時代を越えてあの人に。~軍師は後に七人のチート家臣を仲間にします~

芒菫

織田家の“グングニル”とは私の事でごじゃる!

「ささ、次は皆さんの鍛練を積む場所で有名な練兵場を案内させていただきますよ~」

「おぉ!! 待ってましたー!」

と、なんともギャグ気質になってきているが、藤吉郎との話には乗りやすい所があった。

……移動して場所は清洲城城下の西口より。
ここの多くは武家が中心に集まっているようで、主に弓道、剣道、柔道。学問も学べるようで、現代人の俺からしたら学園の雰囲気を漂わせている所だった。
だが、一番初めに目に留まったのは其処では無く、城下町へと続く長く太い直線の道。
直線を基礎として、周りには沢山の家屋が建てられている。

「やはり、驚きましたか?」

建物に見とれていた俺に藤吉郎は気付いたようだった。

「え?」

「この作りですよ! 勿論、信長様の発案です!」

誇らし気に彼女は語った。

「へぇ! 通りも凄く広いし、どちらかと言えば家も敷き詰められてる訳じゃなく少し放されて作られているな!」

流石は天下の信長様!!要するに、この道が現代の国道みたいな大通りの役割をしているんだな!

「はい! そうなのですよ! この様に隙間を開けることで、密接感を無くし、日の光が当たるような構成になっているのです! お庭も作れるのですよ!!」

徳川家康の作り上げた大江戸、現代の東京を指す。東京の下町を見れば良く分かるが、昔の町並みの名残なのか、殆どの家が密接して建てられているのだ。と、言うことは家康は広さや質よりも、どれだけ家を建てられるか、住まわせられるかを目的としていて、逆に信長は広さや家の質を求めたと言える。それだけを見ても、戦国時代の三英傑と語られるこの二人は偉い違いがあるのだな、と実感した。

そのまま藤吉郎の行くままに進んでいくと、大きな建物の前へ案内された。

「では、一番大きい館の中から説明させていただきます。ここは、剣術や槍術等を自主的に鍛錬するところなのです!」

そのまま秀吉は、屋形の中へ上がっていく。俺も彼女に付いて行くように中へ入ると専用の草履らしきものがおいてあった。
すぐそばに階段があり、玄関は普通の民家っぽいイメージを浮かべさせた。

「此方ですよ~」

藤吉郎は、奥に進んでいくと手前の襖を開ける。
中には何人か、女の子達が槍術の練習をしているようだった。

「ん、木下殿」

と、藤吉郎と同じくらいの背の女の子が練習途中で此方を向く。

「あ、犬千代ちゃん!」

藤吉郎はそういうと、犬千代と言う女の子の方へ嬉しそうに向かっていく。

前田犬千代。またの名を利家。
織田家槍の名手として信長を支え、後には藤吉郎(豊臣秀吉)の盟友として戦乱の世を生き抜く。
藤吉郎とは、織田初期から共に戦ってきた仲であり、藤吉郎が関白になる利家に対して羽柴の姓を与えて、敬意を示したという逸話もある。

「前田犬千代利家。よろしくでごじゃる」

「ぉおお....俺は相良裕太! よろしく!」

ごじゃるというのが土下座したくなるほど言えない可愛さ!
この世界に来てから俺も少々と化してきた気がしなくもない。

「赤ん坊みたいに思われたくないみたいけどれど、どうしてもござるがごじゃるになっちゃうそうなのです! でも、そんなこと気にしてたらいつまでたっても信長様みたいな胸の大きい女性になんてなれないし、強い心を持つ犬千代ちゃんなら何にも心配要らないでごじゃるよね! ...って、ありゃりゃ。私もごじゃるになっちゃったでごじゃる!」

藤吉郎が自分に可笑しくなって腹を抱えて笑い始めた。

「誠でごじゃるでごじゃる」

「脱線しすぎだー! というか、強い心ってどういうこと!? 屈強って意味なの!?」

「……ねー!」

「その通りでごじゃる」

その通りってどの通りなの……?
犬千代はそういうと腕を組み、藤吉郎も同じく腕を組み、二人とも顔を見合わせて「うんうん」と言いながら頷いていた。

「……し、しかし色々設備が整っているんだな、ここ」

二人の理解し得ない会話を無視して俺は辺りを見渡した。

「はい! あ、良ければ種子島館にもいきませんか? 彼処凄いんですよ!」

藤吉郎が次の館に行こうと言って来た。
すると、犬千代が少し悲しい顔をして此方を見てくる。

「みんな種子島に興味津々で最近はこっちに来る人も少ないのでごじゃる。でも、私は此方で槍を回していた方が楽しい」

「へぇ、格好いいな! まさに、織田家のグングニルがいいそうな言葉だ!」

「ぐ、ぐんぐにる? 南蛮語か何かか?」

俺の言った言葉の意味が分からないのか、本当に彼女の頭の上にクエスチョンマークが浮かんでいたように見えた。

「あ、ああ。そうそう南蛮語。槍の名手って意味だ! 槍の名手が言いそうな言葉だなー! って言ったわけだ!」

すると、犬千代は赤面して此方を向いた。
何やら恥ずかしそうだけど……?

「…名手! や、槍の! 名手……!!」

あ、そこなのね。

「そうだ! 名手だ! だから、敬意を表して幼名じゃなくて利家って呼んであげなくちゃな。犬千代ってのは確か幼名だったよな?」

いい忘れていたが、俺はそこまで歴史が得意ではない。どちらかというと人並みの知識くらいしか持ってはいない。ただ、これとそれは別。俺の好きな都道府県は石川県!しかも、石川といえば加賀!加賀百万石!加賀百万石と言えば、加賀藩!加賀藩と言えば前田家!前田家と言えば前田利家!だから、利家の幼名くらいは知っている。こっちの利家は大人になりたいって言っているんだ。なら、名前から、幼名じゃなくて改名で呼んであげるのも男の役目だと思う。だから。

「そう...忝ない」

犬千代は、敬意を表してなのか俺に頭を下げてお礼を言った。なんだか、人の役に立った感じがして嬉しいな!!

「うぅ……なんだか、二人だけの会話になっちゃってますよ~!」

と、藤吉郎は涙ぐんで飛び付いてくる。その姿は本当に幼い。

「わわわ、分かったから!! 藤吉郎、離れてくれ! 種子島館に行こう!! な? な!?」

「うぅ....そ、そうですね! 私が泣いちゃ先輩失格です! 頑張ります!」

立ち直り早!!!流石は幼女!流石は女の子!!流石は天下人!!(後の)

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