?」

「相手を言葉で良いように持っていこうとする輩がやることですよ~。」

「あ、いえ。面白そうな方だったので、私から話しただけですよ。 

「そうですか!ならよろしいのですが」

「と言うか、藤吉郎!俺を悪者扱いか!?」

「あ、いえ。ついついからかってみたくなったので」

「物ですか...俺は。」

そういうと、またもう一人俺の家の戸から女の子が一人現れた。
その子は槍を持っていて、今日も日光に反射されて刃の部分が輝いていた。
結論。怖い

「さて、それでは清洲城へ参りますか。」

と、突然藤吉郎も信勝と同じように、清洲城を人差し指で指して声を張った。

「え!?もしかして、俺も?」

俺は藤吉郎にそう問うと、彼女はニッコリと笑い、

「はい!だって、家臣全員参加ですからね。貴方は昨日、信長様の家臣団入りしましたよね?だから、言われてなくても行くのです。これにそむいたら....切腹k」

「よしいこうかー。」

「ちょ、待ってくださいよ~。」

俺が歩き出すと、藤吉郎が後を走って追いかける。

「仲の良い方々ですね。で、犬千代さんは今日も隣の部屋で観戦ですか?」

信勝は犬千代に話すと、犬千代は直ぐ様こう答えた。

「信長様に謝罪する。」

犬千代は槍を一回転すると、目を瞑った。
この時犬千代、信長様とのレッドラインを越えようとしていたのだ。
まさに、彼女を斬る...と。
それに裕太と藤吉郎、信勝が気付くのもまだまだ先の話であったのだが。

····まぁどうにもこうにも、こうして、4人(信勝の護衛も一緒なので数十名)は清洲城へ一緒に向かうことになったのだ。

「時代を越えてあの人に。~軍師は後に七人のチート家臣を仲間にします~」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「歴史」の人気作品

コメント

コメントを書く